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水の都・ローディリウスの物語  作者: 嶺上 三元
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ローディリウスの騎士キーラ 4


 それは、ガルガウェインの発する魔力などとは比べ物にもならぬほどの力の奔流。

 天地普遍の理すらも覆しうる絶対的な力の濃縮であり、

 ガルガウェインはこの時初めて、自分が今までる振るっていた竜岩砕きなどという闘技が児戯に等しいものであるのかを悟った。

 

 キーラに秘められた底知れぬ武の一端を垣間見たガルガウェインは、そこで漸く自らの愚かさと誤りに気づき、手にした戦斧を放り投げると、その場に這いつくばって額を地面に擦り付けた。


「ま、待ってくれ!!この通りだ、降参する!今までの全ての非礼を詫びる!いや、詫びます!!奴隷でも良い命は助けてください!あお願いします!お願いします!」


 しかし、地に額を擦り付け、身も世もなく命乞いするガルガウェインに返ってきたのは、冷笑だけだった。


「遅すぎるな。貴様は全てが、何もかも」


 そう言うやいなや、ガルガウェインに向かって振り下ろされたキーラの刃は、幾千もの光の筋となってガルガウェインの体に襲い掛かり、彼の体を跡形もなく切り刻んで消し去った。

 死体も残さず、ただの血溜まりと化したガルガウェインを見て、その場にいたエルフの将兵は信じられない思いで呆然としていたが、それ以上にエルフの兵の胸中に占めていたのは、何もかもが信じられないと言う思いだった。


 そんな呆然としたままのエルフの軍勢を前にして、右手の刀を頭上に高々と掲げながらキーラは高らかに声を上げた。


「私の名は、不敗の刃、キーラ。キーラ・パピヨン・アルブル。湖の都・ローディリウスを守護する騎士の一人であり、都の主であるエクスカリパー様に仕える者である。そして、ローディリウスとエクスカリパー様に仇なす全てのものに対する敵だ!それを知ってなお、私の前に立ちはだかりたいものは前に出よ!」


 キーラの言葉に、エルフの里の誇る気高い騎士も、勇猛を誇る武将も、そして老兵からし初陣を迎えた新参兵まで一人残らず皆一様に戦意を挫かれてその場に膝を屈した。


 こうして、エルフの里に新たな王が誕生した。


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