第九百二十四話 強い魔物はどうしよう?
今日のところは解散し、討伐した魔物の素材の破片だけをもらってから俺とミカは部屋に戻ってきた。みんなにまた明日もこうやって集まって貰えないか聞いたところ、拒否する人は誰一人いなかったよ。これならまだあと少しはSSSランクの魔物が増えてもやっていけそうだ。それはそうとして。
「ふむ……」
「考えてる有夢も可愛い」
「ふむむ……」
うーん、どうしたものだろうか。帰ってきたばかりの時に叶が言っていた考えは正しい。2日連続で俺らにそれなりに食い下がるような魔物が現れたんだ。アナズムで生まれて転生を一度もしてないようなSSSランクでは1対1でまず勝てないような奴らが。
これは完全に過保護に走った感じの意見なんだけれど、ミカやサクラちゃん、ショーやリルちゃんにはあまりそういう敵と戦って欲しくない。覚えているスキルの問題だ。単純に俺のアイテムマスターは万能すぎるし、叶のスパーシオペラティオンは攻守ともに最強と言っても過言ではない。お父さんもこっち側かな。
でも他のみんなはどうだろう、威力とその威力を高める効果を持つスキルしかない。強いよはよくわかってるし、その中には俺が調節してあげたものも多いけどね。効果が単純だから怖いんだ。
そうだな……だいたい、サマイエイルのあの即死する羽の攻撃に対してなにかしら対応できるくらいの力は欲しい。
「あ、そうだ」
「どしたの?」
「もし私に昨日や今日みたいな強い魔物が来ても、ちゃんと戦って倒すから、なにも心配せずに討伐割り振ってよね!」
む、そのことについて考えてる時に……。
ミカには悪いがそういうわけには行かない。ほんとを言って仕舞えば、今日、カナタを苦戦する敵と戦わせたこと自体かなり後悔してるんだ。対応できたからいいんだよ。だからミカを生かせるなんてとんでもない。
「それはちょっと……」
「なぁに? 心配なの?」
「うん」
はっきりと頷くと、ミカの眉が下がるのがわかった。むんずけているのではなく、落ち込んでるみたいだ。でもすぐに無理をしたようにニコニコと笑い出す。
「大丈夫よ有夢。私だって例えば桜を強いのと戦わせたくないし気持ちはわかるけど、私の場合は有夢にもらった沢山のアイテムがあるの。どっちかに何かあってもすぐ引き会えるアイテム。ね? だから心配ないのよ」
俺にそのアイテムをはめている指を見せつけるように突きつけながらそう言ってくれた。確かに……まあ、赤い糸と指輪さえあれば俺とミカのどっちかが何か起こるだなんてことは絶対ないけど。でも。
「まあ、それはそうかもしれないけど……」
「それより私は有夢が疲れ果てて、そういう強い敵と戦って、負けちゃう方がやだな」
「それは流石に……」
「万が一もないなんてことないじゃない。昨日の貝殻の敵は、耐性がつく装備を偶然してなきゃ、私と有夢は石になってたわけじゃない」
たしかにそう言われると俺自体も万が一があるか。……だめだ、こういう話をすると俺とミカはお互いを譲るなお。また明日考えよう。
「とりあえず、なんか考えておくよ」
「もー、ずっと言ってるけど考えづめも良くないんだからね!」
「じゃあ考えなくてもいいように落ち着かせてよ」
こうやって甘えてみる。ミカは俺が甘えるのに弱いからそっち優先で対応してくれるはずだ。
案の定、目を輝かせてから俺を抱きしめた。
「えへへー、仕方ないなー。今晩も寝かさないよっ」
「ここ連日でシてるから寝かさないのはちょっと……昨日と一昨日なんて気がついたら真っ裸でお互い寝ちゃってたじゃない」
「いいのいいの、それとも嫌? 私飽きた?」
「それはない!」
ギュと抱きしめると嬉しそうに笑った。だめだ、やられた。今晩もお世話になろう。 その前に朝考えていたことを実行しなければ。
「んふー」
「よし、癒された。もうちょっと頑張る」
「え? なにするんだっけ」
「SSSランクの魔物の素材をつかって武器や兵器を作るんだよ。やっぱり現状みてたら必要だって」
「そっかぁ……準備期間ってことで今の時間があるわけだし、止めはしないけど……よ、夜のことは忘れないでよね!」
「わかってる」
ディープキスで仕上げをして作業に取り掛かることにする。名残惜しいけど。でもやらなきゃいけないからね。仕方ないね……。
時間が遅くなる俺のいつもの作業用マジックルームに入った。まずは、今ある素材を考えようじゃないか。
とりあえずSSSランクの魔核がたくさんあるでしょ? これさえあれば色々と能力の底上げができるから使っていこう。そしてSSSランクの魔物の素材(破片)は今のところ12種類。こんだけあれば相当のものが作れそうだ。SSランクの魔物の素材もたくさんあるし。
うん、なんでも作れるね。あとはどんな武器にするかが重要だ。いっそのこと機能をてんこ盛りにしたいところだけど……。




