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神姫物語

吸血神姫《ヴァンパイア・プリンセス》 予告編

作者: 瓜姫 須臾

これ、短編になってしまったんですが…………。

ちなみに、本当は、短編じゃなくて、連載モノです。

予告のように受取っていただければ……と、勝手に思っております。

本当にすみません。


2015/1/28


大幅な改稿を行いました。


 


────この世界にはまだ世間に知られていない裏側がある────。



 そう、誰かが言った。




 何時の時代の誰だったかなんてわからない。



 しかし何時の時代も、そういうことを主張する者は必ずと言っていいほど存在する。



 いや、子供の頃は誰しも皆、そういうものに憧れる。


 しかし、これからお見せする話の世界ではそういった裏の世界に運命を翻弄される少年少女の話であり、そういう裏が存在するというのである。


 これはその話のどこかで起こった小さな小さな話。


 それでは少し覗いてみるとしよう…………。



******


「……よし。

 いい調子だ…………」


 その声を聞いて目を開けようとする。


 でも、体は思うように動いてくれなくて目を開けることができない。


 そのとき、



「…………っ!!

 おい!

 止めろっ!!」


「被験体の脳波が活性化してるぞっ!!」


「今、起きられたら……困る……っ!」


 と慌てる声がする。



 その声から察するに、周りには数人の男がいるようで。



 しかし、不思議と不安はない。



 むしろ、誰かが守ってくれているような安心感が大きくて。


「…………」



 急速に意識が遠退き、途切れてしまう。



「……よし。

 なんとか眠ってくれたようだ…………」


 という声を皮切りに男達は安堵の表情を浮かべ、吐息を漏らす。



 男達が今いるのは、日本国政府が極秘裏に建てた研究所の一室である。



 目の前の寝台には、少女が横たわっている。


 少女の体には様々な計測器具が装着され、腕からは管が伸びている。


 よく見ればとても整った顔立ちをしている。


「…………しかし、妖というものは不思議だな。

 まだまだ子供に見えるのに……」


 一人の男が呟く。


 それに、


「……そうだな。

 これでもう立派な吸血鬼だというのだからな。

 妖とは強い者達だな…………」


 と違う男が応える。


 男達が話しているのは目の前の少女についてだった。


 一見普通に見える少女だが、よく見れば明らかにヒトではないとわかる。


 その額には人では描ききれないほどに精巧な紋様が刻まれていて。


 爪や牙はかなり鋭く伸びて。


 その長い髪はこの蛍光灯の光を受けて蛍光灯よりも明るい光を放っているようにさえ見える。



「しかし本当に人間と交わるなんてできるのでしょうか…………」


 呟いたのは男達の中で一番若そうに見える青年だった。



 そもそもこの研究所で行われているのはヒト為らざるモノと人との混血児を造り出す実験だった。


 だが何十年も続けているのに一向に成功の兆しが見えてこない。


 それが担当研究員となっているこの男達の悩みでもあった。


 少女はある時ふらりと現れ、研究に興味を示して協力してくれるようになった。


 しかも、自らの命とも言える吸血行為を研究の為に控えてくれていた。


 吸血鬼の再生力と不死性は吸血行為で取り込んだ血から生命力を己が力に変換する事で得られる代物。


 久しく吸血行為を控えてくれている少女の不死性は一時的に失われてしまっていてもおかしくはない。


 だが、この目の前の少女が研究に協力するようになってからは少しずつ成功に近づいていた。


 それ故、この少女に死なれては困る。


 だから、安全第一に実験を進めている。


 しかも今では男達は禁忌にまで触れてしまっていた。


 生命の創造神を捕らえ、実験に利用していたのだ。



 もう後戻りなどできないくらいに深く。



 生命の創造神から採取した細胞を少女の生み出すしゅタネに融合させることで安定させて萌芽させようとしているのだ。



 これを少女が知ったら、男達に反旗を翻しかねない。


 闇に生きるモノの代表として扱われる吸血鬼だが、むしろ光に生きるモノよりも世界のことわりを重んじている。


 生物の理を。



 離れていく少女を無理矢理にでも留めようとすれば、圏族の吸血鬼達がその瞬間に駆けつけてくるだろう。


 そうならないためにも、今は起きられないほうがいい。



 もちろん少女が眠っている限りそんなことは起こりえないと男達は思っていた。



 だから。



 男達にとって束の間の談笑も終盤に差し掛かった時、突如として危険を知らせる警報音が研究所内に鳴り響く。



 男達は突然の出来事に驚いてしまい普段からシミュレートしてきたこういう場合の対処をすぐに実行できない。



 だが驚くのも無理はない。



 それは少女の圏族の吸血鬼達が侵入してきた時に鳴るはずの警報音。



 だが、侵入してきたのはただひとりの人間の少年。



 それは、人間相手に決して鳴るはずの無い音。



 少女が眠っている限りは、起こらないはずの事態が起こったことを知らせる音のはずで。



 しかし、これは夢などではなく正真正銘の警報音。



「どうしたのだ」


「何が…………」


 そう男達が言っているうちに侵入者によってまんまと生命の創造神と融合させられた少女は、そのまま侵入者の少年に喰われる。




 そうして、とてつもない力を身に宿した侵入者の少年の手でみるみる世界は塗り替えられて────────。


******


 おっと今回見せられるのはここまでですね。



 さて、この後の世界はどうなったのか。




 ………………気になりますか?





 仕方ありませんね…………。




 簡単に言うとですね……、




【────研究所で行われていた実験は無かったことに。


 そしてある女の子と男の子は引き離されて。


 その二人は、本当の自分の役割を忘れて。


 しばらくの間、世界は『破滅』という名の偽りの平和を享受することになる。


 やがて引き離されて本当の自分の役割を忘れた女の子と男の子は仲間達の手借り、再び再会する。


 再会して、役割を思い出す。




 その再会は“奇跡”を呼び起こす。




 『祖先との邂逅』という名の奇跡を。




 女の子だった少女は成長し、ヒトとの間に子を成した祖先の真意を悟り。


 男の子だった少年も、自らの圏族になった元人間の女性との間に子を成した祖先の意志を継ぐ。




 そして、一族とその仲間達は最後の戦いへと赴いていく────】



 というふうになるようです。



 これまでも、その一族の先祖と子孫は運命に導かれてその血に目覚める時、必ず何かが起こってきた。


 それで全ての物語の幕は上がり、語られていった。




 そして今────。



 今までの全ての先祖と子孫、そしてその仲間達が集まるとき、『最後の物語』の幕が上がる。



 破滅という偽りの平和へ塗り替えられた世界で。



 しかしその話を読み解くにはまず、今までの世界の話をしなければなるまい。



 貴方はその眼で、今までの世界の、そしてその一族の話を確かめることになるだろう。



 それでは、そのときまでしばしの別れとしましょう。

初投稿です。

初めてなので、かなり、とても短めにしました。

これから、できる限り、もっと、良い物に仕上げていけたらな、と思います。

どうぞ、お手柔らかにお願いいたします。

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