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第九百二十三話 強力と最多

「ねぇ」

<なっ……なによ! 封印から目覚めたばっかりの乙女を丸裸にしてっ!>



 うへぇ、俺の今の身長の100倍はあるんじゃないかってイカがそんなこと言ってるとすごく変な気分になるよ。



<これから海の底で待ち伏せて船ごとを人を食べるところだったの! 邪魔しないでくれる?>

「君って食べたら美味しいの?」

<な、なんですってー!?>



 喋りながらジタバタして触手で俺に向かって攻撃してくるけど、動きの制限をかけてるから当たらない。ただ当たれば普通の人間ならひとたまりもないことだけはわかる。まあSSSランクだし当然だね。



<食い意地張った小娘ね!>

「船と人間食べようとしてたイカにそう言われてもなぁ」

<キーッ! これでもくらいなさい!>



 イカはイカ墨を吐いてきたが、俺は念術で捻じ曲げて逸らした。逸らされたスミが近くのせり出ていた岩にあたると、それは闇に吸い込まれたようにチリになっていった。やっぱり普通に強い。

 でもまあ、もういいや。倒しちゃってから鑑定して食べられるかどうか見ればいいし。さっさと討伐しちゃおう。



<貴女、まさか格上ねッ>

「ああ、うん。じゃあね」

<まさか復活してすぐこんなこと遭遇するなんて……>



 ちょっとお父さんの真似をしてそのまま念術で心臓を潰してみた。ちなみにイカは3つ心臓があるから、なんとか3つとも探ってさっくりとね。

 倒すとSSSランクの魔核を1つドロップした。また鑑定できるようにもなったから見てみると名前がキングクラーケンエンペラーってこともわかった。

 たしかにエンペラがエンペラーっぽい……なんちゃって。でも実際SSSランクの魔物に恥じないようなかっこよさはあるよ。ただ、『クィーン』じゃなくて『キング』だったことからこいつはオスってことになるね。あの口調でね。まあ、なんとなくわかってたけど。

 あとイカ墨以外はどうやら基本的に食べられるらしい。イカスミパスタは別に好きじゃないし問題ないよ。とりあえず今夜はイカ刺し、イカソーメンにしようね。イカの塩辛を作り置きしてもいいかもしれない。


 クラーケンを回収して早速帰ろうとカナタにメッセージを送ってみた。でもいつもなら1秒と返信は待たないのに、今回は10秒かかった。



【ごめんにいちゃん! 多分、当たり引いた】

【ほんと!? 手伝いに行こうか?】

【いや、一人の方がやりやすい。にいちゃんが連絡きたの最初だから、みんなにその場で待機しててって言っておいて。悪いけどもうメッセージ切るね!】



 大丈夫かな。カナタなら万が一もないと思うけどなぁ。とりあえずみんなにカナタの言った通りのメッセージを送った。全員一斉送信だったから何人かから一気に返信が来る。



【ちょうど討伐し終えたところだよ。カナタが心配だけど、ここで待っておこう。あの子なら大丈夫でしょ】

【そうだね、お父さん】

【かにゃた、かにゃたはどうなの!?】

【いま戦ってる最中だけど、多分大丈夫だよ】

【そうか、叶君が当たり引いたのか……ほんとに加勢しなくていいのか?】

【周り巻き込むタイプの広範囲攻撃型の魔物だったら一人の方がやりやすいだろつし、その方がいいんじゃないかな】



 みんなカナタを心配してるね。うんうん、弟が愛されててお兄ちゃん嬉しいよ。3分後、カナタの方からメッセージが入ってきた。どうやら勝てたみたいだ。



【ふぅ。終わったから全員送るね】

【よかった、倒せたんだね】

【そりゃ倒せはするよ。無傷だし……思ったより耐久力があっただけ。じゃあみんな行くよ】



 次の瞬間、俺は食堂に立っていた。みんないるし、カナタも無事なようだ。



「よかった、かにゃた……!」

「よしよし。でも個人的にはダーキニーの時ほどピンチではないから大丈夫だよ」

「そっ…そうなのね…」



 しかし強力なスキルを持ちつつそれを使いこなせてるカナタが5分も戦ったんだから、カナタ以外だったらもっとかかってたか、重傷を負ってたか……最悪負けてた可能性もある。特にこのアナズムに元からいるSSSランカーは徒党を組まないと勝てないだろう。

 昨日の貝殻もそうだったけど、案外、魔神級の魔物っているんだね。



「しかし一部始終を見ていたが、さすがは叶君というべき戦いっぷりだったな。逆によくあんなのに勝てた」

「えへへ、どうも」



 どうやら触手が本体というわけでなく、ショーのスキルの1つに炎化できるものがあるように、闇魔法に自身の体を変化させることができる魔物だったらしい。つまり物理攻撃はほとんど効かない。そして魔法を撃っても事前に魔力を察知して避けられたんだとか。すっごい戦い辛そうだね。



「ねえにいちゃん……もかしたら、単純にSSSランクの魔物が増えてるだけじゃなく、かなり強いSSSランクの魔物自体も毎回あらわれるようになっちゃってるのかもよ……?」

「そ、そんな……!」



 それは本当にやめてほしいところ。この調子で段階が進んで行き、そのうち強力なSSSランクが複数同時に出現するなんてことになったら笑えやしないよ。この対策も考えなきゃダメかなぁ。

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