さいしょのひとことのまほう
「りん、じぶんのランドセルはじぶんでもって」
そういって、お母さんはりんちゃんにピカピカのランドセルをわたしました。
でもりんちゃんはふまん顔。
ようちえんをそつえんして、お友だちとしょうがっこうにかようのがたのしみだったりんちゃん。
だけど、お父さんのおしごとのつごうで、ひっこしをしたので、お友だちと、はなればなれになってしまったのです。
大好きなお友だちと、はなれたのもかなしい。
ですが、りんちゃんのふあんはそれだけではありません。
あたらしい町も知らない人ばかりで、むねがキュッとしました。
「りん、しょうがっこういきたくない。」
「また?ようちえんでもお友だちできたんだから、しょうがっこうもだいじょうぶよ」
りんちゃんは、目にいっぱいなみだをため、首をいっしょうけんめいよこにふりました。
ようちえんのときにお友だちができたのは、お友だちのほうからいっぱいお話してくれたからなんです。
りんちゃんははずかしがりやで、自分からなかなかお話しできません。
りんちゃんはなみだを手でふいて、ぴかぴかのランドセルをせおって、しかたなく自分のへやにいきました。
おかあさんはねむる前、かならずえほんをよんでくれます。
明日から学校ではじまるのがふあんなりんちゃんのために、りんちゃんのお気に入りのえほんをよんでくれました。
きれいなまじょがほしいまほうをひとつくれるお話です。
りんちゃんは「あしたがっこうか…。いやだな…。」とおもいながらまどのそとを見つめると、そこにはほうきにのったえほんのまじょが!
りんちゃんはびっくりして、まどを開けます。
するとうつくしいまじょはニッコリ笑って
「こんや、いっしょにたびをしない?」といって、りんちゃんをまじょのほうきの後ろにのせてくれました。
「わぁー!!!!!」
町のひかりがどんどん小さくなります。
そして、目の前にはたくさんのほしのかがやきがひろがっています。
まじょはりんちゃんを空の上のくににつれてきてくれました。
どうやらおまつりをしているようで、くものようなふわふわわたあめや、ほしのようなキラキラしたこんぺいとうなどが売られています。
「おいしそう…」
りんちゃんの目はおほしさまよりもかがやいていました。
まじょがりんちゃんの手をとり
「はい。ここでつかえるお金よ。好きなものかってきたら?」と、にじいろのコインをわたしてくれました。
「でも…」りんちゃんはおかいものをしたことがありません。
なので、上手にできるかふあんなのです。
するとまじょはニッコリ笑って
「わたしもついてってあげるから、自分でお話してみましょう」とわたあめやさんにいっしょに来てくれました。
おみせの前に立ち、りんちゃんはきんちょうして、しんぞうがはりさけそうです。
ふと後ろにいるまじょのかおをみると、りんちゃんにきづきニコッとわらってくれました。
「だいじょうぶよ。さいしょのひとことだけでいいから」
りんちゃんはグッとコインをにぎりしめ
「…これ、ください!」とわたあめやさんにコインをわたしました。
わたあめやさんもニッコリ笑って、
「どうぞ」と、りんちゃんにわたあめをわたしてくれました。
「ありがとう!」とすこしじしんたっぷりにりんちゃんはおれいをいい、ふわふわのベンチでわたあめを食べてました。
そのようすを見ていたまじょが、小さいこえで
「もうだいじょうぶね」といったような気がしました。
ピピピピピピピピピピッ
「りんちゃん!起きて!今日からがっこうよ!」
「…あれ?ゆめ?」
「なにいってるの?ほら、ごはん食べて」
りんちゃんは、がっこうへ向かいました。
きょうしつで先生を待っているとき、おとなりのせきの子のキーホルダーが、あのえほんのまじょでした。
りんちゃんは気になって、話しかけたいけどソワソワして、どうしようかなやんで、グッとそのこの方をむいて、小さくこえをかけました。
「…そのまじょ、えほんのだよね?すきなの?」
「う、うん!すきだよ!あなたも?」
「うん!わたしも!」
りんちゃんは少しだけゆうきがふえたような気がしました。
キーホルダーのまじょもウインクしたかのように見えました。




