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閑話 お願いとイチャつきについて (叶)

「お願いカナタ!」

「うん、いいよ」



 もはや毎日恒例となった、将来のためというのを言い訳に桜が抱き付いてくると言う行事の最中、にいちゃんとみかねぇがやってきて討伐の手伝いをしてほしいと頼まれた。にいちゃんが今起きてる現象の処理に手伝って欲しいとは頼んでくるのは初めてだ。

 もっと頼ってくれてもいいんだけど……普通は一日一匹がせいぜいで、そのくらいなら自分で倒しちゃったり各地のSSSランカーがすでに討伐に向かっていたりするから、心配しているほどには頼らなくていいのかもしれない。今日みたいに三匹現れたりしなければ。

 ちなみに、今日はまだ桜が顔に抱きつかれてないから身体に鼻血がついてたりはしない。血痕を見られたら、にいちゃんはともかく、みかねぇには何言われるかわからない。



「何かに使えるかもしれないから、魔物の体の一部は持って帰ってきて欲しい。牙とか鱗一枚とかでいいからさ」

「わかった。前に言ったダーキニーっていう魔物の体の一部も持ってそれじゃあ帰ってきた方が良かったかな?」

「えー、人間みたいだったんでしょ? 流石に何かに使う気にはなれないしいらなかったと思うよ。……ともかく今回はお願いね! あ、よければまずは瞬間移動でこの場所に飛ばしてくれない?」

「いいよ」

「じゃあ頼んだ!」



 トズマホで指差す座標ににいちゃんとみかねぇを飛ばした。しかし、もう俺は手足みたいに自由自在に扱えるけど、スペーシ・オペラティオンのスキルは本当に便利だ。空間移動だけじゃないしね、出来ること。桜にすら見せたことないような機能がまだまだある。

 それはそうと、俺もにいちゃんから送られたデータ通りの場所の魔物を倒しに行かなければ。



「そういうわけだからちょっと行ってくるね、桜」

「うん、行ってらっしゃい!」

「この近くの小ちゃい国で名産のスイーツでも買ってこようか」

「ううん、別にいい。そのかわり早く帰ってきてね」

「わかった」



 桜に早くかえってこいと言われたなら仕方ない。ちゃっちゃと終わらせてしまおう。ちょっと国を見学してみたいから、本当に一瞬でカタをつける。

 俺は瞬間移動で指定の座標に飛んだ。そしてその目の前に現れたのは超巨大ムカデ。



「ギチチチチチチチチチチ!」

「おおおっ!」



 黒光りしていてカッコいい。本当に、ムカデの魔物というものを究極にかっこよくした感じだ。黒い身体全体を走る金色の模様も味があるし、甲殻はミサイルなんて絶対に効かないと思わせるほどの強度を誇るのが一目見てわかる。絶対、アルティメタルやミスリルの比じゃない。

 それに身体をうねらせて森林を破壊しまくっているから、普通に戦ったなら相当やばいやつなのは間違いない。そもそもSSSランクの魔物っての時点でやばい。前のダーキニーの時点で、俺に桜の生の乳房を揉ませなきゃいけなくなるまで追い込むくらいだし、油断なんて一欠片もでき………。



「ぐはっ!」

「ギチ? ギチチチチチチチチ……」



 やばい、思い出すだけでまた鼻血が出てきた。あの綺麗な桜の身体の一部をさっさと忘れなきゃいけないな、俺の弱点になりつつある。これは毎日言ってる気がする。

 ……いや、ほんとは一生のパートナーとなる桜の身体は別に忘れなくていいんだ、やはり俺が耐性をつけなければ。今なんて毎日顔に押し付けられてるんだから、そのうち耐性が付いてくれると願っている。それとも諦めて男性の生理的反応を如実に表した方がいいのか?

 ………なんにせよ、桜のことを考えたらやっぱり今すぐ会いたくなるよ。1秒だって離れちゃダメなんだ。ムカデはかっこいいけど、さよならだ。



「食らうがいい。我が魔槍を!」

「ギチチチチチチチチチチ………!? ギチ……」



 瞬間移動で俺の武器、グングニルを身体の中に送り込んで暴れさせてやった。あっけなくムカデの王者は倒れる。……こんな大きいのをここに放っておいても近隣の住民に迷惑だし、全部持って帰ることにした。回収し終えたらすぐに家に戻る。あ、国によるのわすれた……まあいいか。



「ただいまー」

「おかえりなさい。本当にすぐに戻ってきたね」

「あの時ほど苦戦はしなかったよ」

「そっか」



 一服のつもりでソファに座ると、まるでずっと帰りを待っていた子犬のように桜が擦り寄ってくる。可愛すぎて仕方がない。



「かーにゃたー」

「はいはい、よしよし」

「んふふふ」



 うん、幸せだ。そもそも前の討伐も今日みたいにさっさとダーキニーを倒せていたらギクシャクしたり変なことを意識しなくて済んだんだ。あーあ、それを考えたらくたびれる。



「いいかな……? えいっ」

「んぐわっ!」



 そろそろくるかと思ってたけど、きたね。

 桜が俺の顔に胸を押し当てるように抱きついてくる。グニグニと双丘がうごめくけど、覚悟してたからなんとか耐えられている。よし、もしかしたら今日はこのまま耐え……。



「かなた、すき」

「ぐっ……ふっ……!」


 

 やっぱり、今回もダメだったよ。


 

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