2-1 くたくたで休んでたのに、タヌキとキツネに幻覚見せられて踏んだり蹴ったりなんですがそれは
第二話始めました!
よろしくお願いします!
是非、読んでみて下さい!
第二話の一
俺達一行は1つ目の山を丸一日かけて越え、ふもとの村で休んでいた。今日はここで泊まるらしい。
明日はまた一日かけて山を越える。
「あああ。疲れた」
俺は宿のベッドに大の字に倒れた。
「だらしないな。それくらいで」
師匠はそういうが、疲れない奴いるかな? 超ハードだったぜ?
「私も疲れましたよ。クタクタです」
アルルもそう言ってベッドの横に座った。
「ふむ。人間というのはか弱いのう」
アオウもそうは言いながらも、アルルの横に座った。
「とは言っても、わらわも少々疲れた。リリーナとやらもそうであろ?」
「……リリーナでいい。私がいいたいのは、それだけ態度に出ることを言っているのだ」
「それなら納得じゃ。婿殿。もう少ししっかりせんといかんぞ」
……何か馴染んでんな。こいつも。結構な人殺しだよな?
変人だらけだから、あんまり気にしないのかもね。
「別に疲れたくらいいいでしょう? そろそろ出ていってくださいよ。女性陣は別の部屋でしょう?」
「ああ、そうだな。私も少々汗をかいた。シャワーでも浴びよう」
師匠がそう言って、ただでさえデカい胸の、大きく開いた胸元をパタパタして見せる。正直、凄まじい破壊力だ。
「行こう。アルル。じゃあ、ごゆっくり楽しんでくれよ」
は? どういう意味だ?
バタンと扉が閉じられる。これで部屋の中には俺だけ……ではなくアオウも残されていた。
「あの? アオウさん? どうしてここに?」
「馬鹿じゃのう。婿殿。ここは二人部屋じゃ」
そういう問題?
「でも、やっと二人になれたのう」
なんだろうね。この感じは? こんなの前世では経験無かったなあ。前世でも、俺だからこそかもしれないけど。
「さあ。沢山はげもうのう」
「いや、あのさ」
俺は大急ぎで話題を変えようと頭をめぐらせた。
「何じゃ?」
「いや、何というか。俺たちってまだお互いのことよく知らないじゃん? だから、やっぱりそういうのって……まださ」
何か上手く言えなかったし、何が言いたいのかも自分でよく分からなかったけど、アオウは何か大きくうなずいていた。
「そうじゃな。人間はそういう形式的なものを大事にするもんじゃったな。すまん。わらわとしたことが」
何かえらく聞き分けいいじゃん。言い方は気になるけど。
「こんなんじゃ。わらわもあのオス達と何も変わらんのう。恥ずべきことじゃ」
何かショックを受けてるみたい。
「まあまあ、そんなに気にしなくても」
うーん。これって俺としてはもったいないのかな?
男としてはどう考えるべきなんだろう? でも人として考えたなら、生まれてくる子はオーガになるわけだろ?
俺は、頭の中にあの緑色を思い浮かべて身震いした。
その辺、実際どうなんだろ?
「あのさ」
「何じゃ?」
「仮にだよ? 仮に。アオウが俺の子を産んだとして、どんな子が産まれるの?」
それを聞いたアオウは、何か目を輝かせている。
「ついにその気になったか! 婿殿! さあ、励もうぞ! 励もうぞ!」
俺はそのままベッドに押し倒される。
「やめんか! やめんか! 仮にって言ったじゃないか!」
実態が青い人外だと分かっていても、今のアオウは変身して見た目はただの可愛い女の子だ。抱きつかれると、俺も変な気分になっちまう。
理性を保てているのは、経験がなく、自信がないからだろう。それはいいのか悪いのか?
アオウはまた聞き分けよく、俺から離れた。
「すまぬ。どうしても本能が理性を超えるみたいじゃあ」
アオウは困ったとでも言いたげに頭をかいた。本当に可愛いなあ。ちくしょう。
「そう言えば質問があったのじゃの」
アオウは思い出したとでも言いたげに、手をポンと叩いた。こいつのあざとさは、わざとなのか? 天然のものなのか?
