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 危機感を募らせるイグアス派閥

 謁見の間を出て。


 (はぁぁ。うぅぅんっと。すっきりしたぁぁ。あれ?リミットベイ隊長は何処に行ったのでしょうか?

 ああ、廃嫡ですからね。見限られましたか。まぁいいです。

 あっ。ファーナどうしよう。このまま、教会に行ってみましょうか。

 先程飛び出していった貴族はそちらにいらっしゃいましたか。いっぱい居ますねぇイグアス派閥。

 でも、さようなら)


 「おいっ。話しってなんだ」


 「まだ、後ろ姿が見えてる。小声で話せ」


 「私達イグアス派に関する事だ。

 よく聞け。

 ウォーガット領の件はこれで終了した。

 しかしだ。イルリット王子殿下が


 「もう呼び捨てでいいんじゃないのか?」


 「いいから聞け。イルリット王子殿下が死んだらまた同じ事の繰り返しになる。意味は分かるな」


 「ああ」


 「でだ、速攻死なれては困る。ただでさえイグアス派は立場が弱い。

 そこでだイルリット王子殿下に遺書をしたためてもらい、私達イグアス派の貴族を次候補から外してもらうように記載してもらうことだ」


 「「「なるほど」」」


 「しまったぁぁ」


 「どうした」


 「言うの忘れて居たぁぁ。えぇぇい今更だ。

 おいっ。この中にイルリット王子殿下と同じ時期に学校に通っていた子は居ないか。挙手」


 「---」


 「七人いるか。すまないがこの話しから抜けてくれ。イグアス派を辞めろとは言わない」


 「どう言う事だ」


 「子供から聞いているだろう。学校で生徒、教員が一丸となってイルリット王子殿下に理不尽な暴力を日常的に振るっていたことを。

 きのうの卒業式後も酷かったそうじゃないか。

 陛下も見て見ぬふりのようだが」


 「ああ。聞いている。だが


 「中等部。高等部含め六年間首席だぞ。二百ページに及ぶ魔法書の魔方陣までを含めた文字を暗記で一言一句違わず書き記すことが出来るんだぞ」


 「そんなに記憶力が良いのか」


 「そう言えば事務局に務めている俺の娘が言っていた。

 全ての貴族は言うに及ばず、王城勤務者のほぼ全員と出入りの業者の顔と名前。年齢。家族構成迄覚えているそうだ。

 でなきゃ、十三カ国を相手に一人の大使では務まらん」


 「考えてみれば凄いお方だよな」


 「お前。感心している場合じゃないぞ。イルリット王子殿下を一発でも殴っていたら顔も名前も覚えられていると言う事だ」


 「と言う事は」


 「さすがに身分の平等を謳う学校内の暴力行為でも理由無き暴力は不敬罪の適用範囲だ。

 さっき調べて分かった」


 「何だとぉぉ」


 「皆も知らなかっただろう。

 それとだ、皆もやらされたと思うが、相手の妖精の力の波動のチェック」


 「あれ苦手だったなぁ「全然わからねぇの「何処に存在しているかすら解からん」


 「王立大学部のキャラカン教授の発見だったか。一人一人の持つ妖精の力の波動が違い、二つとしてその波動が同じものが存在しない。

 エルフやドワーフの一部には見えているとの研究結果だったか」


 「それだ。イルリット王子殿下は妖精を宿している生徒百人全てを的中させている。キャラカン教授が証明した」


 「「「「何だとぉぉ」」」」


 「だから、一発でも殴っていたら覚えられている。妖精を宿していたらなおの事。

 でだ。妖精の力が使えない。畏怖の存在は暴力を振るっていい理由にはならない。証拠など公安に行けばいくらでもある。

 実際、私の子供もお前達の中にも妖精の力が使えないものは多い。

 当然、それを理由に下級の者から暴力を振るわれれば不敬罪を適用する。事実して来た」


 「子供の喧嘩で済まされない場合も多かったな。処刑された者らも居たな」


 「学校の中では国王第一継承者で第三王子。最高位?」


 「そこに宰相級の大使の官職が付く。校長をも遥かに凌ぐ、陛下に継ぐ身分だ。廃嫡前だから全てが有効」


 「つまり。イルリット王子殿下が不敬罪を適用すると宣言なさったら」


 「千人以上の子供の首が飛び、校長以下教職員と関係者全員の首も飛びまくるだろうな」


 「千人?せいぜい二百人から三百人じゃないのか?」


 「はぁぁ。何で判らないかなぁ。

 まぁ、何人が関わっていたかは現時点では不明だが一年の時に上二学年。三年の時に下二学年。

 一学年二百人として。千人だ」


 「「「あぁぁ」」」


 「待ってくれぇぇ。どうしたらいいんだ」

 「なんでだよぉぉ」

 「うちの子は一学年上だ。関わっていなきゃいいが」


 「大使をたった一人で務め上げるほどの聡明なお方だ。既に気付いていらっしゃるだろう。

 不敬罪の適用はその場となっているが明確な証拠が有れば半永久となっている。

 今回は仇討の法に照らし合わされるからな」


 「なんで仇討ちが出て来るんだよぉ」


 「はぁぁぁ。あのなぁ。学校の校則。王国法。貴族法の全てを守って理不尽な暴力行為に三年間反抗せずに耐え抜いたんだ。

 誰がどう見たって無実だ。

 本人への直接的で執拗な暴力行為。

 そして今はまだ十七歳


 「「「「あぁぁぁ」」」」


 「学校を卒業したら校則も関係無い。

 王国法と貴族法にこうある。

