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2-2 アルルがいない? じゃあ、助けなきゃと向かう俺は元モテムの得意技を伝授される。必殺! シンクロ!

第二話の二です!

頑張って書きました!

是非、読んでみて下さい!


第二話の二


 どれだけ呼んで揺さぶっただろうか?

「ふあぁあ」

 アオウはそれは中々起きなかった。俺も、師匠も呆れ顔だ。本人は完全に寝ぼけ顔だが。頭からは相変わらず角がのぞいてしまっている。

「どうしたんじゃあ?」

 アオウは辺りを見渡す。

「なんじゃあ。まだ暗いじゃないか。寝させてくれえ」

「駄目だ! 起きろって!」

 また寝ようとするところを、俺は必死に止めた。

「何じゃ? 婿殿か? もう毒キノコはないぞ?」

 駄目だ完全に寝ぼけている。

「モテム。おどき」

 師匠にそう言われ、少し下がる。師匠はアオウの頭に手を置いた。するとびっくり。アオウはびっくりしたように目を見開いた。眠気など吹き飛んだ様子だ。

「何したんです?」

「なに。副交感神経を少しな」

「何すんじゃあ」

 アオウは何か頭を抱えている。

「無理矢理起こすことないじゃろう? わらわは低血圧なんじゃ。優しく扱ってくれ」

「そうしたいところだが、今は少し急ぐのでな」

 師匠から、アオウに状況の説明がなされた。

「なんと。金が無くなり、アルルがさらわれたと?」

「らしいぜ。どういうあれかは分かんないけど」

「分からないも何も、お前が言った通りだと、私は思うぞ」

 それが分からないと言っているのに。

「どういうことじゃ?」

「タヌキとキツネだ。奴らの仕業だろう」

 アオウは大きくうなずいた。

「それは確かにそうかもしれん。奴らこの辺を縄張りにしておるからの」

 まさか、本当に、本気でそんなこと言ってんのかな? どうかしてるぜ。

「いや、あれはそう言う言い回しっていうか。まさか本気で、タヌキやキツネなんかが……」

 俺の言葉に、師匠もアオウも驚いた顔をしている。

「何を言っている? 私もまさかただのタヌキやキツネが化かすなんて思っていない。獣人のことだ」

 じゅうじん? って何?

