歴史オタの分類
今回も人気の出ないテーマを書いて行くぜ。\( ̄▽ ̄)/
皆様こんにちは。
自称歴オタの加藤良介でございます。
今回のテーマは歴史。ではなく、歴オタと呼ばれる人種について考察していきましょう。
さてさて、皆さま。歴史ついてのご興味はいか程でしょうか。
このエッセイを開いている段階で、無関心という事はないでしょう。
嗜む人から、ライフワークになっている人まで、歴オタには様々な段階があると思います。
この段階と申しますか、階層には若干の注意が必要です。
様々な階層に割れている人々を一括りに歴オタと括ってしまうと、時に大きな火傷を負うことがあります。
今回は私なりに歴オタを分類して、それぞれの違いを見ていきたいと思います。
・エンジョイ勢
文字通り歴史を娯楽として楽しむグループです。
小説や大河ドラマ、映画に漫画など、歴史をモチーフにしたエンターテイメントを様々な媒体を通して楽しむ人たちです。
三国志演義を読んだり、司馬遼太郎の小説を読んだり、時代劇を楽しみます。
エンターテイメントを通して歴史に興味を持ちます。誰もが通る、最初の扉と言っていいでしょう。
このグループの人の中から、他のステップに移る人が現れます。
・ライト層
フィクションからノンフィクションの歴史に興味を持った人たちです。
この層の人たちは、娯楽としての歴史から一歩だけ学術に向かって踏み出します。
NHKの歴史番組を見たり、歴史について書かれた新書を読んだり、歴史的な史跡を回ったりする人です。
一番わかりやすい歴史愛好家といえます。歴オタ入門編って感じですかね。
この層から、史学、考古学、日本史、世界史、古代、中世、近現代と色々な部門に分化していきます。自分の好きなジャンルを見つけたという事ですね。
ライト層からは、知識のマウント合戦が始まります。
自分が知っている歴史知識を、他人に語りたがる傾向が強くなります。
「私は歴史にちょっと詳しいんだぞ。関ヶ原の戦いについて語っちゃうよ」ってな感じです。
私はここに分類されます。( ̄▽ ̄)//ダッサ。
・思想型
ここら辺から、ややこしくなります。
思想型の特徴は、歴史を自身の思想、信念に当てはめて考察する人たちです。
マルクス史観や皇国史観が一番いい例でしょう。
自分たちの主張の合理性なり正当性なりを、歴史に求めるのでちょっと面倒くさい人たちです。
ここの住人の特徴の一つに、一部分もしくは一定期間の歴史的事実については異常に詳しいのですが、その前後や隣接する事象に関しては、びっくりするぐらい無関心です。
知らないというよりかは、知ろうと致しません。無知というよりも、無関心です。
自身の主張の正当性に関わり合いが少ない歴史的事例に関しましては、根本的に興味が無いのだと思われます。
このような人たちを歴史好きと括ることに抵抗がありますが、パッと見は歴史に詳しい人に見えますので、歴オタの一種に分類されるでしょう。
近現代史を語る人たちに多く見られる傾向です。
そして、知識のマウント合戦が最も熾烈な世界です。
歴史知識に自身の思想信条が乗っかっているので、議論というよりも殴り合の様相を呈します。基本的にどちらも引かないので、不毛な争いが延々と続きます。歴史の議論ではなく思想信条の議論になるからです。
個人的には、あまり関わり合いにはなりたくありません。
・沼の住人
一番、面倒くさい連中です。
ここの住人に歴史の話をさせると、とにかく長い、細かい、纏まりがない。
放っておくと一日中歴史の話をしているでしょう。
話したがりの度合いで言えば最上位です。その代わりと言っては何ですが、思想的な話は一切いたしません。
そして、頻繁に「詳しくは知らないんだけど」と言います。
しかしながら皆さん、この言葉を容易に信じてはいけません。
ここの連中は分厚い学術書を読んでいますし、下手をすると国会図書館のアーカイブにアクセスして、最新の研究論文などを読んでいる場合があります。
ほぼ、研究者みたいな連中です。
この人たちの面倒くさい所は、本人が本気で詳しくないと思っている事です。
なぜなら知識量を他人と比較しないからです。
傍から見ていると知識のマウント合戦をしているように見えることも有りますが、このレベルになると知識のマウント合戦ではなく、補足、訂正、などの知識の共有化の方が正しい認識かと思われます。
