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想い色  作者: 日浦海里
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末期の紅茶

ティーポットを掲げて

あなたの前で紅茶を淹れる


熱さが苦手なあなたには

すぐには飲めない程度の熱さ


角砂糖を一つ摘んで

淹れたての紅茶に一つ落とす


淹れる前よりは甘くなったはず


でもこれは本当に甘いのかしら

それともまだまだ苦いのかしら


私は苦いのは好きではないの

少しばかり胸が痛む程度なら

より熱くなれるでしょ

なんて言う子もいるけど

痛みなんていつかは慣れてしまうもの


だから私は甘いのも嫌なの

蕩けるほどの優しい言葉も

いつかは慣れてしまうもの


仮面を被った恋なんて

バカらしいにもほどがあるでしょ


わたしはわたしのままでいい

そうでなければ意味がないもの


角砂糖をもう一つ摘む

少し冷めた紅茶の上で

落とさぬままに軽く振る


朱い湖面に揺れる湯気から

茶葉の蒸れた香りが沸き立つ


もう一つ砂糖は必要かしら

あなたのためにもう一つ


甘い言葉を囁くように

あなたに優しくあるように


それは本当に甘いのかしら

それとも本当は苦いのかしら



あなたもわたしもお互いに

あの時のままでいれたらよかった



摘んだままの角砂糖が

冷めた紅茶に一つ落ちる


これで苦味は薄れたかしら

あなたは苦味が苦手でしたものね……

角砂糖 あなたの紅茶に 一つ入れ

苦味薄まり 苦さ濃くなり


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