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第九百十話 知り合い達の秘密

「とりあえず武器渡しますね」



 さっさと武器を渡して暴露大会をしてもらわないと。別段興味があるわけじゃなかったけど話を提示されるとどうしても気になっちゃう。

 俺はそれぞれに付与された効果などを説明し、手渡しした。



「おうおう、すごいなコリャ」

「ねぇねぇ、見てラハンドさん。私のと見た目が似てるよっ」

「うん、そうだな」



 せっかくマーゴさんの要望でお揃いのデザインにしたのに肝心のラハンドさんの反応が薄い。でもだいたいいつもラハンドさんは言い寄られてる間こんな感じだ。よくめげないよなぁ、マーゴさん。

 それはほうと二人の様子をため息混じりで観察しながらゴッグさんが笛を満足そうに掲げている。


「笛の伝説級の武器なんて絶対存在しないから、ありがたいよ」

「そのくらいならお安い御用です」



 でも確か、ユグドラシル神樹国の国王様とよく似たタイプの魔法を使うSSSランカーのヘイムダルって人の角笛が伝説級のアイテムじゃなかったっけ。比率が少ないだけで楽器の伝説級もダンジョンから出されることあるのかもね。あるいは、あの人が伝説級のアイテム作れる人にオーダーメイドで頼んだか……。

 今度はローズが大事そうに杖を抱きしめながらやってきた。



「アリム、ありがとな。ちゃんと母なるダンジョンの香りも残っている」

「どういたしまして。それで良かった?」

「ああ、満足だ。しかし伝説級のアイテムにも格があるとはな。前の杖とは全然違うむ 」

「伝説級が普通は最大だからね、幅が広いんだよ」



 神具級のアイテムは俺やミカ達だけの秘密だからね。あれ1つで世の中の事柄を変えてしまうようなものばかりだから。やっぱり普通の人が正しく扱え、悪用されても他の同程度のアイテムで取り返しがつく範囲内なのは伝説級まで。

 あ、最後にラハンドさんだね。ローズはほんのり頬を赤くして退散してったよ。



「見事に全て伝説級だ。すごいな」

「でもいいんですか? たしか槍と盾って代々伝わる家宝と聞いたのですが。ボクが伝説級に作り変えちゃって……」

「原型は残っているから構わない。そもそも武器はより良くてこそだ。あと代々といっても祖父からなんだけどな。まあ悪くいえばお下がりを使わされてたわけだ」

「そうなんですか」

「それこそ、この装備一式は伝説級。そして勇者が作ったとなるとさらに箔がつく。これから先の代の家宝となることだろうな、必ず」



 けっこう先祖のものにこだわりあるタイプの人だと思ってたけど、そうでもなかったのかしらん。それとも伝説級だからギリギリ許容してるのかも。後者の可能性が高いね。

 ……それにしても、ガバイナさんって独り身だよね? 彼女が居るって話を聞いたことないし……惚れてる人はすぐそこに居るけど。ずっとこっち見てるし。それでこの先、世代が続くのかな。



「そうだ、もう武器は私終わったのかアリム」

「はい!」

「じゃあ話の続きをしよう。とは言ってもあまり面白いものではない」



 あ、やっとガバイナさんの身の上話が始まった。気になる、気になる。結構まじめで普通の人のはずなのに、普通じゃない雰囲気は醸し出してるからなぁ。



「おうおう、言ってやれ!」

「ラハンドは既に知っているが、私は竜族の獣人の末裔だ。曾祖父が竜族、祖父はハーフだった」

「そうなんですか!」



 クォーターどころじゃなく、8分の1か。そこまでになると完全に獣人らしさは抜けるんだね。人族の遺伝子が他の遺伝子より強いらしいってのもあるけど。



「しかし曾祖父の時代にはまだこの国ですら根強く奴隷性が一般的でいて、気高き竜族ですらその対象にされた。ゆえに竜族の証である鱗やヒレを隠して暮らしていたという。竜族の誇りだけは失わないようにしろと言うのが家訓だ」



 そういえば苗字ってドラグナーだっけ。そこは隠すつもりなかったんだね。しかしひいおじいちゃんの時代でこの国がバリバリの奴隷制となると、案外、それが見直されてる歴史って浅いんだね。そもそもウルトさんの活躍でこの国から完全に撲滅できたのが2~3年前だっけ。



「だとしたらですよ、たしかガバイナさんって彼女さんとか居ませんよね? なんとか竜族のいい助成を見つけて血を濃くしたり……」

「そうだな、それが理想だ………あっ」



 ミカの言葉に連れられてガバイナさんは自分の言ったことを後悔したようだった。今言った言葉は多分本心。それで、今この場にはガバイナさんに丁度いい竜族の女の子がいるわけで。

 ミカが後ろに手を回し、ローズに向かって親指を立てた。

 顔が真っ赤なローズとそれを見ていたマーゴさんが親指を立て返す。



「その、いや、違うのだ。悪魔で理想なんだ」

「そ、そそそそ、そうか! わ、我のことを言っているかと思ったぞ! わ、我は別に構わん! あ、言っちゃった……」

「ほんとうに気にしないでくれ、戯言だ」

「えっ……」



 うまい具合にローズの返事を聞き逃したみたいだ。こんな漫画みたいなことってあるのかな。今の半分告白だったと思うんだけど。



「……? やはり皆、冷ややかな目をするか……なに、若いローズに私がというのもおかしな話だものな」

「すまねぇ、ローズ。こいつがヘタレなのは多分オレのせいなんだわ」

「うっ……うぅ……か、構わん……うぅ……」

「なるほど、ラハンドさんとガバイナさんは二人ともヘタレなのね」



 なにこれ、混沌としてる。

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