 【貴族の子供に適用する。

 両親以外でゼロ歳児から十八歳までに受けた犯罪行為は十八歳となる午前零時以降に公安の調査、認可の元で仇討ちが出来る】と」


 「そんなの何処に書いてあるんだぁぁ」


 「お前持っているのか。貴族法だな。

 最終ページの一ページ手前の最終行から三段上」


 「こんなとこ誰も読んでねぇぞ。文字も小さいぃ」


 「だが、紛れも無く記載され、施行されている。適用は可能だ。

 公安が動けば国王陛下ですら逆らえん」


 「なぁ子供だけ


 「バカか。

 お前、平民の子の不始末を親まで負わせて、手籠めにしただろう」


 「一族。もしくは三親等」


 「それだ。そこにも処罰範囲で記載されている。

 貴族保護にも準ずるからな。

 一切無抵抗の無実で王位第一継承権で国王陛下の次の位のイルリット王子殿下。宣言をなさったら確定だよ」


 「だからどうしたらいいんだ」


 「取り敢えずだ。子供の命が惜しければ親として徹底的に許しを乞うしか無いだろうな」


 「メドーダス殿下もイグアス殿下もか?」


 「イルリット第三王子殿下からすれば、陛下が正妻と認めていない名目上の第二妃であって、実際は妾の子供で義理の兄と言うだけだ。

 そして大司教立ち合いの元での王位継承権の第二位。第三位の正式な宣誓も無い。階位も爵位も何もない。

 国王法に照らし合わせてイルリット王子殿下から見れば現状は言わば平民の子だ。

 イジルバーバラ王妃様も正妻として認められていないからな。ただの妾となる」


 「場合によってはイジルバーバラ王妃様も処刑対象?」


 「子供が出来たからと陛下を囃し立て、第二王妃と貴族への文書通達のみで公開。

 マーリレス様も呆れてしまったほどだ。

 その後、大司祭立ち合いの婚姻の宣誓もいまだに行っていない。

 当然、そうなるな」


 「「「「え”ぇぇぇ」」」」


 「今更だが、滅茶苦茶不味くないか」


 「だから言っているだろう。何の権力も持たないイグアス殿下を慕って来た俺達は不味いんだって。

 もっと前に調べておくべきだった。廃嫡宣誓をした今となっては、本当に今更だよ」


 「メドーダス殿下でも同じなんだろう・・中立派。か」


 「ああ。陛下は別格としてイジルバーバラお妃様にも付かない中立。今現状で一番安全な派閥となった。

 もっと言えばマーリレス様派閥が在ればそこが最も安全だな」


 「今からイルリット殿下の派閥を作ったら」


 「正式な廃嫡だ。二度と王家には戻れんよ」


 「「「「はぁぁぁ」」」」


 「それでお前が言うこの話しから抜けてくれとは、その親が名前を連ねて欲しいと言っても首は縦に振らない。親としての責任を取らされ下手すれば処刑対象。

 そして私達がこぞって行けば仲間認定。

 連帯責任で爵位の剥奪や降爵され次期ウォーガット領騎士爵に推薦されかねない」


 「そう言う事だ。とりあえずは同学年に絞って七人は抜けてくれ」


 「仕方ないだろう。子を躾なかった報いだ。とにかく接触を図って謝罪の受け入れを懇願しろ」




 「あの七人か。残念だな」


 「遺恨を残していらっしゃらなければいいが」


 「無理だろうな。あいつ等もそうだろうが、俺の息子がやれていたら地獄の果てまで追い詰める」


 「「「「だわなぁ」」」」


 「陛下は何をお考えなのかは解からんが。

 話しを戻す。

 こちらの身勝手を願って書き記してもらう訳だ。さすがにタダと言う訳にはいかないだろう。

 そこで相談だ。

 あのウォーガット領では金はさほど意味をなさない。何がいいと思う」


 「少し待ってくれ。

 今からイグアス殿下を王位継承権第二位の宣誓を受けるように話してみてはどうか」


 「はぁぁぁ。何で頭が回らないかな?

 それにはまずイジルバーバラ王妃を大司教の前で正妻として婚儀を結ばねばならん。

 最低でも一ヶ月は準備に掛かる。

 そしてその後に継承件の宣言だ。国王法で同時には出来んから更に一か月は掛かる。

 いいか。今ここに居る。いや、今の貴族連中にしてみればそんな事はもうどうでもいい事だ。

 何故だか判るか。

 イルリット・ファ・ウォーガット騎士爵が今、次期領主を任命したらメドーダス殿下派閥もイグアス殿下派閥も関係無い」


 「「「「あ”ぁぁぁ」」」」


 「絶対の安全派閥が、存在しないマーリレス様派閥のみと言う事だ。

 陛下なりが今の件に気付いていらっしゃり、準備段階であればなんの問題も無い。だが、今日の会合でもその件は一切なかった。

 それは後回しにして献上品を捧げて、名簿に記載しない旨の宣誓書なりを作成していただく方が先決だ。

 こちらから王家にいらぬことを吹き込んだらそれこそ目の敵にされる。今は何も言うな」


 「「「「了解」」」」」


 「それで判ったか。俺が敬称を外さない意味が」


 「「「「理解した」」」」


 「絶対に陰で敬称無しでお名前を口にするな。

 この先、足の引っ張り合いになるからな。

 それでお気に召す品を考えろ」


 「そりゃやはり男盛りが一人で赴くんだ。決まりだろう」


 「それはそれで、もっとインパクトのあるものはないか?」


 「「「インパクトねぇぇ」」」

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