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昔の話に。

私たちが小学生だった頃も今と同じようにいろいろ変な目に遭ってましたとも。

異世界行くなんて日常茶飯事。むしろ異世界の方がウエルカムこっちの世界。

宇宙人にだって会えました。訳の分からない能力を使ったことだってあります。

……さすがに吹き出しは付かなかったけどな!

そういう訳で、今回も過去の話です。


さて、誘拐されそうになった次の日のこと。

私は彼と学校に行きながら昨日のことを思い返していました。

彼が使ったのはとても凄い魔法。

時間を止められるなんて……。

それに気づいたとき私の顔にちょっと邪悪な笑みが浮かんだりしても誰が責められるでしょう?

「いや、普通に使わないって」

「読めるのか。人の考え」

「今のは誰でも分かると思うよ」

なにー。そんなに私は顔に出やすいというのか?

「今は思いっきり出てたし」

「あう」

私は呻いた。


私と彼はいつも通りに家に帰る。

彼と私の家は隣同士で、結構昔から行き来してた。

そんなわけで。

彼の家がいきなり白覆面だらけになっていてもすぐ違和感に気づいたわけです。

「行き来して無くても気づくって」

普通じゃない君が言っても説得力無いです。

「で、それより何なのさ彼らー」

「K.k.k。白人至上主義の人たちだね」

そばに誰か居る。彼のご両親じゃない。どうしたんだろ。

「それじゃ、ここでサヨナラだね」

「何で?」

「どうせ、またろくでもないことだよ」

彼は笑って私から離れていき、一度振り向かずに手を挙げた。

釈然としないが、そういうときもあるんだろ。彼にしてはちょい生意気な気もするけど。

良い親分はぷらいばしーも尊重するのだ。


彼女と別れ、一人で両親と白覆面に近付く。

どうせ、ろくでもないことだ。

僕はすぐに用意する。

この険呑な気配は彼らにも理解できるはずだ。

「何のご用でしょう。アメリカ国防庁の皆さん?」

両親と覆面達は少なからず動揺した。

当然か。狂った宗教団体を装うとまでして変な格好してきてあっさりばれたのだ。

「な、何のことかね?」

「父さん、母さん。何でこいつらと一緒にいるの?」

父も母も答えずらそうに一瞬目を泳がせる。

「ま、いいか。さすがに年間百万ドルは安いと思うよ」

「ち、違うの」

母が抗弁しようとする。僕はそれに哀れみの笑みを浮かべ、白覆面に向かって話しかけた。

「僕はここからどこかに行くつもりはありません。お引き取りを」

「しかしだな、もう支払いは」

そこで覆面が破れる。当然だが、僕の力によるものだ。

「お引き取りを。ついでにそこの二人も処理してくれると有り難いんですけどね?」

驚愕する空気。

「何を驚いて居るんだか」

僕は笑う。その程度の覚悟もなく?

「君たちは何に手を出そうとしているのか本当にわかっている?」

笑みを消し、怒ったような顔を作る。

父は顔を伏せ何かに耐えている。母が真っ青な顔であさっての方を見ている。白覆面の代表は無表情を装っている。

他の者達は動くことさえ出来ない。

「わ、分かっているつもりです。世界の王よ――!」

直立不動になって白覆面の代表がかろうじて声を絞り出した。

「あなたを者のように扱ったことの非礼はお詫びいたします。しかし理解していただきたいのです」

必死になって言葉を募らせる彼。それはどこか滑稽だ。

「こ、この事は世界平和の――」

「平和ってなんだい?」

「それは争いが――」

「僕の力に頼って、それがどこの平和なんだ?」

「ですから」

「詭弁はいらない。恐怖によって押さえつけるのか? それとも操り人形にでもするつもりなのか?」

彼らは何も答えない。頭があるのを寄越してきたらしい。

「いいえ、違います!」

「絶対者の支配か。僕は兵器か?」

「――」

彼は黙して語らない。

「平和を語るなら、まず君たちが変わらなければ」

説得力無いよ、と僕は吐き捨てた。

「僕の力は恣意的に使うわけにはいかないんだ」

話は終わりとばかりに僕は家に入った。

怯えている父と母は見限ることにした。

殺しはしないだろ。


あの野郎何やってんだ。

私はこっそり二階のトイレの窓から覗いていた。他に気づかれなさそうなとこがなかったのである。

え、何でそうまでしてか? 好奇心は猫も殺すのである。えびせんと同じなのです。

それにしても彼がご両親を見捨てるなんて思わなかった。

さもありなんかも知れないけど。

あ、ご両親解放された。ご両親は家に帰りました。

良かった良かった。

……って、良くないよ! このままだと彼との間に妙な確執が!