「わらわの染色体に異常があると言っていたのは、とある人間の学者なのじゃが、そいつが言うには、わらわの場合、普通のオーガとは逆でメスしか生まれないそうなんじゃ」
そうなんだ。それならまだましなのかな? あの見た目を考えれば。
「けど、そいつが言っておったんじゃが、オーガの繁殖の場合、つがいになる他の種族の遺伝子を完全に上塗りしてしまうから、親となるオーガとほぼ同じ個体が産まれるらしいのじゃ」
何か突然、ドぎつい話になってきたぞ? ということはまさか……。
「アオウからは、アオウそっくりの女の子が産まれるってこと?」
「そういうことじゃな! 良かったのう。婿殿は可愛い娘たちに囲まれて幸せという訳じゃな」
そうかな? 普通に世界の危機なんじゃないの? 可愛いだけならいいけど、娘一人でもグレたらやばくない?
「そうと決まれば、身を清めんとな。わらわは風呂に入ってくるからの。夜伽は婿殿が出てからじゃ」
「はあ? いや、するなんて話にはなってなかったような……」
アオウは俺が言い終わるよりも先に、風呂にとんで行った。
……。
「はあ、まじかよ」
変な事聞くんじゃなかった。アオウはもうその気だよ。この風呂をあがるともうそりゃあ、教育上よろしくないことになるのかな? 分かんねえけど。期待した方がいいのかな? そりゃ今までにないチャンスだけど。引っ掛かるのは、ほとんどこれ他人の体ってとこなんだよね。でも、心は俺のままなんだから、ホント気が引けるというかなんというか。
俺にも、誇りというものがあったんだなあ。つくづくと感じる。
「さあ、どうなるか」
俺は大いなる期待と不安で胸を一杯にしながら風呂を上がった。
経験ないんだよ? 俺はリードとかしてくれるのかな?
そっと部屋を覗く、俺は少し残念に思いながら、胸をなでおろした。
アオウはもう寝ていた。ベッドの上で気持ち良さげだ。簡単には起きそうもない。
「なんだかんだ言っても、疲れてるんだな」
俺はそっと毛布を掛けてやった。規則的な寝息が聞いて心地良い。
「ホントに気持ち良さそうに寝てるな。あ。角が出ちゃってるじゃないか」
寝ぼけると、変身にムラが出るみたいだ。少し気を付けてやらないといけないかもしれない。まあ、ここは個室だからいけるだろうけども。
「じゃあ、俺も寝るかな」
俺は部屋の明かりを消して、ベッドに横になった。ハードな一日だった。戦って、仲間が増えて、延々山を登って、降りて。
前の人生じゃ考えられなかったな。案外こういうのも、充実してるかもな……。
……。
いつの間にか寝ていたらしい。俺は夜中に目を覚ましたようだ。
でも、何か変だぞ? 違和感を覚えた俺は目を開けた。何だか土臭いぞ。前もあったなこんなの。起き上がってみると、完全に地面の上だ。ベッドも宿もない。それどころか、村もねえ。何でだ? 寝ている間にさらわれたのか? でもよく見ると、近くにアオウもいた。丁度、ベッドとベッドの間隔くらいに。
「むにゃむにゃ。毒キノコは生に限るのう。婿殿」
どんな夢見てんだ? こいつは。俺は毒キノコなんて食わねえよ。というか毒を普通に食ってんじゃねえよ。しかし、良くこの状況で寝れるなと思ったが、元々自然の中で暮らしていたんだよな。当たり前か。
「モテム」
声を掛けられ、そちらの方を向く。師匠が立っていた。何か、プルプル震えてる。
「師匠。これってどういう……」
「金目の物が全て無くなっている。アルルもいない」
へ? どういうことなの? 俺達がさらわれたわけではなく、本当に村が消えたのか? さらわれたのは、アルルの方?
「どう思う?」
どう思うって……。
「何かタヌキに化かされたというか。キツネにつままれたというか」
その俺の言葉に、師匠は目を見開いた。
「そうか! 冴えてるじゃないか! モテムのわりに!」
へ? 何どういうこと? まあ、取り敢えず役に立ったみたいだからいいか。
「とにかく急ぐぞ。金品を取り戻さないと」
まあ、訳は分からないが、急ぐとするか。
俺は一応、アルルを心配してやるかな?
二に続く
ありがとうございました!
第二話も張り切って頑張ります!
次のも二、三日の間には上げたいと思います!
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