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第九百五十六話 お父さんに頼る

「俺の専売が……」

「でも叶のはもっと色々できるでしょ?」



 お父さんが普通にスキルで瞬間移動をつくってしまったから、叶が落ち込んでる。合成でスキルを作れたってことはみんなにスキルを手渡して合成し直して……そのうち可能ならば全員が瞬間移動を使えるようになるってことだから落ち込むのも仕方ないね。



「ただ合成で作ったと言っても、ダンジョンで得たスキルカードから作成したものばかりだから全員に渡すことは難しいと思うよ?」

「あれ、お父さん達をダンジョンに連れてった時の入手したアイテムは全部俺が貰ったよね? スキルカードなんていつ手に入れたの?」

「実はちょくちょく私とママと二人で出かけてこっそりと見つけてたダンジョンを周回してたんだよ。スキルカードを集めるのと、魔物で実験するのが目的でね」



 そんなことしてたのか。お父さんとお母さんがなにしてるかなんて、1ヶ月前は気にしてなかったからね。自由に旅行とか行っていいってことになってたし。

 お父さんは興味が湧いたことはとことん調べ尽くすタイプだから、スキルカードを集めにダンジョンを何回も周るのは特に不思議なことじゃない。



「あと、魔物について勉強してたんだ。私は地球上の大まかな種類の生物の解剖図が頭の中に入っているのは知ってるね? だから獣型や人型、鳥、魚類の魔物は念術の対象にできてたけど、スライムのような不定形系やゴーレムなどの物質系はさっぱりだった。でも今は外科手術もできてしまうくらいには身体構造を把握してるつもりだよ」



 だからさっきいた不定形の魔物を念術の強化版で倒すことができたのか。俺たちのために頑張ってたのか、それとも知的探究心を埋めたかったのか、主な要因はどっちかわからないけれど勉強好きなお父さんには頭が下がるね。



「ね、有夢。叶君のI.Qは222でしょ? おじさんはいくつだっけ?」

「175だよ」

「納得の数字ね」



 まあ十分に人間離れしてるとは思う。頭の良さに加えてカナタみたいなあからさまな弱点はないから、状況によっては頭脳戦においてもお父さんの方が強かったりする。どっちにしろ俺は二人には勝てないけどね。



「とりあえず、有夢と叶、あと一応翔くん。今後SSSランクの魔物の討伐は私に任せてくれるね。封印やアイテムの作成とか、手伝って欲しい時は頼むよ」

「う、うん。こんなもの見せられたら頷くしかないよ」

「叶の言う通りだよ。ただスキルの合成レシピは今度教えてね! もしかしたらとっておいてあるスキルカードで複製できるかもしれないし」

「わかった、もう戦うことはないと思うけど、今度教えるよ」



 親達の言いたかったことはこれで全てだったようで、俺たちは解放された。俺たちは一旦自分たちの部屋に戻ると見せかけて、また別の部屋で六人集まった。今後についてどうするか相談するために。



「で、お前んとこの父ちゃんがこれからあいつらの対処をするってこったーな?」

「そうするしかないよ。あれだけのこと言われて、しかもあんな完璧な策を出されちゃ」

「私はこれでいいと思う。おじさんやお父さん達が直接危険な目に合うわけでもないみたいだし」

「わーふ、そうだね!」



 どうやらみんなおんなじ意見みたいだ。心配された上であんなことされたら俺らは引き下がるしかない。それにどうせ戦いたくて戦ってたわけじゃないし、別にいいんだよ。



「でも俺と兄ちゃんを真似たあの魔物はどうする?」

「どうするったって、あの人ならなんとかできるんじゃねーのか?」

「いや、あれのことだから恐らく逆探知してお父さんのもとにやってくることもありえる。やっぱりあれだけは俺がこの手で葬らないと……」

「か、かにゃた……」



 お父さんのことを心配してるんだろうし、説得のある言葉だけれど本当はどうにも復讐に燃えてるように見える。サクラちゃんもそれを察したのかカナタの腕に抱きついてなだめるように肩をさすった。



「桜……なに、心配することないよ」

「わふー、カナタくん、そんな怖い顔してたらサクラちゃんが心配して当然だよ! それに、今回みたいな話になったのはあの魔物のせいでもあるんだ。流石にもう、自分でどうにかしようって考えないほうがいいんじゃないのかい? おそらく君の思考は向こうに読まれてる」

「………そうですね」



 正直言えば、あの魔物はお父さんに任せてしまっていいんじゃないかと思うんだ。なにせうちのお父さんは俺とカナタ考えが読めるからね。うんうん。



「どうするんだ、今日はもうこれで終わりなのか? いや、これから毎日あの人に頼って、俺たちはもう少しゆっくり過ごすことができるのか?」

「そだね、お父さんに何かないように毎回俺が見守ろうと思うけど、それ以外はなにもないよ。あのサムライとかがもう一回現れたりしなきゃね」

「やっぱり問題はそれよね」



 そういうことで俺たちは解散した。ミカとイチャラブできる時間が増えたって考えていいのだろうか。心を休めていいのだろうか? 警戒だけは怠らないほうがいいよね。


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