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想い色  作者: 日浦海里
10/23

カフェオレ

目が覚めて

隣にあなたの姿がなくて

数少なかったあなたの荷物も

部屋からすっかり消え去って


まるで始めから夢だったように

あなたの跡はどこにも無かった


昨夜もいつもと変わらぬ様子で

普通に話して

笑顔を見せて


そんなことすら夢だったように

あなたの姿はどこにも無かった


私の内に残る痛みが

あなたが残した唯一の痕


そんな風に思いたいだけの

私の内が生み出した痛み


白くて苦い夜の記憶が

ぐちゃぐちゃになって

渦を巻いていて


溢れた何かが零れ落ちそうで

私は思わず口に手を当てる


吐き出したくなる感情は

放てば二度と戻らないようで

言葉にならないこの声は

音にしただけで霧散しそうで


胸の上に両手重ねて

混ざり混ざった記憶と想いを

押し込むように握りしめていく

食い込む爪から涙が零れた


これがただの夢だとしても

これもただの夢だとしても

浮かべた感情(ほんとう)が消えてしまう前に

自分の内に飲み込んでみる


混ぜて溶かして消してしまう前に

噛んで砕いて糧にしてしまおう


目が覚めた時に

あなたはいなかった

隣にあなたはいなかったんだ

溶き過ぎて 薄れて消える 記憶なら 

温かなうちに 混ぜて飲み込んで

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