史学は何百年も前の事を研究するので、事実がどうであったかなど現代の我々は誰も知りません。当時の人間ですら、全てを知っている人はいません。
ある事件が発生した時に、一次資料や二次資料と呼ばれる文書が当時の人たちにより残されますが、重要視しなかったのか書き残さなかったり、書き残したけど歴史の波間に消え去ったり、勘違いして書いたりすることも多々起こります。
後世の人間は、これら残された文書や考古学的発見を頼りに類推するだけです。ですので彼らは枕詞の様に「詳しくは知らない」と言います。
いろいろ勉強した末に、知らないと言います。
彼らが知らない場合は、最先端の研究家という特殊な例外を除けば、知っている人はほぼこの世に存在しません。
私のようなライト層の場合は謙遜であることが多いのですが、こいつらは本気です。本気で詳しくないと言います。
調べれば調べるほどに、知らないことが出てくるからでしょう。
そして、ここまで造詣が深くても、基本的に娯楽の一種です。漫画を読むのと同じ感覚で、専門書を読みます。
以上四種類に歴オタを分類してみましたが、いかがでしょうか。皆さんの周りにいますか。
下二つは、会ったことは無いと思われます。私も直に接したことはありません。
ただ、これらの四つの階層の人たちに、簡単に出会える場が存在します。
それが、YouTubeです。
歴史に関わるワードで検索すると、多種多彩な動画が現れるでしょう。
次は動画の分類を見ていきましょう。
・エンジョイ勢
娯楽の延長線の動画です。
面白おかしく作っているので、再生数も数十万、中には百万を超える物もあります。
非常に楽しいのですが、一つだけ問題点があります。
歴史的事実に基づいていないエピソードを、さも歴史的事実のように述べる事が頻繁に発生いたします。
動画制作者の不勉強なのか他の意図があるかは知る由もありませんが、この手の動画は明らかな間違いが多いのが現状です。
戦国時代の武将の話を、100年ぐらい後の江戸時代に成立した講談ベースで話してしまいます。
事実は小説より奇なりとは言えども、それは一部の例外であり、大抵の事実は大して面白くもない歴史的事例であることが多いからでしょう。
変わり種で言うと、状況証拠だけで語る陰謀論とかもあります。
実際、ノンフィクションよりフィクションの方が娯楽要素が強いですから、再生回数を伸ばそうと思えば、自然とこうなるでしょう。
仕方ありません。
この手の動画の簡単な見分け方といたしましては、参考文献の有無でしょう。
概要欄にも動画内でも参考文献を述べていない場合は、話半分に楽しむのが良いと思われます。
再正数は四種類の中で断トツです。他とは10倍以上の大差で勝利いたします。
娯楽としては問題ありません。実際に面白いです。歴史として認識しなければ、全く問題ありません。
動画時間も10分前後が主流です。
・ライト層
正直、エンジョイ勢との見分けが一番難しいでしょう。
参考文献を載せないことも多く、載っていたとしても大した文献ではない場合もあります。
ただ、作り方は丁寧になりますし、話があちこちに飛びだします。話がわき道にそれるのは歴史語りの基本ですので、参考になるでしょう。
明らかな間違いも減少します。
動画時間は長くなる傾向です。10分~30分でしょうか。
変な話ですが、研究者の先生もここに分類されることが多いでしょう。初心者に向けて少しだけ難しい話をしようと、努力してくれるからです。
・思想型
プロパガンダ臭が強いので、簡単に見分けがつきます。
歴史を楽しむつもりで見ると、ガッカリすることになるでしょう。
論述テクニックの一つとして、歴史について語りますので内容は薄い傾向です。ここの住人は別に歴史を語りたい訳ではありませんからね。
その手の話題を好む人たちが集まるので、再正回数はそれなりです。
時間は、10分程度が主流でしょう。
・沼の住人
はい。この人たちの特徴は、とにかく話が長い。
一本当たりの動画の時間が、他と比べて異常に長いのが特徴です。
小話動画なら5分ぐらいのものはありますが、何かについて話し出すと最低一本20分は覚悟してください。そして、大体シリーズものです。前編、中編、後編、最終編、番外編、補足編といつまでも後ろに伸びます。
