08 たからもち
とある日、リスのクリオを連れて楽器ノコ道にやって来たギフト君とムルムル。
そこに、『命をさずかったぬいぐるみ』マローンと、赤犬のケイがやって来ました。
「やぁ、マローン。それからケイっ」
「はぁい」
「ワンっ」
「わたくしめムルムル、いいことを思いつきました。ケイ、ナンバー・・・ワンっ」
「なんばー・・・ワンッ」
「やっぱりちょっと喋ってる気がする・・・」
「初対面、気配がなかった」
「あっ。そうだ。クリオ・・・クリオはどこ?」
「こっち」
木の上にいたクリオは、警戒心が強い子。
マローンを見て言います。
「なに、ぬいぐるみ・・・首の・・・首輪なの?」
「いえいえ、僕のご主人様がバンダナを首に巻いてくれたんです」
「うれしいの?」
「はい」
「しゅみに合っているの?」
「しゅみは時々動かず喋らず、普通のぬいぐるみのふりをすること」
「なるほど・・・そっちの犬もバンダナ巻いてるね」
「うれっしー・・・の」
「そうか・・・ならいいんだけど・・・これ重要、っと」
クリオは木から降りて来てくれて、楽器ノコで遊ぶことになりました。
楽器ノコは、楽器みたいなキノコのこと。
楽器ノコを鳴らして遊び、うれしくなってきて歌い出すクリオ。
クリオの歌が終わると、小鳥や小さなリスやギフト君たちから拍手。
それに喜ぶクリオを当然のように思っていたギフト君たちですが・・・
「な・・・なに・・・てきとーに歌ってみただけだよっ・・・そんな大事にしないでよ」
「すごい才能かもしれない」
「このことが重要なのか分からない・・・」
「今日、眠る前に、きっと君のためにお祈りをするよ」
「いいよ、別に!」
宝持ちとは、自分の才能に気づいていない状態のこと。
その日ギフト君は眠る前に星を見て、
「クリオが宝持ちに気づきますように」とひとりごとを言って、
眠りにつきましたとさ。