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甲冑系巫女姫  作者: 遊森謡子
あとがき&創作メモ
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あとがき&創作メモ

後日談「一日の終わりのお約束」と同時投稿です。

『甲冑系巫女姫』、お読みいただきありがとうございました!

そしてクイズにご参加くださったみなさま、ありがとうございました!

ちなみに、ミリンダさんの名前にも、ええ、入ってます。あと、新しい甲冑の採寸をしてくれた二人の女性鎧獣人のうちの一人は、コジェウさんと言います(後日談にちらりと登場します)。


それでは、恒例のあとがき&ぐだぐだ創作メモです。


●きっかけ

これを書こうと思ったきっかけは、一枚の写真を見たことです。西洋甲冑の下にフレアスカートを履き、馬に乗って微笑んでいる金髪の美少女。何かのイベントの様子を撮ったものだと思うんですが、カッコ可愛かったな~。

でも私のキャラは、男性顔負けの戦乙女というのではなくて、格好は勇ましいのに逆にメソメソしている女の子ならどうかな? と考えました。

甲冑が閉じてアルマジロのようになる、というのも、やはり一枚の写真からでした。アルマジロトカゲっていう動物がいるんですが、ちびドラゴンみたいでカッコ可愛いんです!


●ヒロイン

寿々は泣き虫な上に、作中でほとんどおいしい思いをしないので、あまり一般受けするヒロインではなかったかもしれませんね(汗) こういうヒロインを書くのは初めてだったので、色々考えながら書くのはとても勉強になりました。自分を守るために言動に気を使い、どうしてもやらなくちゃと決めたことはやるけれど結局泣く、という(笑)でもだんだん成長して、侍女イズータとも少しずつ信頼関係を築くことができました。友情タグもつければ良かったかな。

ヴァレオのことも怖がってはいるんですが、寿々は自分に自信がないので、自分にないものを持っている人に憧れます。この人はこういうところがすごいなぁ、と思ったら、余程のことがない限り、もうその相手のことを完全に嫌うことはできないんですね。そんな風にヴァレオを見ているうちに、だんだん……という感じです。


●動物

さて、甲冑だの殻(?)だのとやっているうちに、サイも書きたくなってしまいました。調べていたら、作中で寿々も少し語っていますが、サイは突進する動物なので時速40~50kmで走れる(まさに一般道を走る自動車並)ことや、草食動物なのにほぼ敵がいないこと(とにかく堅いので猛獣が襲わない)などもわかって、面白かったです。動物園で実物まで見て来ちゃいました。細かく見ていくと可愛いんです、眠そうな目とか、身体と足の長さのバランスとか! アルマジロトカゲも見てみたかったけど、動物園にはいなかったので、センザンコウで我慢するか……と思ったら、巣箱にこもって出てきてくれなかった(泣)


●トリップ設定

異世界トリップにしたのは、まあ私が好きだから(笑)ですが、異世界トリップを書くときにいつもネックになるのは「元の世界の人間との関係」です。天涯孤独でもいいんですが、もう逃亡王妃でやってるし、血縁や友人、好きな人などのことをすっかり忘れたかのように振る舞うのはどうよ、折に触れ思い出す方が普通だよなぁと。

……じゃあ、思い出さない、ということを設定に組み込んでしまったら、どうなる?

そこから生まれたのが、血縁の記憶を奪われる、という設定でした。以前ざっくり版(第二章までの内容を12,000字くらいでざっくり書いたもの)を公開したときにはなかった設定です。この内容が、第三章へとつながっていきます。


●精霊

精霊魔法は、一度書いてみたかったので挑戦したんですが、難しかった! ちなみに遊森の精霊のイメージは、『崖の上のポニョ』に出てくるポニョの妹たちみたいな感じです。同じ顔したのがいっぱいわやわやわやーっと出てきて、一人一人は弱そうなんだけど大勢で行動すると強い感じ。この辺は、いつか別の物語でも書いてみたいですね。


●東原砦

砦も、資料本を見て考えました。もっと細かく書き込もうかなと思ったけど、あまりリアル過ぎてもこの物語の場合は興ざめかなと思ってやめました。たとえば、トイレ。中世の砦のトイレは、外から見ると外壁からぼこっと飛び出した形に作ってあります。その真下には、窓や扉は決して作りません。理由は……おわかりですね?(笑)


●ヒーロー

ヒゲは遊森の趣味です(きっぱり) ヒゲも好きですがハゲも好き(きっぱり)

ヴァレオのおっさん、最初は寿々をただの面倒な小娘だと思っていましたが、寿々が初めてぶち切れて記憶がないことを吐露したあたりから意識し始めます。甲冑を脱いで、身体にぴったりしたブラウスを着ているのを見たら、それほど子どもでもなかったし?

