秋です話:桜の恐怖
この話は秋に投稿したものです。
エイプリルフール……
それは人をだますことが赦される日。
エイプリルフール……
それは約束された、会合の日。
いざ、鎌倉へ。といわんばかりにネタの山引っさげ皆さん大人げない事してますか!
素敵な日ですよ4月1日エイプリルフーーール!!
この日ばかりはあんな真面目な人やあんなアホな人たちが人生かけた一世一代の馬鹿話を繰り広げるのです!
もちろん私が乗らないはずはありません。
もちろんここまで全てノリと勢いだけです。
「テンション高いね」
メタ的展開だって何のその。つまらなければ良いんです。
「つまらないんだ」
洒落オチな話書いといて今更つまらない話なんて書けるわけないですよ?
それはともかく。
きれいなピンクが吹雪いております。
いやー。桜が見頃と聞いてましたけどここまで見事に咲くとは思いませんでしたよ。
風もいい具合に吹いているし、お料理も泡の出る麦茶も知恵をくれる湯もみんなみんな美味しいし、まさしく言うことなんてない極楽だね。うん。
「眠いよー」
「寝るな! 寝たら死ぬぞ!」
いやー、皆さん例の素晴らしいお湯の飲み過ぎでちょっとおかしくなってますけど、御仏の試練ですので何にも問題ありません。
「現実は直視した方が良いと思うけどな」
何をおっしゃるそこの彼。
私は現実を直視してますとも。
外では花びらが積もり積もって1メートルオーバーなんて事になってるなんてあり得ないし、その上一部地域では花雪崩が発生して怪我人多数なんて事はありませんとも。
花びらが本当に吹雪いてるなんて事もありません。
まして私たちが遭難しているなんてもっとありませんとも。
「なんだ。分かってるんだ」
うう……。
そうなんです。実は私たちは今、近所の公園で遭難してるんです。
今私たちが居るのはその公園の中に何故かあった防空壕の中なのです。
確か今日はわりと暖かな日で。薄い長袖でもちょっと暑いかなーって、くらいのぽかぽか陽気。
吹雪なんて起きるはずがないのになー。
「まさか桜が咲きすぎで吹雪くなんて、お姉さん予想もしなかったわー」
「重複してるよ」
分かってますよ? こうして混乱を演出してるのが分からいでか。
それにしても。
ちらりと周りを見やればみんなのんきなものです。
「いやー、愉快、愉快」
と、お京。
「こりゃもう見事な花吹雪」
知らないおっちゃん。どうやらいつの間にか紛れ込んだらしい。こんな状況だから仕方ないけど。
「花吹雪とかけて何ととく?」
とは淳。そういえば笑点好きだっけ。リラックスしすぎだ。この落語マニアめ。
「酒ととく」
さっちん、律儀に答えなくても良いんですよ?
「その心は、飲めや歌えや大騒ぎ」
……この酔っぱらい共め。へたな大喜利やってる状況じゃないんだって。
ていうかヒムさんまで何で一緒に飲んでるんしょう。それは倫理的にまずい気がー。
「お湯だから問題はないな」
そりゃ、確かに湯ですけどね! 何上手いこと言ってんですか。
「お前もどうだ。飲めば知恵湧く般若湯」
うう、一人だけ酔い損ねるって結構辛い。
で、そこの彼。どうにかなりそう?
「みんな素面だったらまだなんとかなったかもね」
つまり、どうにもならんと。
「そう」
んじゃ、飲むか。ヒムさん、泡の出る麦茶プリーズ。
「あー、すまん。今切れた。あるのは芋水とブドウ水と、米水ぐらいだ」
なんですとー。まさか食べ物もなくなったというのでは?
「外の花びら」
イヤになるほどというわけですな。あってますかね、そこのおっちゃん。
「あっとるよ」
それは頂上。では、いざ参戦。
「……原因究明とか、助けを求めようとか、死力を尽くしてとか考えないの」
お花見ですよ? 華がいくらあっても困りゃしません。むしろ、歓迎。
彼はふう、と肩をすくめ、ため息。
「君って得な性格してるよね」
私なんかよりあそこの四人組の方がよっぽどだと思うけどな。
今なぜか笑い転げてるし。 何があったんでしょうかね。
「箸が、箸が転げっ……」
そんなお年頃か(ヒムさん除く)。
ま、それはともかくそこの彼。
「なに」
こうなった原因は何でしょね?
「皆目見当がつかない」
しらばっくられても困るんだけど。君何やったの。
「え、有罪確定?」
「怪しいのは他におらんしな」
「おっちゃん、よく解ってるじゃん」
「ええと、ツッコミ不可?」
許可。サッサとツッコめ。
「そこのおじさんが一番……」
「かっこいい」
「怪しいと思うけど」
さらっと言いますか。おっちゃんスルーされて寂しそうにしてるというに。
「さすがに出られるか心配になってきたからね」
え、合法的に学校サボれるからオールおっけーじゃないの?
と、ここで気づいてポンと手を打つ。
そうか。ヒムさんのあの態度はそれが理由か不良教師。
「今頃木を突き始めたのか。遅いなー」
……意味不明でござりますなり。
あ、微妙にさみしそうにしてる。
「いいや、へこたれん! へたれんこん」
……吹雪、本物? 何だろ眠くなってきましたよ? いや、寝たら死にそうだから寝ませんけどね!
それはさておき。
朝から吹雪き続ける桜は今なお止む気配を見せていません。この防空壕の入り口なんてとっくのとうに埋まってしまいました。
万能酸素ボンベこと彼がいるから窒息の心配はないけどいなかったら窒息確実だったろうなー。
何せ、ものは桜の花びら。柔らかくその上弾力もあって通風口なんか簡単に塞いでします。
水や熱で溶けることもないし、かといって火をつけたりしたらそりゃもう大変なことに。
そうなると救助活動はすっごい地道なものになってることが予想されるんです。
具体的に言うと人海戦術。この際倒れかけのお年寄りでも役立ちますって。
どうしたらいいのかわっかりっませーん。
「防空壕だし、何か無いかな?」
「その根拠はどこから?」
「あの辺から」
そう言って彼はおっちゃんを指さしました。
おっちゃんは相変わらずみんなと楽しそうに酒を飲み、談笑しております。
その様はまさしく大黒様か恵比寿様。朗らか朗らか。
「で、おっちゃんらがどうかしたのか」
「有り体に言うと…………。原因かな」
「まて」
中途半端なところまでです。
誰かが先にネタを使ってたらゴメンナサイと言うことで。続きは早めに上げたいところです。