1-5 無益な殺生はしないのさとカッコつけてたら、求婚されてしまった件
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第一話の五
青色は運び込んで、しばらくして目を覚ました。目を開けて、俺達をぐるりと見まわし、不思議そうな顔をして。ゆっくりとベッドから上体を起こした。
「何故?」
「何が?」
「何故殺さん?」
この世界は本当に物騒なこという奴ばっかりだ。
「別に何でもないさ。殺したくないからさ。それに殺しは基本的に駄目なんだぜ」
「そんなことは分かっている。しかし、裁きは受けるものだろう?」
青色は俺の方を見た。何か、しおらしくなってるな。こいつも。
「お前がアボーを殺したんだな?」
「ああ、悪かったよ。謝る」
「アボーは乱暴者だったが、面倒見の良い奴だった。他の仲間と違うからとつま弾きにされていたわらわをかくまってくれていたのじゃ」
……わらわ? のじゃ?
「しかし、人を殺すことはどれだけやめろと言っても聞かんかった。いつか、痛い目を見るぞと。わらわがいくら言っても聞かなかったのじゃ」
こいつこういう喋り方なのかな? 緊張がとけてるのか、何か打ち解けてる感じなのか?
「何がいいたいのかな?」
師匠が青色にそうたずねる。
「アボーは数多く人を殺めた。私も怒りに任せて、今回の事を。この罪はわらわの命を持って償おう。さあ、一思いに殺せ」
師匠が俺を見てきて目が合った。どうするとでもいいだけだ。
「えらく素直なんだな」
師匠の言う通りだ。もっと暴れるのかと思ったが。
「わらわは争いは好かんのだ。昨日までは人を殺したことはない」
「へえ。じゃあ何でキングクラスに?」
青色は軽くため息をついた。
「人は殺してないが、オーガは多く殺した。他の種族とも友好的だった連中だ。だから、わらわは危険分子というわけじゃ」
「鬼の架け橋の話ですね」
アルルが口を挟んだ。
「そうだ。オーガに友好的なやつは少ない。いや、ほとんどいない。でも中には変わったやつもいる。もう争いたくない。他の種族とも仲良くしたいという連中が集まったのが鬼の架け橋という団体だったんじゃ。わらわも仲間に入っていた。まあ、最終それがいけなかったんじゃが」
「何で仲良くしないんだ? いがみ合ってもいいことないだろ」
友好的なやつがほとんどいないって、一体どんな連中なんだよ。でも俺はまともなことを言ったつもりなのに、まるでバカを見るような目で皆から見られてた。
「オーガはオスしか生まれんのだ。だから、繁殖には他の種族のメスを襲って利用するのじゃ」
ああ、そらあかんわ。理解した。
「モテム様。常識ですよ?」
「あはは。アルル許してやれ。こいつはアボーに殴られてから馬鹿になってしまったんだ」
「そんな……私のせいで」
もう好きに言ってくれ。
「じゃあ何? 君もオスなの?」
青色は首を横に振る。
「いや。わらわは突然変異とかでメスなんじゃ。染色体異常とかで。しかもバカ強いんじゃ」
なるほど、ここで生物学的なやつね。
「見れば分かるだろ?」
「モテム様……」
相手にしない。
「架け橋の連中は他の種族と仲良くせんといかん。だから他の種族のメスを襲うわけにはいかん。かと言って、他から嫁に貰うわけにもいかん」
「何で?」
青色は、何か自分の股関の辺りから縦に手を大きく広げてみせた。
「デカ過ぎるのじゃ。壊れちまう」
なるほど。デカいのね。理解した。
「つまり、友好的なのばっかり集まったけど、そのままじゃ繁殖できずに行き止まりになったと」
「そうじゃ。だからわらわが目をつけられた。メスじゃからの。皆の子を産めと言うのじゃ」
なるほど。まあ、話を聞く限り自然な成り行きかも。
「でも普段あれだろ? 4メートルオーバーの……あれで良くモテるな」
「あれは擬態じゃあ。わらわは変身も得意での。これが本体なんじゃよ。可愛すぎたんじゃなあ」
自分で言うなら世話ないや。
「断ったら、夜中襲われての。マズイと思って抵抗したら強すぎたもので、気付いたら皆死んでたんじゃ。かろうじて生きていた者がギルドに逃げ込んで、わらわはお尋ね者じゃ。とりあえず変身して途方にくれていたらアボーに声をかけられたわけじゃよ」
「架け橋のオーガ達は腕の立つ方が揃ってました。それを簡単に蹴散らしたからキングに指定されたんです」
アルルが情報の補足をする。
なかなか可哀想な事情があるのね。あの敵にも悲しき過去……とかいうやつかな?
