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想い色  作者: 日浦海里
19/23

お元気ですか?

都会に出てきて

一人になって

しばらくはコンビニ弁当に頼り切り


道具も料理もただ面倒で

食べるのなんて単なる作業


それがいつしか

誰かと一緒に料理を食べる時間が

当たり前になる時が訪れて


そしていつしか

終わりと共に一人になって

またしばらくは弁当に頼って


食事も生活もただ面倒で

息することも苦痛な作業



どうして料理しようと思ったんだろう


久しぶりに食べさせられた手料理に

固まったままの心が音を立てたから


そんないいものだったかなって

首かしげる程度にはいい加減な記憶



でも気づけば料理していて

自分の作った豚汁を食べて

食べ慣れた味とどこか違う

そんな風に思った



何年か振りに実家に帰って

薄情者って笑顔で罵られ

出された豚汁を食べた時

子供時代の自分を思い出した



外に出ている間に

リフォームされた実家には

自分が過ごした面影はなくて

自分の知ってる場所じゃない

そんな風に感じてたのに


母親の作ったその手料理に

あの時の時間が残ってるって

そんなことを感じたら

なんだか胸が熱くなった



そうしてまた

自分で豚汁を作ってみる


やっぱり味は違うけど

今はなぜか実家の味が奥底にあって


これがいつか

自分にとっての故郷の味になるのかな、なんて

そんな事を思いながら


「元気してる?」

って、ただそれだけのメッセージを送ってみた

出汁の味 この濃さだったと懐かしむ

まだこれからも元気でいてね

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