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転生したら、そこは奴隷商でした

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません

ガタゴトと乗り心地がクソ悪い馬車に揺られ、私たちは何処かへ連れていかれる。

 荷物を運ぶ為の馬車だから当然席は無く、鉄格子から漏れる光だけが光源の薄暗い馬車の地べたに座り足には足枷を付けられた子供たちの目に光は無い。

 あれ、私、なんでここにいるんだっけ?

 思い出せ

 思い出せ…っ!!

 ふと、頭の中に光景が広がる。





 私は、ただのオタクだった。

 ただ何となく学校行って、落書きして、家に帰ったら電子小説を読み漁り、己が出来ない分主人公たちの成り上がり物語を見て、寝落ちする……ごく一般的なオタク女子の生活だろう。

 そんな生活の中、ボーっと歩いていたらたまたま老朽化か何なのかは知らないが上から落ちてきたパチ屋の看板に押しつぶされて死んだ……



「いやなんでよりにもよってパチ屋の看板なんだよっっ!!!!」

「あ、目が覚めた~?」

「んぇ?」


 気が付いたら知らない場所、というか真っ白な神殿みたいな…内装的には相談口っぽいような…?

 これは、この展開は…!


「私完全に死んでますね、そしてあなたは転生先の相談窓口っ!!」

「え、なんでわかったの…こわ…」


 ごめんなさい、でも言ってみたかったんです…。私に引いたこのひとは…白い翼をもってるし天使のわっかついてるし、中性的な美形だから完全に天使だなこれ。


「対応するの神様じゃないんだ」

「よく聞かれけど考えてもみなよ、社長がわざわざ接客する?」

「しないです…というかなんかたとえがリアルでヤダな…」

「んじゃ、オレも定時で帰りたいんでさっそくそこの椅子に座って」

「定時とかあるんですね」

「まぁ会社だし」


 あ、こういうところって会社経営…なんかやだな!!神聖でエデンで楽園な天界はどこへ!?…まぁ言わないけどさ…


「えーっと、貴方のポイントは計340ポイント、あと事故死手当と未成年で追加で200ポイントだから…合計で530ポイントだね」

「それは多い方なの…?というかポイントとはなんでしょう」

「あーえっとね、このポイントは君の来世に大きく関わってきて…君が元々いた世界なら0ポイントで転生できるんだ、そして残ったポイントは人生のオプションにできるの、美人に生まれたいとかね」

「なるほど…もしかして異世界とかにも転生できたりします?なーんて…」

「できるよ」

「できるんだ!?えっじゃあその…魔法とファンタジーの異世界に…!」

「いいけど…結構ポイントかかるよ?」

「あ…そうなんですか…?…もしかして足りない…」

「いや…足らないことはないけど…異世界に転生するならまず人間として生まれるために500ポイントね」

「30ポイントしか残らないっ!!」

「そう、んでそうなると結構ハードと言うかなんというか…まぁとりあえず異世界に行くとして…はい、カタログ」

「カタログ…?」

「その中から好きなオプション選んで」

「わかりました…」


 結構怒涛の展開で進むけどなんとかオタクの適応力でなんとかなってる。へぇ…いろんなオプションがあるんだな…大魔法使い、勇者、エルフ…なるほど、これはRPGでいう職業決めみたいなものかな?職業を決めるとしてかかるポイントは…


「えぇっ!?魔法使いで200ポイント!?」

「君には買えないねぇ」

「そ、そんな…というか全体的に高い…!」


 どこを見てもだいたい200~500ポイント…のこり30ポイントの私に買える物なんてあるのか…?


「あはは、まぁそう焦らずあと10分で決めてね」

「けっこう焦らせますね!?…ん?不運系美少女…これは30ポイントだ…」

「ああこれ?これは最初の環境がかなーりきついけどめっちゃ美少女になれるやつで、まぁその環境から抜け出せるかどうかはその後の人生次第だからあんま選ぶ人いないんだよね、普通の人はこっちのほう選ぶから」

「普通に美少女になれるほうですよね…そりゃそうなんですが400ポイントなので買えないです」

「確かに、じゃあこっちのほうお買い上げと言うことでいい?」

「うぅ~ん……はい、ではこれで…」

「りょうかーい」


 そう言うと天使はなにやらタイプライターで打ち込んでいる。カタカタといいおとがこの空間に広がって、なんだか妙に気分がいい…。


「はい、申請書書き終わったからこっちに来て」

「あっ、は、はい!」


 スタスタと歩いていく天使の後を追う。

 特に何もない廊下を歩いて数十分、その先には金色のバカでけぇ扉があった。装飾は結構繊細でずっとみつめていると何か人外じみた恐怖感を感じる。天使が何か取り出した、私の申請書である。天使の手の中で申請書は光り輝き銀色のカギとなった。おぉ~と私が感嘆の声を漏らすと天使は何処かドヤ顔で、扉の鍵穴に鍵をさす。

 ズモモモ…と扉が開くとそこに部屋は無く、あるのはめっちゃ深くてデカい穴だ。

 おそるおそる穴を覗く。底が見えないくらいの深い深い穴だ。今からここに入らなきゃなのか―と思っていると急に後ろからドンッ、と背中に衝撃が走る。


「えっ!?あ、ちょっっ!!??」

「はーい、じゃっ二度目の人生頑張ってね~!」


 内臓から感じる浮遊感、どんどん遠ざかっていく天使の顔。そこで私の意識は途切れた。





 …………いや、うん…

 確かに私は天界というかあの世?で不運系美少女と言うオプションを特に何も考えず選んだ。そして今の状況。乗り心地の悪い馬車、足についてる足枷、目に光が無い虚ろな少年少女。私は完全にこの状況を理解した、でもさ…まさか…


「奴隷からスタートだとは思わないじゃんっっっ!!!」

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