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 隔離施設の使用人達

 リミットベイはイルリットの前で止まり軽く会釈をして。


 「イルリット殿下。こちらにおいで・・でした・・か?その肩の羽の生えた小さな人型のお方は?」


 「その前にリミットベイ隊長は廃嫡された私を見限ったのでは?」


 「なっ何を仰るのですか?」


 「謁見の間を出て来たら居なかった」


 「連絡もせず姿を消した事。謝罪いたします。申し訳ございませんでした。

 別邸に報告に行っておりました」


 「リット。リミットベイ隊長は嘘は言って無いですよ。忠誠心も変わってはいないですよ」


 「そうなの?」


 「はいなのですよ」


 「リミットベイ隊長。疑って申し訳ございませんでした」


 「頭をお上げください。

 護衛の立場で主の元を報告無しで離れることなど、わたくしの大失態でございます。

 以後は十二分に気を付けます」


 「廃嫡を聞いて慌てた?」


 「はい。心の準備は出来ていたはずなのですが、一早くライニー侍従長にと気が競ってしまいました。

 ライニー侍従長には、『何故お一人にしたのか』と、きつく叱責を受けました。

 予測される事態に対し、気が動転する事など隊長としては有ってはならぬ事。

 王城に向かいましたら既にお姿は無く・・・まさかきのうの。と、心の臓が潰れる・・・。

 この度の失態。深く反省し謝罪いたします。

 大変申し訳ございませんでした」


 「リミットベイ隊長には今後も隊長として・・・私は廃嫡でここを出なければなりません。

 自由に


 「そのお言葉。今暫く待っては頂けませんか?」


 「判りました」


 「ありがとうございます」


 「それで探しに来てくれたのですか?」


 「はい」


 「ありがとう。リミットベイ隊長。

 ファーナ自己紹介」


 「リミットベイ隊長様。初めましてなのです。

 いつもイルリットとガゼボでお茶をしていた妖精のファーナなのです」


 「やはり?し 失礼いたしましたぁぁ。妖精様とは知らずにご無礼をぉぉ」


 (あぁあ。取り乱しちゃって。傅くのも今更だよ)


 「構わないのです。立ってくださいなのです」


 「ははぁぁ。失礼いたします」


 「リミットベイ隊長。本来は見えなくともそうする事が必要だったのでは?」


 「そうでしたぁぁ。この八年。とんだご無礼を。平に平にご容赦願います」


 「いいですよ。イルリットを敬う気持ちが私は好きでしたから」


 「ありがとうございます。

 失礼ではございますが書物上にも無く、お姿も大きさも解らない。前代未聞の事と思いますが」


 「そうなるですねぇ」


 「それが正解だね。今、リミットベイ隊長はとても貴重な現象を目の当たりにしている事になるね」


 「もう、驚き過ぎて何が何やらさっぱりですよ。

 それで、イルリット殿下に宿った事に?」


 「妖精の力がどうなるかは未知数だけど、何故か顕現した状態で私に付いて行ける事になったよ」


 「この教会内で・・ま まさか創世のアクアスカイ女神様のお導きが」


 「そうみたいだね」


 「そのような感じなのです」


 「まさか、イルリット殿下はアクアスカイ女神様の使徒様?」


 「内緒ねっ」


 「ははぁぁぁ」


 「傅いてはいけませんよ」


 「はいっ。それで創世のアクアスカイ女神様は実在したお方」


 「そうなるよね。今ここで三人で会話していたよ。誰も信じないだろうけど」


 「イルリット殿下。

 わたくしはイルリット殿下の忠実なしもべ。

 主が信じるもの全てわたくしが信じるものと思っております。

 そして使徒様であることも」


 「ありがとう」


 「他の者には?」


 「今は三人の内緒」


 「はっ。心得ました」


 「で、用件は何でしょうか」


 「そうでした。とにかく別邸の方へ来ては頂けませんか」


 「判りました。行きましょう。ファーナもね」


 「はい。なのです」


 (まさか、兄たちが物色に来た?遊びにってここへ?リリースが危ないですねぇ。

 まぁ今はまだ継承権第一位の身分ですから好きなようにはさせませんが)