私が知る動画で一番長いものは、四時間です。
参考文献も新書や学術書などの、専門書が複数明示されています。
内容もニッチなものが基本です。
この人たちはメジャーな所を避ける傾向があります。いや、避けると言いますか、面白がるポイントが違うと言いますか、メジャーどころは他の人に任せて、自分はマイナーな部分をやろうという感じてすかね。
沼の住人は再生回数や収益化を、比較的気にしていない印象です。自己満足感が強い。
沼の住人の困った点は、基礎の教養値が高いことです。
一例を出しましょう。室町時代の動画かあったとします。
その場合は、室町時代の三管四職の家柄ぐらいは知っておいてくれって感じです。
だって教科書に載っているから。
さて、皆さん。全部言えますか。
三管領家は斯波、畠山、細川ですが、四職は山名・・・赤松・・・・・・・・あれ? 伊勢だっけ。覚えてねぇー。
ちょっとググってきます。
・・・・・・京極と一色だそうです。うん。知らん。( ̄▽ ̄)//特に一色。聞いた記憶もありません。
私は一色と言われたら「俺ガイル」の「一色いろは」しか思いつきませんけどね。
あの女、そんな名門の出身だったのか。
そもそも、管領と四職の違いもよく分からん。
沼の住人は、ここ辺りを押さえた上で、細かい話を始めます。
室町将軍の部下の部下の話を始めるのです。
私が一番狂っていると思った動画が、室町幕府全管領解説列伝の一気解説です。
この動画の再生時間が四時間でした。4時間の間、休みなくしゃべっていました。もはや尊敬に値する時間です。
誰が見るんだ(。´・ω・)?、と思われるかもしれませんが、結構見る人は見るんですね。
数千回再生されています。凄いなYouTube
最後にお勧めのYouTubeチャンネルを紹介して終わろうと思います。
ライト層(私が勝手に分類しています)
・よつばchさん(ゆっくり音声)
中世、近世、近代ヨーロッパの王室を中心に解説しています。茶番が面白い。
・浸透襲撃さん(ゆっくり音声)
三国志を正史を中心に解説、考察しています。その他にも基礎的な軍事論も解説されています。茶番が面白い。
・ノルトラントさん(ゆっくり音声)
第二次世界大戦の戦闘について解説されています。戦域図を載せてくれるので理解しやすい。茶番無し。
・鳥人間 中国史三昧さん(ゆっくり音声)
中国史を人物ベースで解説されています。恐ろしい数の動画を投稿されています。そして一本当たりが長い。40分とかザラ。
・tera sen ゆっくり大江戸さん(ゆっくり音声)
江戸時代を全て網羅する勢いで解説されています。政治、民俗、文芸、人物、時代劇など思いつく限りが解説の対象です。
・五回目は正直さん(ゆっくり音声)
ヨーロッパの人物中心に、幅広い解説されています。茶番が面白い。
・咲熊さん(ゆっくり音声)
世界中の王妃や側室、王の愛人などの女性を解説されています。目の付け所が面白い。
沼の住人(大手のチャンネルです)
・silent ridgeさん(ゆっくり音声)
日露戦争、太平洋戦争を、残された当時の報告書ベースで解説されます。淡々としている所と熱を込める所の落差があって面白いです。ほぼ研究者。
・太田うしいちさん(ゆっくり音声&生声)
織田信長を研究成果に基づき、講談系の話を徹底的に打ちのめします。革命者としての織田信長像が好きな方には向いていません。
時たま毒を吐きますが、独特のユーモアーがあって楽しいです。
・右京太夫政元さん(ゆっくり音声&生声)
室町沼動画のパイオニアと呼ばれている人です。
応仁の乱が終わった後の畿内動向について、延々と解説されています。
邦楽のヒット曲を、歴史替え歌にして本人さんが歌います。ライブ配信が恐ろしく長い。
たまに本職の研究者が参加していてビビる。
いかがでしたでしょうか。歴オタの分類。
色々なコンテンツのお陰で、密かに数が増えているのではないかと思う今日この頃です。
おしまい
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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