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第九百五十話 もう一つの約束 (叶・桜)

 叶は黙ってしまった。なにも言わない。サクラはしばらく身を寄せたまま様子を見ていたが、しびれを切らして動き出すことにした。

 こんな状況にしてしまった本人もここまでして後戻りできないと考えている。頭の中で自分が行っていることはめちゃくちゃだと自覚しながらも、カナタの服に手をかけ、気がつけばすでに上着は脱がせていた。



「ほんと、日に日に身体ががっしりしてくね」

「…………」

「ね……ここから心臓を出されたんだよね?」



 上半身の身ぐるみが剥がされた状態のカナタの胸に耳を当てた。普段よりも相当早い鼓動が聞こえる。それがカナタが今の状況に慌てているからか、裸の自分がさらに裸のカナタと密着してるからか、どっちが主な理由かはサクラにはわからない。



「ドキドキしてる? 私もだよ。ほら」



 サクラはカナタの腕を持ち上げ、自分の心臓部分に触れさせた。サクラはなんだかデジャヴを感じ、それがなんだったのかを思い出した。



「こうやって胸を触らせたの、ついこないだ初めてSSSランクの魔物を倒した時だったよね。そうよ、あの時みたいにカナタがピンチになって、私が助けられることだってあるんだから、やっぱり今後は二人で活動しよう?」

「……………」

「ねぇこのままだんまりだと、本当に……最後までするけどいいの?」



 そう言うと、カナタはやっと口を開いた。何かを諦めたかのように、いや、正確には悟ったかのような顔をしている。



「うん。俺に反論できることはなにもないよ」

「中学生だからまだダメだって誰よりも一番言ってたの叶じゃない」

「でも、桜が望んでるんだったらいいよ」

「……バカじゃないの……」

「そう言われるのも久し振りだね。……本当にごめん」



 サクラは再び目に涙を浮かべ始めた。カナタは自分の頭を急速に冷まし、ゆっくりと裸のサクラを自分の上からどかせる。



「俺は自分のことしか考えてなかった」

「うん……」

「そうだよね、辛かったよね。俺が桜に戦って欲しくないみたいに、桜も俺に戦って欲しくなかったんだよね」

「うんっ……」

「心の底からごめんと言おう。言われて気がついた。だから俺は迫る桜を断る権利はないよ。自分が桜に居残ることを押し付けておいて、勝手に死んで……それなのに桜がお願いすることは拒否するだなんてできない」



 珍しく本気で反省ししょげているカナタを見て、サクラも少し冷静になった。気がつけばカナタの頭に手を置いて、撫でていた。



「それなら、もう二度と死なない? エッチすることより、それが私の一番のお願いなんだけど」

「うん、約束する」

「絶対だよ?」

「わかった。もう死にもしないし、一人でどうにかしようともしない」

「えへへ……約束だからね! 破ったら嫌いになるからねかにゃた!」



 サクラは感情が高ぶり、そのままカナタに抱きついた。カナタもサクラを抱きしめかえす。しばらくして、サクラが目にためていた涙が目からつたい始めた。



「生きててよかったよ、かにゃたぁ……アムリタがあって本当に良かったあああああ」

「うん、にいちゃんには本当に感謝しなくちゃね」

「もう、もう私を置いてくのダメなんだからね! 一緒についてくからぁああ」

「うん、約束だもんね」

「すきぃ……」

「俺も好きだよ」



 カナタは数時間前より元気に泣くサクラに触れさせている腕の抱きしめる力を強めた。そしてくちびるを合わせる。



「んー……」

「ふぅ。でもついてくるからには、桜も気をつけてよね」

「も、もちろんよ。自衛はちゃんとする! かにゃたのサポートもする!」

「助かるよ」



 サクラはカナタの手を取り、それに小指同士を絡めた。そして頬を少し赤めた笑顔で嬉しそうに上下に揺さぶった。



「えへへ……約束約束! もう既に今日のことは私のトラウマになったと思うから。なるべく怪我するのも控えてよね」

「善処するよ。さ、服着よう服。お互い裸のままじゃ、ね」

「えーっ、本当にこのまましても良かったのに」

「でも桜、口や行動ではあんなグイグイ来ててけど、身体は震えてたじゃない」

「そ、そりゃあ不安にはなるわよ」



 少し残念そうにしながら、しかしホッとした様子でサクラは服を着た。カナタもそれに続いて脱がされた服を取り、それを着直す。その後、二人はベッドの淵に二人で寄り添って座った。



「でもちょっといいところまでいけたんじゃない? 前まで私が抱きつくだけであんなに鼻血だしてたのに……約束した日にはちゃんとできそうだね! な、なんなら本当にもっと早くいけるかもね、なんて……えへへ」

「そんなことないよ」

「え? だって、お互い裸だったのに、かにゃたったらあんなに強く抱き締めてくれて……」

「全く平気ではないよ。心から愛してる女の子をあんな風に抱き締めるなんて。これでも一応、俺達思春期なんだよ?」



 そう言いながらカナタはどこからともなくバケツを取り出した。



「バケツ?」

「そろそろ緊張が解け……解け……と……グフゥゥゥゥゥゥゥウウウウゥゥゥ!!」

「かにゃたああああああああああああああ!!?」



#####


そういえば、こういうシーンってどうしましょうかね? 

こんなに露骨に書くわけにはいきませんからね、商品化されたものは健全な小学生の高学年から高校生が読むわけですし。

もっとマイルドにしなければ……。でも、そこそこの割合で有夢と美花や翔とリルがやることやってなきゃ進まない部分もありますしなぁ。

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