 隔離施設の外には家具類や食器、私の部屋のドレッサーまで並べられ、天日干しがされている状態だった。


 「えぇぇっとぉぉリミットベイ隊長これは?」


 「わたくしの部下を含め全員。引っ越しの準備です」


 「一応聞いておきますが、ご実家にお帰りになる?」


 「ええ。新しい実家となる、ウォーガット領の城です」


 「皆さん、ご家族もおありになるでしょう?」


 「家族も含めてイルリット殿下の使用人で従者ですよ。そちらも準備中ですよ」


 「学校とかは?」


 「マーリレス様の指導を受けて、優秀な教師過ぎてダイコー教師協会会長に疎まれ辞め、今はイルリット殿下の教師役のミッチーネ先生が居るではありませんか。

 ウォーガット領に行けば『学歴がぁ』なんて言う輩は居りませんよ。がぁぁはっはっはっは」


 「豪快ですねぇ。

 しかし、どうしたものでしょうか」

 (高笑いに気付いたのでしょうね。全員が出て来ちゃいましたね)


 「イルリット殿下」


 「ライニー侍従長。どう言う事でしょうか?」


 「その前にその肩のお方は妖精様のファーナ様」


 「ライニー侍従長さん。ファーナです。いつも美味しいクッキーをありがとうなのです」


 「し 失礼いたしました。

 もしやイルリット殿下のお力で人型で顕現なさったと」


 「そうです」


 「は はぁぁぁ」


 (あららぁぁ皆さんが傅いてしまいましたぁぁ)


 「皆さん。立ってくださいなのです。お世話になったのは私の方なのです。色々ありがとうございます」


 「とんでもございません。いつも失礼を致しておりましたぁぁ


 「「「お許しくださいぃぃ」」」


 「私の大好きなリットを愛して下さる皆様の事が私は大好きなのですよ」


 「「「ありがとうございます」」」


 「ですから皆様立ってくださいなのです」


 「「「はいっ」」」


 「それでライニー侍従長。大掃除の様なこの有様は何でしょうか?」

 (多分、付いて来るって言うんでしょうね)


 「それはもう立つ鳥跡を濁さず。です」


 「まさか本当に付いて来る気ですか?」


 「リミットベイ隊長から聞きました。

 イルリット殿下を廃嫡。

 この国の為にどれだけご尽力なさったか陛下はご存じ無いのでしょうか。

 ご自身が贅沢三昧出来るのもイルリット殿下のお陰と理解できないのでしょうか。

 今この平和はイルリット殿下がもたらしたもの。少なくとも王都の住民はそう思っております。

 廃嫡となれば見る見るこの国は斜陽して行くでしょう。

 その上、マーリレス様が不貞などあり得ません。愚弄するにも程度と言うモノがります。怒り心頭で・・失礼いたしました。

 それで、あの二人のどちらかが国王ともなればバールデシタ帝国を凌ぐ強権国家となるでしょう」


 「でも、私が行く場所はミウラール王国内のウォーガット領ですよ」


 「幅一キロの大河と山脈の北側。妖精の高位の転移術を以てしても高難易度。容易く渡河出来ません。言わば自治領。

 その地でイルリット殿下の元で暮らしたい。

 もし、万が一が起きればそれはイルリット殿下と共にこの世界を立つことになります。それは本望と思っております。

 これが今さっきこの者達と話した総意でございます。


 「「「お供させてください」」」


 (仕方ありませんねぇ)

