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第3話 モブ、初クエストに向かう


「転生したっていうのに、何も変わらないなんて……」


転生特典が何もないことに落ち込む俺。現実は甘くないことを痛感させられる。

けれど俺は諦めない。モブはモブなりにやれることがある!


「よし、最初は地道に雑用クエストからだ!」


そう意気込んだ俺は、ギルドに戻り、一番簡単そうなクエストを受けることにした。


俺はギルドの掲示板の前で立ち尽くしていた。

目の前には無数の依頼が並んでいる。


【討伐依頼】

魔物「ゴブリン」10匹討伐せよ!

報酬:銀貨20枚(現地通貨)

期限:3日以内


【採取依頼】

指定地域で「薬草」を10本採取せよ!

報酬:銀貨3枚

期限:2日以内


【護衛依頼】

商隊を目的地まで安全に届けよ!

報酬:銀貨30枚


なるほど、こういう仕組みか。戦う系、採取系、護衛系……依頼の種類はいろいろあるみたいだな。

武器もないし、死にたくもない。とりあえず初心者らしく簡単そうな採取依頼にするか。


「よし、これに決めた!」


俺は薬草採取の依頼を引っ張り、受付に向かった。受付嬢が笑顔で対応してくれる。


おっと、ものすごい美人な方だ。


「薬草採取ですね!初心者の方にはピッタリの依頼です。頑張ってくださいね!」


彼女の笑顔に息子共々元気をもらい、俺は意気揚々とギルドを出た。目的地は街の近くにある小さな森だ。

俺は地図を貰い、早速森へ出発した。



街から出て数分経つと、思わず言葉が漏れた。


「やっぱりここ異世界なんだな…」


周りの風景を見て感じる。

地平線が見えるほどの草原。透き通るような青い空。自然の雄大さがこの世界のどこにでも広がっているような感覚に陥る。


現実の日本では、こんな光景を見ることはなかった。高層ビルとコンクリートの街並み、騒がしい車の音――そんな風景が日常だった俺には、この異世界の静けさと美しさが妙に心に響く。


風に乗ってどこからか聞こえる鳥のさえずり、木々のざわめき、遠くで流れる小川の音


――そして、男の暑苦しい叫び声


………は?


何やら、遠くから奇妙な叫び声が聞こえる。


「クラウス・ブレーーード!」

「クラウス・ファイヤァァー!」


振り返ると、派手な金髪の男が剣を振り回しながら、大きな声で叫んでいた。周りには誰もいない。完全に独りで盛り上がっている。


「うおおおお!俺は最強の男になるんだ!誰も俺には追いつけない!」


「……変な奴だな。」


前世でも似たような奴がいた。熱血で空気を読まないタイプ。ああいうのに近づくとロクなことがない。

まあ、モブなんで関わることもなかったんですけど。

俺はため息をつきながらも、気にしないようにして先を急ぐことにした。



森に到着し、俺はさっそく薬草を探し始めた。依頼書に描かれた薬草の絵を参考にする。細長い葉っぱが特徴的な草らしい。


「んー、どこだ……」


草むらをかき分け、木の根元を覗き込む。だが簡単には見つからない。


「意外と難しいな……まぁ、これも冒険者の基本だしな!」


ポジティブに考えながら森を歩き回る。しかし、30分経ち、1時間経ち――。


「……ない。」


どこを探しても薬草が見つからない。絵に似た草はたくさんあるが、どれも微妙に違う。


「ちくしょう、どれもただの雑草だ!」


苛立ちながら草むらに蹴りを入れる。すると――。


「グルルル……」


低い唸り声が背後から聞こえてきた。振り返ると、そこには毛むくじゃらの巨大な犬――いや、ウルフだ!


「ま、待て!俺、ただ薬草を探してただけだから!争う気はない!」


必死で弁解するが、当然言葉が通じるわけもなく、ウルフは鋭い牙をむき出しにして飛びかかってきた!


「ぎゃああああああああ!!!」


俺は全力で逃げ出した。


森を駆け回り、どうにか狼を振り切った俺は、全身泥だらけで街に戻った。


「……薬草、一本も採れなかった……」


ギルドの受付に戻るのも気まずい。俺はそのまま街外れのベンチに腰を下ろし、項垂れた。


「転生しても、やっぱり俺は何もできないのか……」


やる気を失いかけたその時――。


「ねぇ、そこの変態。」


俺の隣に、あの時助けてくれた赤髪の女戦士が現れた。

やはりすごい"もの"をお持ちだ。


「こんなとこで腐ってるの?露出狂。」


「いや、別に……クエスト失敗しただけだよ……てか露出狂じゃねぇし!」


俺がボソボソと答えると、彼女は大きなため息をつきながら手を差し出した。


「だったら立ちなさいよ!失敗したらやり直せばいい。それが冒険者でしょ?」


「……でも俺、何の才能もないんだよ。」


「才能?そんなものいらないの。努力すればどうとでもなるわよ!」


力強い言葉に、俺の胸の奥が少しだけ熱くなった。


「俺、頑張れるかな……」


「頑張るしかないでしょ。……それじゃ。」


そう言って彼女は歩き去った。

その背中を見送りながら、俺は拳を握り締めた。


少し元気になったぞ。あの"お胸"も拝めたし!


「よし……次こそは!」


翌日、俺は再び薬草採取に挑んだ。森の中で注意深く周囲を探しながら歩く。そしてようやく――。


「あった……!」


見覚えのある薬草を発見!慎重にそれを摘み取り、依頼書に記載された数を揃えることができた。


「やった……!」


初めての成功に、俺は心の底から喜んだ。

モブだってやればできるんだ!


ギルドに戻り、受付嬢に採取した薬草を渡すと、彼女は笑顔で言った。


「お疲れさまでした!これが報酬の銀貨3枚です!」


初めて手にした報酬。たった銀貨3枚だけど、俺にとっては大きな一歩だ。


「これで、俺も少しは冒険者っぽくなったかもな!」


俺の冒険者としての生活は、こうしてようやく始まった――。


本当に初心者です…温かい目で見守ってください…

こんな自己満の小説を読んでくださりありがとうございます。

励みになります。

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