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おとしもの
心に落ちた影一つ
包まれたなら夜に紛れ
照らされたなら濃さまして
記憶を上塗りすればするほど
あなたの記憶が色濃く残る
あるはずのない残り香が
私の中を侵して冒す
染められたのなら重ねて塗れば
いつかは消えてなくなると
自らを棄て
望まなくとも
幾重も何色も塗り重ねては
まとわりついた匂いを消して
なくしてしまったはずなのに
残されたのは深い傷痕
塗り固めても
溝を埋めても
私の中の深いところで
いつまでも傷が疼いてる
自傷してみても消せはしないから
零れた涙はきっと痛みのせい
幾夜越え 幾重の枕を 共にして
それでも消せぬ あなたの残影




