03 ゆめのあと
【豆知識】
パトロール・・・巡回:じゅんかい。安全のために気をつけて歩いたり進んだり、周りを見たりすること。
空魚・・・そらざかな。または、くうぎょ、とも読む。魔法の国の空にいるお魚。
あさがた、夜明けのすぐ前・・・
ギフト君はふと目を覚ましてベッドから出ました。
「もうすぐ夜明けだ・・・少し起きていようかなぁ」
すると窓の外で何かが動いています。
いぶかしんだギフト君は、玄関を開けて外に出てみました。
そこにいたのは、秘密の小森の番人『ムクラ』!
「おはようムクラ。どうしたの?」
「パトロールさ、散歩がてら」
「僕も一緒に行きたいなぁ」
「空を飛べたんだったらね」
ギフト君は何度かうなずくと、
魔法のステッキ『すいかがらのうちわ』を呼び出しました。
ギフト君は片方ずつ持つと、うちわをあおぎだします。
「これで、飛ぶの・・・?」
プ、とギフト君がおならをすると、ギフト君の身体が宙に浮きだしました。
「魔法の森のキノコのひとつ、マッスルーネを食べているから、僕のおならはくさくないんだよ」
「じゃあ行こう」
ギフト君とムクラはだんだんと明けていく空を飛び回りました。
「ムクラって雲みたいなまっしろなもふもふの毛が魅力的だよね」
「あの雲の中に入ってみよう。きっと魚がいるぜ」
「空のお魚?」
明けだした朱色の雲に入って行くと、そこには空魚。
うとうとしているようで、いつものように逃げません。
「魚たちの『ゆめのあと』は、記念にもらっておきなよ」
むらさきやピンクの綺麗でかわいいビー玉みたいなものを発見!
もしかしたら宝石かも!
ムクラが言うには、それはお魚さんたちの『ゆめのあと』が形になったもの。
ギフト君は少しだけもらってもいい者として選ばれたみたい!
「お魚さんたちありがとう」
「そろそろ起きるころだから戻ろう」
「うん。ムルムルが心配しちゃうかも」
お家の前に着地して、ステッキを片付けるギフト君。
ムクラは秘密の小森に帰るそうです。
「それ『アメみたいなやつ』って昔、言われてたんだ」
「へぇ~、本当だ。アメみたいだ~」
ギフト君は手の中の宝石が朝日に輝くのを、しばらく見ていましたとさ。