「混ざりの事じゃよ。婿殿」

 混ざり? 全く訳が分からん。そして、アオウが師匠にしばかれているのも理解出来ない。

「痛いのう! 何で叩くんじゃ!」

「混ざりなんてとんでもない言葉を使うな! 酷い差別用語だ! 私はそういうのは嫌いなんだ!」

 いつもゲスいが冷静な師匠からは想像できない程の激昂ぶりだった。流石のアオウも引いていた。

「すまぬ。悪気は無かったんじゃあ」

 師匠はやれやれとでも言いたげに、大きな溜息をついた。

「獣人ってのは、獣の血を持つ人間の事だ。アオウの言った混ざりは、血が混ざっているって意味だ。古い人間がよく使った差別用語さ」

 なるほどな。そんなのいるのね。俺の時代にはいなかったからなあ。しかし、まあえらく怒ったもんだねえ。学校の先生みたいだった。まだアオウは委縮してしまっている。

「で? そのタヌキとキツネの獣人が俺達を化かしたと?」

「ああ。連中は特殊なフェロモンで脳に直接干渉して幻覚を見せてくる」

 なるほどね。あのにぎやかな村も、きれいな宿も、可愛い仲居さんも、旨い飯も、気持ちの良かった風呂も、柔らかい布団も全部幻覚ってわけね。

 そう思うと、一気に腹が減った。何か全身汗臭い。

「最悪だ」

「全くだ。趣味の悪いことをしやがる。あいつら、この辺で確か山賊まがいの事をしているんだろう? アオウ」

「そうじゃの。二人の長がいての。本人達は忍者を自称しとったがなあ」

 師匠は色々あって怒り心頭って感じだ。

「とにかく、金を取り戻さないと」

「それもいいけどアルルも助けましょうね」

「そうじゃな。アルルが心配じゃ。多分食べるために連れて行ったんじゃろう。あいつら、人の女を鍋にするのが好きなんじゃ」

 鍋だってさ。考えただけでもゾッとする。

「よくお主はさらわれんかったのう」

 アオウが師匠にそう言うと、師匠はアオウを睨んだ。

「ああ、それはきっと不味そうだったから……」

 場を和まそうとジョークを言ったが、どうも俺は昔からそういうのが上手くない。師匠からおしかりの一撃を喰らった。

「とにかく探しに行くぞ」

「まとまって動くのかの?」

 師匠は首を横に振る。

「実力的に、誰も相手に後れを取ることはないだろう。別々で行こう」

 単独行動ね。そうと決まれば善は急げだ。仲間が鍋にされて喰われたんじゃ後味が悪過ぎる。急いで助けないと。飛び出そうとした俺を師匠が制した。

「待て」

「何ですか? 急がないと」

 師匠は首を横に振る。

「それはそうだが、一つ提案がある。お前、私達にシンクロしておけ」

 シンクロ? 何それ? ナイズドスイミング?

「それはいい考えじゃの」

 アオウも賛同しているが、だからそれは何だっての。

「何ですか? それは。痛い?」 

「馬鹿なことを言っているな。痛いわけないだろう。モテムの一番の得意分野だったからな。お前ならうまく扱えるはずだ」

 なるほどモテム君のね。

「お前の力の一部を私達に付けておくんだ。そうすれば、遠隔からでもこちらの様子が分かる」

 へえ、そりゃあ凄いや。

「わらわが危なかったら助けに来てくれよ。婿殿」

 あんたが危ないとかあるの? 敵の心配をするべきなんじゃ?

「それに離れていても状況が分かるのは、話の進行上とても便利だ。他覚的にも物語がかける」

 突然メタいな。その発言はやめてくれ。

「という訳だ。やっておくな?」

「まあデメリットはなさそうなんでいいですけど。でも、どうやるんです?」

「アオウと戦ったときに力を体にまとっただろう? あれを他人にやる感覚だ」

 なるほど。できるかわからないけど、ちょっとやってみるか。

「あ、でも気をつけろ。お前の力は異常に増しているから、少し加減しないと……」

 俺は師匠のこの注意を最後まで聞かずに、師匠に対して力を送った。その瞬間、師匠の思考、意識が一気に頭になだれ込んできた。

 世界征服! 全生物支配! アイアムナンバーワン! 独裁統治! 酒池肉林! 満漢全席! 重役出勤! 接待ゴルフ! 国士無双十三面待ち!!

「ぐああ! 思考が! 頭が侵される!」

「人の話は最後まで聞くもんだぞ」

「過敏過ぎたんじゃのう」

「仕方ないな」

 師匠が指パッチンすると、俺の頭は晴れた。駄目だ。この人は本物のゲスだ。

「死ぬかと思った」

「人の話は最後まで聞くもんだ。加減しろ」

 俺は言われた通りにしてみる。恐る恐るだったが、今度は大丈夫みたいだ。これは不思議だ。体が2つになったみたい。

「目を閉じて意識を集中してみろ。私の位置から周りが見えるはずだ」

 言われた通りにしてみる。なるほど。これは凄えや。師匠の位置から周りが見渡せるぞ。自分で自分を見るってのも変な気分だな。

「見えるか?」

「見えます! こりゃ凄えや」

「ならアオウにもやっておけ」

 俺は同じようにアオウに力をまとわせた。これもうまくいった。正直、アオウの頭の中が見えたら精神崩壊する気がする。

「準備万端じゃのう」

「なら、そろそろ動くか」

「あれ? 二人はやらないの?」

 二人もエスパーなんだから俺と同じようにすればいいのに、というのは当然の疑問だろう。

「皆それぞれ得意分野があるんだ。私はシンクロやテレパシーは苦手だ。テレキネシスが得意だぞ」

「わらわもシンクロは苦手じゃあ。テレパシーは得意での。ちょいとやってみるか」

 そう言うとアオウは俺の方を見た。その瞬間、頭にデカいキノコの姿が浮かんだ。傘が真っ赤で毒々しいやつだ。あまりにも気持ち悪い!

「ぐああああ!」

「どうじゃ? 旨そうじゃろ? 夢に出て来たんじゃあ」

 できれば夢のままにしておいて欲しかった。

「とにかく行動開始だ! 金を取り戻すんだ!」

「だからアルルもね」

「おーう。やったるのじゃ!」

 大丈夫なのかな? こいつら。


 三に続く


ありがとうございます!

次も二日後くらいには上げたいと思います!

よろしくお願いします!

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