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第九百十一話 知り合い達の秘密 2

「どうしてそんなにヘタレなんですか? ラハンドさんのせいでもあるって……」

「な、なんのことだ?」

「なに、簡単な話。小せぇ頃からオレとばっかり連んでたから女慣れしてねーのよコイツは。恋愛ってものを実体験したことねーんだ」



 なるほど、確かに俺もミカがおらず、ショーとばっかり遊んでたらそうなってたかもしれない。俺が女の子みたいな見た目だからってそういう間違いは流石に起こらなかっただろうけど。もちろん、ラハンドさんとガバイナさんもそうだろう。



「ぐすん……つまり二人ともそうだというわけだな……」

「この中の男性で一番女心を理解していて、扱いも心得てるのは僕だって自信があるよ」

「バカみたいなこと言ってるけど否定できないのよねー」


 

 なるほど、そこまでなのか。ローズとマーゴさんはこの先大丈夫なんだろうか。恋の成就とかあり得るの? 無理じゃない? そして俺の予想だとローズの場合、仮にきちんと気持ちが伝わったとしても、伝わっただけで、ラハンドさんと同じ言い分で断られてしまいそうな気がする。

 


「はぁ!? んだよ、オレもかよ!」

「否定するならマーゴの気持ちをきちんと受け取ってあげてよ、ラハンドさん」

「だから歳が離れすぎだって言ってんだろ? 気持ちは嬉しいが」

「また告白せずに振られた…….ぐすん」



 マーゴさんもかわいそうすぎる。そしてガバイナさんに至っては表情からみて、なんの話をしてるかすらわからないっぽい。もう話題を変えてあげたほうがいいんじゃないだろうか。



「そ、そうだ! 皆さん、これからどうするんですか? 実力はSSSランクになったわけですが」

「実はそれに関してはもう、私は決めているのだ」



 ふむふむダンジョンを周回しているうちに予定は組んでいたんだね。恋愛もそれくらいちゃんとしてほしいんだけど。



「聞かせてください!」

「ああ。ダンジョンを何度も何度も出入りこそしていたが、週に2度は城下町に戻って休んでいたんだ。そのうちに偶然、買い物中のウルトさんとパラスナさんに会って、方々でSSSランクの魔物が原因不明の大量発生していると聞いた」

「ちなみに一緒にオメでたい話も聞いたんだゼ。アリム達はもうどの情報も知ってると思うが」

「そうそう、お腹に子供がいるのに二人ともSSSランクとして討伐に参加しないこと悔しがってたけど……」

「そりゃ、僕達は必死に止めたよね。まだあの人達はゆっくり休むべきなんだ。新しい命を授かったなら尚更ね」



 なるほど、それでSSSランカー達の間でも話が広まってる魔物の大量発生を知れたわけだね。ついでに妊娠の報告を聞いて、負い目による無茶の制止もしたわけだ。



「話が逸れてしまったが、近いうちに直接、国王様に会ってSSSランクの魔核などを見せ、SSSランクの冒険者にならずにSSSランクの魔物の討伐依頼を紹介してもらい、手伝いをしようと考えていたわけだ」

「カッカッカ、ラウルトさん達やお前らがSSSランカーで大変そうだし、別に名誉も地位も必要ねーし、そうしたいわけだぜ。人手は多いほうがいいだろ?」



 確かにそれは得策かもしれない。うちの家族達も実質それに近い感じだし。でもタイミングが悪すぎる。



「あーでも少し問題が…0」

「む、なにかあるのかアリム」

「今お城に行っても国王様はいないです。ちょうど今の騒動に向けて自分たちを鍛え直すそうで」

「なんだと?」



 戸惑っている様子の二人。ああでもテュールさん達が代わりをしてるんだよね。国王様じゃなくてもいいなら教えてあげよう。



「でも、テュールさんやルインさん達がその間、国王様の代理を務めるそうで」

「アリム、そういうのは大臣じゃないのか?」

「ローズ、この国の国王様と大臣様と騎士団長様と大司教様はもともと一つのパーティなんだよ。その4人で鍛えなおしてるんだ」

「そういうものか」

「……つっても、あの城の関係者ならだいたいオレ達知り合いだから何の問題もねーな」



 ウルトさんと一緒に奴隷解放に勤しんだラハンドさんとガバイナさんだもんね。どういう経緯であれ国に対して自分を動かしやすいっていうのは便利なことだよ。俺なんてそれの典型例だと思うよ。



「ラハンドのいう通りだ。予定通り報告をしてSSSランク討伐の手伝いをしようと思う。ここにいる5人全員でな」

「ウルトさんもパラスナさんも参戦できない今だから、僕達も頑張らないと」



 そうだった、ウルトさんとパラスナさんが知らないんだからこの人たちはもっと知るよしがないんだよ、この国にSSSランク並みの実力を持つ人が20人以上いることを。なんにせよ人手は必要だからいいけどね。それにみんなやる気だしやっぱり黙っておいたほうがいいね。



「では今からこの足で城まで行こう」

「あはは、アリムちゃん達のおうちがお城から一番近い家でよかったよ」

「だからこそ今から行くんだけどな」

「そういうわけだアリム。……あ、そうだ。だいぶ間が空いてしまったが、暇ができたらまた我は遊びに来るからな!」

「うんうん、みんな前もって連絡してくれればいつでも来ていいよ」

「いろいろお世話になった」



 5人はそれぞれお礼を言いながら俺の屋敷から去っていった。

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