寿々がソルティと戯れるのを見て、「お前はこいつと接してる時が一番……機嫌がいいよな」という台詞がありますが、本当は「お前はこいつと接してるときが一番、(笑顔でいるから)可愛いよな」って言いたかったんでしょうねぇはい。寿々はしばらくの間、ソルティやグラーユたちにはたまに笑顔を見せるんですが、ヴァレオには見せてないんです。その後、寿々に部屋に入るかと聞かれてドギマギしましたねぇはいはい。仕事場にドレスガウン姿で現れた寿々を見てドキッとしましたねぇはいはいはい。そして第三回の停戦調停からの帰途、一度は笑った寿々が泣き出したのを見て、完落ち。

でもその直後、ミゾラムの登場で、彼の煩悶が始まります(笑)ミゾラムは寿々にとって理想の男性なんじゃないか、それに引き替え自分は、となってしまう。ミリンダさんに複雑な思いを抱いていたイズータさんと同じかも。

聖地に移動してからは、弱っている寿々の様子を見て寿々の好きそうな食事を作らせたり、グラーユにケアさせたりして、色々気を遣っているヴァレオ。寿々の名前も練習したんでしょうね。「お前は、芯は強い奴だ。(中略)そういう所が俺は……いいと思うぞ」も、「そういう所が俺は好きだ」って言いたかったんでしょうねぇはいはいはいはい。

……が、二人はまたもや喧嘩してしまいます。

 神殿で一人になった寿々に、話しかけるミゾラム。この時の会話、実は後を追ってきたヴァレオが聞いています。で、ミゾラムと寿々を残して聖地を離れるフリをする、という計画を立てます。署名の時、寿々とミゾラムがアイコンタクトで通じているのを見て、ものすごーく不安になっているヴァレオですが、計画は実行されます。

神殿の地下では、もうかなりデレているヴァレオ。寿々が怒るたびに可愛いとか思ってやがるんですよこの野郎。で、手放すの嫌だしアレやっちまえー! と、婚姻の儀式を強行しました。後はごらんの通りでございます。

そうそう、ヴァレオに特徴を持たせようと思って、口癖を設定してみました。オノマトペ(擬音語・擬態語)を繰り返す癖があるんです。「ベラベラずいぶんしゃべってたじゃねぇか」ではなく、「ベラベラベラベラずいぶんしゃべってたじゃねぇか」です。一部、語感を考慮して例外は作りましたが、ほぼすべてのオノマトペでそうしているので、チェックすると面白いかも?


●敵役

一方のミゾラムは敵役ですが、このお話は一人称でもあり、敵役だとはわからないように話を進めたつもりです。

祖母が日本人という設定を思いついたとき、この祖母が寿々と血縁関係というのもアリかとは思ったんです。が、あまりに都合が良すぎるし日本でのシーンが長くなっちゃうし、寿々とヴァレオを婚姻で結べば物語は成立するので必要なくて、やめました。

彼は少しずつ、寿々の信頼を得ようとしています。自分が日本人の血を引くことを明かし(これは本当ですが)、ツーリの思惑に関係なく寿々の力になりたいと話し、寿々の記憶が神殿の奥に眠っていることを教え……と段階を踏んで少しずつ惹きつけ、ついに神殿探索に誘います。それを断られても、ごり押しはしません。自分との間に秘密を作らせ(狙いは寿々にヴァレオに対する罪悪感を抱かせること)、寿々との関係をさらに詰めて行きます。寿々が偽物の巫女姫でも自分は寿々の味方だと表明し、本当のことをしゃべらせて自分を頼りにするように仕向けようとし、また失敗。それでとうとう、塩豆を使って寿々をおびき出さざるを得なくなります。聖地にはあちこちに人の目があるため、周囲の不審を招かないためにも、寿々には自分から来てもらわないと困る。

彼のその後はほんの少し、後日談で触れたいと思います。




また何か思い出したら追加するかもしれません。

お付き合いいただきありがとうございました!

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