3.僕と生徒会長ファンクラブ
ー 次の日 ー
僕は昨日、私立聖城学園に転入してきた
そして、学園内を見学していたらこの学園の生徒会長と名乗る女子生徒と知り合い、案内をしてやると言われ、一通り学園内を見た
(迷ったということは秘密にしておこう)
学園生活2日目。普通で平凡な学園生活を送ろうと思っているはずなのだが…
「…先輩」
「んー?なんだー?後輩」
工藤先輩が僕におぶさっている
「暑いので離れてください」
「やーだー」
今は7月中旬
とても暑いのだが、そんなことはお構いなしに工藤先輩はくっついてくる
「僕に何か用ですか」
「用…?えーっと、うぅーんと…」
ないならそんな考えることないと思うんですけど
「………忘れちゃった(つω`*)」
おいおい…まぁ、先輩らしいっちゃ、らしいよな
そんなことを話しているうちに学校についた
上履きに履きかえていると、工藤先輩が下駄箱の前でうつむいている姿が見えた
下を向いているため表情はよくわからないが、元気が無いように見える
「先輩?」
「っ?!」
工藤先輩を呼んでみると、驚いたような怯えているような反応だった
「どうしたんですか?」
「…あ…えっと…」
先輩の手には、数枚の手紙が握られていた
その手が少し震えているような気がした
「その手紙って」
「!い、いーだろー!ラブレターだぞ!ラブレター!」
あー、工藤先輩ってちょっと変わってるけど美人だしスタイルいいし、モテそうだもんな
「会長、」
そのとき、二階堂先輩の声が聞こえた
「おはようございます、日野君」
僕にはニッコリ笑顔で挨拶をしてくれたが、工藤先輩を見ると、呆れたような表情になった
「これで貴方へのラブレターは101通目ですよ、そろそろ処分してください」
「やだ!せっかく皆が私に書いてくれたのに、処分なんてできない!」
ひゃ、ひゃくいっつぅ?!
そんなにモテるんだ…
「あ、あの」
僕の言葉を遮るかのように、チャイムが鳴った
「やばっ…あ、失礼します!」
僕は頭を下げ、教室へ向かった
いそいで走っていたため、途中で階段に躓いて転びそうになった
教室に入ると、真っ先に僕に向かってきた人がいた
「きょーおーやぁー!!!」
岸部裕太。僕が転入して話しかけてくれた人の中でも、一番仲がいいと思う
「え、何?」
「お前!どーして桃香会長と知り合いなんだよおぉぉぉぉぉ」
またそれか…
入学初日にも、何人…何十人かに、そのことを聞かれた
全員知らない人だったけど、多分その半数以上の人が工藤先輩にラブレターを渡したんだろう
「えぇと、学園内を案内してもら」
「なぁぁぁんだぁぁぁとぉぉぉ!!!!」
声デカいし、うるさいから
「…残念だったな!」
「えっ?」
特に残念なことは何もないはずだけど
「桃香会長は…二階堂先輩と付き合ってるって噂があるんだよ!」
「へー」
そんな噂あるんだ。別に興味ないけどさ
でも、本当だとしたらちょっと意外だな…二階堂先輩って彼女つくるってかんじしないし
「俺は信じてないけどな!」
信じてないのかよ
「なーなー、会長と仲良いなら俺のこと紹介してくれよぉ」
「えー、やだよ、めんどくさいし。それに、工藤先輩がうちのクラスに来ない限り紹介なんてできない」
そのとき、教室の扉が開いた。そこには工藤先輩がいた
「とぉかかいちょぉぉぉぉぉぉぉぉ」
クラスの男子ほ全員が工藤会長の周りに集まった
すごいな、この団結力…
「お!みんな元気だな!…!日野君!」
今この瞬間から、僕はこのクラスほぼ全員の男子を敵にまわしてしまった
「あ、あの、工藤先輩。用は後でいいですか?今だと僕の命が危ないんです」
「そーかそーか、よくわかんないけどわかった!」
これで一応助かったぁ…
「!会長!」
「げっ!俊!」
あ、二階堂先輩だ。2人っていつも一緒だよな
「会議を抜け出して何をしてるんですか!全く…目を離したらすぐにどこかに行ってしまうのは、やめてください」
うわぁ…二階堂先輩めちゃくちゃ怒ってる
「探した?探した?大変だった?」
それなのに、工藤先輩は全く反省している様子はない。逆に楽しそうだ
「……はぁ…貴方の居場所くらい、すぐわかりますよ」
「・・・」
その一言で、工藤先輩ファンが凍りついた
本当の意味は『どこに行くかなんて想定内だ』ということだと思うが、裕太たちからすると『お前のことなんて何でもわかるよ』ということだと思う
「…と、桃香会長!」
「ん?何だ〜?」
「えっと、お付き合いされている人はいますか?!」
教室が静まり、工藤先輩が口を開いた
「…いない」
「!」
「付き合っている奴はいない」
その瞬間、工藤先輩ファン全員の目が輝いた
「そろそろ、行きますよ」
「えー!やだー!」
「会議、もう1時間増やしましょうか?」
二階堂先輩の黒い笑顔だ…
「うっ…わかった。じゃあ、放課後に生徒会室で待っているからな!」
「は、はい…」
そして、今、クラスの男子に睨まれたのは気のせいだと思う。思いたい。