 「確認です。いいのですね」


 「「「はいっ」」」


 「では、今を以てイルリット・ファム・ミウラールの近衛兵及び使用人を解雇致します。

 総務部への手続きは私がしておきます。

 そして、再雇用先はカガミザキ商会。ご存じですね」


 「「「はいっ」」」


 「受付のアルレシアに念話を入れました。

 ライニー侍従長。こちら全員分の城外外出許可証。解雇通達証は後でも問題は有りません」


 「ありがとうございます」


 「兄達に嗅ぎつけられると面倒ごとに巻き込まれます。

 ウォーガット領に向かうお方全員、荷物を纏めて直ぐに向かってください」


 「「「はいっ」」」


 「家族纏めて行くよ。出口は北口通用門」


 「「「はいっ」」」


 「イルリット殿下。ここに居るわたくし達全員も行きますが」


 (カッコイイ近衛の装いでの うんうん が可愛いんですが)

 「リミットベイ隊長。ここの後の事は私がやっておきますからご心配は無用ですよ」


 「はい。では、後程」


 「リット。お願いがあるです」


 「はい」


 「マードさんの所に行くです」


 「さっき裏庭に走って行ったね」




 農機具小屋に頭を突っ込んでいるマード。


 「マード」


 「これは殿下。ファーナ様。

 ようやっとファーナ様のお姿を。ご尊顔を拝見出来ました。思い描いていた通りのお可愛いお方でした。ああ。失礼でしたね


 「可愛いですか?」


 「はい。とてもお可愛く、殿下と良くお似合いでございますよ」


 「ありがとうなのです」


 「これでもう思い残すことは無くなりました。

 農機具を揃えて置いておきます。あちらで使ってください」


 「マードさんは一緒には来てくれないですか?」


 「ファーナ様。あちらは厳しい土地と聞いております。

 老いぼれ爺が付いて行けばそれこそ足手纏い。殿下やファーナ様にご迷惑をお掛けしたくはございません。

 あの家が。妻と長年暮らしたあの家こそが終の棲家で私と妻の墓でございます。

 殿下のご活躍を祈りつつ妻の元に行こうと思っております」


 「マード。あの家とここの花壇。いや、裏庭全部持って行ったら終の棲家もお墓も無くなってしまうよ」


 「いいのですかマードさん」


 「この広大な庭で生花が植わっている状態。

 もしその様な摩訶不思議な事が出来るのであれば、付いてぇぇえぇぇぇぇ?」


 「終わりました。お花たちも裏庭の形も家もそのまま収納。

 あちらのお城で温室と言う大きな部屋を作ります。太陽の光も夜空も見えるお部屋です」


 「何とも凄い能力をお持ちで。

 殿下もファーナ様もお人が悪い。まだ爺に働けと?」


 「はい。私の元でまだまだお花の手入れをして頂きますよ」


 「マードさん。今度は一緒にお花さん達の中でお茶を飲んでお話しするですよ」


 「妖精様に誘われては断れませんな。

 お茶会へのご招待。確かに承りました」


 「やったぁぁ。なのです」


 「無理言って申し訳ない」


 「いえいえ。頭をお上げください。

 これからも命ある限り、ファーナ様と殿下の癒しの場所を手入れさせて頂きます。よろしくお願いいたします」


 「こちらこそ」


 「これでまた一つ欲が出て来ましたぞ殿下」


 「何でも言ってください」


 「殿下のお子様を抱くこと」


 「えぇぇぇ?」


 「叶えて下さいまし」


 「あぁぁえぇぇっとぉぉ


 ファーナは私の肩で両手で口を押えて笑っているようだった。


 「お話しは決着しましたか?」


 「ライニー侍従長」

 「ライニー侍従長さん。なのです」


 「ようやく観念しましたか頑固爺」


 「そんなにだったですか?」


 「ええファーナ様。ゴーレムが押しても動かないほどに」


 「相当なのです」


 「ファーナ。その想像は違うよ。真に受けてはダメですよ」


 「リット、違うですか?」


 「この頑固爺を連れて行けるのは、やはりイルリット殿下とファーナ様しかいらっしゃいませんでしたね」


 「侍従長。頑固爺とは


 「いいから。他の支度もあるでしょ。いらっしゃい」


 「あぁぁれぇぇ


 「「ぷっぷっぷっぷっ」」


 「楽しくなりそうだね」


 「はい。なのです」


 「私達も準備を手伝おうか」


 「おぉぉ。なのです」

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