1/18
プロローグ
本作は恋愛コメディです。
天井の高い部屋だった。重厚な濃褐色の木彫の格子に縁取られた細長い窓からは、午後の日差しが斜めに差し込んで、暗い部屋の冷たい石の床に陰影を落としていた。
両家の親族及び立会人の目前で、婚約の誓約書が載った銀の盆に、火が置かれた。私は一番遠い席で、他人事のように自分の婚約が灰になっていくのを見ていた。
二つの家の家紋である一角天馬と翼獅子が描かれた羊皮紙は、臓物が焼け焦げるような悪臭を放ちながら、黒く縮れていった。
短編「「お前を愛することはできない」と婚約者殿に断言されました。早期のご通達に感謝します」
https://ncode.syosetu.com/n8992io/
の連載版です。
お時間ない方は短編版をどうぞ。
すでに短編を読んでくださった方は、短編版をベースに追加のお話がちょいちょい入っている構成ですので、見慣れない部分だけ拾い読みでもOKです。
初見の方はもちろんこれだけで問題なし!
御用とお急ぎでない方はよってらっしゃいみてらっしゃい。
ハイスペックトンチキ達による、当人たちは大真面目な恋愛沙汰です。