と言うわけでお姉さんの出番の気がしますよ。行ってきますか。行ってこよう。

というわけで。

「おかあさーん。ちょっと彼の家行ってくんね」

「なにぃ? 討ち入ってくる、戸田ぁ?」

誰やねん。戸田。と言うかそもそも討ち入って来るじゃありませんよ、母上。

私はあえて突っ込まずに。

「じゃ、いってきまーす」

いそいで抜け出した。

母さんが微妙に寂しそうなのは無視しましたが。


で。場面換わります。CM入りマース。開けたら私捕まってマース。


えー、おや。確か私は彼の家に訊ねる途中だったはずですよね。

「その娘を放せ!」

彼がものすごい必死な顔で叫んでます。えー。イメージ崩れるー。

「ご両親は見捨てるくせにこいつにはご執心ではないですか」

何かやらしい声の白覆面。私の家も彼と同じ様なのに包囲されてしまってます。

ロケットランチャーは鬼だと思います。だからといってサブマシンガンとかショットガンならい行って訳でもないんですが。

というか、なんで私捕まってるんですか?

「彼女は、関係ないだろ!」

男がにやりと笑うのが気配で分かります。頭に突きつけられた銃口が痛いですよー。

ああもう、情けない。親分が子分の足を引っ張るなんて。かくなるうえはー。

「私のことは良いからやっちまえー」

「なんで緊張感ないんだ。君は!」

えー? これでも精一杯緊張してますよ? 蚊が落とせる程度には。

「それは会社の名前と引っかけたの?」

あ、なんか彼から緊張感が失われていきます。私そんなに変なことしたかな?

ていうか読むな人の思考。

なんかこの男も緊張感なくしてます。「ここはもう少しやる気出すとこですよ、悪の親玉」

「誰が悪党だ!」

「おや、私太りだしましたか」

「二回目だよ、それ」

彼は呆れながらも突っ込み。でも、私前に使った覚えないけどなぁ。

「どうでもいいからもう少し緊迫感を持ったらどうかね?」

「だそうだよ、そこの彼」

「君に言ったんだと思うけど」

心外な。私のどこを見れば緊迫感がりぼぞーむほど無いなんて見えるのか。

それを彼らに言ってみたら。

「「その余裕ありそうなとこ」」

ハモりやがりました。

「たーすーけーてー。とでも言えば緊迫してるように?」

「その間延びした声で言われても」

「確かに」

呆れたように言う彼と、激しく同意する白覆面親玉。

「それじゃ襲われるー」

「変わらない!」「変わらん!」

異口同音ですか。

「あー、ともかく。この子の命が惜しくければ……」

「強力粉」

「そう、強力粉するんだ」

しばらくの停滞。即座に気づいて復帰。

「違う! 強力粉するっていったい何だ!」

「うどんをうつんだにょー」

「ええい! 余計なちょっかい入れるな!」

短気なことに怒りだしてます、この人。

「なんか同情したくなってきたよ」

え、私、ひどい奴扱い? そりゃないですよ、そこの彼。

「おまえ……。同情するならきょう……」

「郷里苦」

「郷里苦してくれ。……て、おい」

なんか怖い目で睨まれてる気がします。

「君もいい加減にした方が良いよ」

「えー? 悪党おちょくるのは基本だよ」

「ふざけんな、このガキゃぁ!」

おー、とうとう切れた。

「残念なことに彼女は真面目なんです」

良く言った。そこの彼。誉めてやろう。て、それはさておき。

「で、いつ助けてくれるの?」

なんかわめいてるオッサンは無視です。耳元で騒がないで欲しいなぁ。捻りないし。オチもなさそうだし。

「……ごめん。忘れてた」

彼は完全にいつもの調子に戻ってます。さっきまで怒ってたのが嘘のよう。

彼は即座に手を高くかかげました。後ろの人が勘違いして「観念したか」なんて言ってますが、彼は聞く耳持ちゃしません。そのまま指を鳴らしました。

ぱちいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ…………ん

いい音が響きました。多分時間停止の合図だと思います。なので、私は拘束から抜け出しました。

「ありがと。誉めてやる」

「恐悦至極に存じます、かな?」

私は鷹揚に肯いてやった。

彼は嬉しそう。うむ、私も嬉しくなる。

「さて、それじゃ君はもう家に帰った方が良いかな」

「中には居ないかな?」

「大丈夫。入ってない」

じゃ、いいけど。私はとりあえず安心した。そしたらお腹がすいた。

ので、彼の言うとおりおとなしく帰ることにした。

「んじゃ、帰るけど親とは仲良くすんだよー」

彼は返事をしない。

「へ・ん・じ!」

「はい」

おざなりに返してくる。本当に分かってるのか。

「それじゃ、今度こそまた明日」

私は家に入った。


彼女が家に入り、その場に残されたのは僕と白覆面達だけだ。

そして、止まっていた彼らが動きを再開させる。

今回僕は時を止めるなんて大技を使っていない。彼らに暗示を掛けて動けなくしただけだ。

言ってみれば彼らの時間を止めたようなものだった。

さて、これからは後始末。

「君たち」

「お、お前今何をした……!」

その戯れ言は無視。他にも呆然としてたり、がたがた震えてたりしてるけど。

「お祈りを済ませたら?」

それが彼らの聞く最期の言葉になった。


彼と彼女(いまでも仮) 『過去話』終了

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