「でも、わらわは何となくわかるのじゃ。わらわも多分オーガとでは子は産めないんじゃ。他の種族のオスじゃないとの」
「じゃあ、それを説明すれば良かったんじゃないの?」
「勿論したのじゃあ。でも、誰も聞く耳持たずじゃ。元々繁殖欲求が強い種族じゃからな。まあ、我慢するなと言うのが無理だったのじゃ」
そういうことなのね。でも、それは襲われてんだから正当防衛なんじゃないの? でも、皆殺しにしたら駄目なのかな? 強すぎるというのは問題なんだな。……俺も気を付けないと。
「わらわはもう疲れたのじゃ。悪いこともしてしまった。だから、一思いに殺してくれ」
まあ、気持ちは分からないでもない。しかしだ。
「断る」
「駄目なのか?」
「ああ、死にたいなら、どこかに行って、自分で死んでくれ。俺は殺せないし……死んでほしくない」
青色は驚いて、うつむいた。
「強いくせに優しいのう。お主は」
この様子なら、もう悪さはしないだろう。まあ、元々大人しい性格らしいし大丈夫だろう。
「じゃあ、とりあえずもうお帰りになられるってことで……」
「駄目ですよ! それは! キングクラスですよ! そんなの野放しにはできませんよ!」
アルルが凄い剣幕で噛み付いてきた。
「大丈夫だよ。悪さはしないって。多分……」
「駄目ですよ! ギルドとしては見逃せません!」
「まあ、私もあまり感心しないな」
師匠も参戦して話をややこしくしやがる。
「そいつを見逃したことがギルドに知れたら、褒賞金が入らなくなってしまう。それでは困る」
どこまでもゲスいな。この人は。
「まあ、ギルドに知れなければいいんだが……」
師匠はアルルに視線を送った。アルルは首を横に振る。
「駄目ですよ! 私は黙ってはいませんよ!」
「なら、やはりこいつは殺すか。もしくはアルルを殺すか」
アルルは恐怖で固まってしまった。
「ははは。冗談だ」
「やめて下さい! 冗談でもそういうのは!」
「でも困ったなあ。どうする?」
アルルは困ったように首を傾げる。
「生かしておくなら、ギルドで囚えておくかですけど」
「ははは」
師匠が笑った。
「ここのギルドにこいつをおいて置けるのか?」
アルルは首を横に振る。
「それはとても……というか総本部でも手に余ると思います。結局、死んでもらうしか」
「だが、うちのモテムは殺さない。死なさないと言っているからな」
ホント。殺すとか殺さないとか物騒なんだよなあ。
「モテム様が見張っていていただければ」
「駄目だ。こいつは私の旅に同行しなければならんからな。私の目的の為に」
世界征服ね。
「お主らは旅人なのか?」
青色にそう尋ねられ、師匠がうなずいた。
「そうだ。もうこの村は離れる」
「そうなのか」
青色は何か考えているようだった。
「もしよければなんだが、わらわも旅に同行させて貰えないだろうか? よろしく頼むのじゃ。大人しくしておるから」
「はあ?」
何と、これ以上めんどくさいのが増えるのはゴメンだ。というかなんでお尋ね者と一緒に旅しないといけないのよ。普通に考えて無しでしょ?
「いや。それは考え直した方が……」
「いや。まて」
師匠は何か考えている様子だった。多分、ろくでもないこと考えているんだ。
「いいぞ。付いて来い。モテムが近くにいれば暴れても問題ないだろうし。目的の為にも弾は多い方がいい……」
本音漏れてる。漏れてる。
「リリーナ様!」
「アルルよ」
師匠はアルルを見て微笑んだ。
「やはりお前には黙っていて貰うしかない。さもなくば」
師匠は見せつけるように、自分の喉元に手をやった。
「最低でも喉は潰す。いいな」
「ひいい」
アルルは腰を抜かして、へたり込んだ。
「まあ、その心配はないぞ」
青色がそう言った。
「わらわは変身が得意じゃからの」
そういうと、青色はまた例の青い液体に溶け、一瞬の内に固まり姿を変えた。するとあら不思議。形はそこまで変わらないが、見た目は完全に人間の女の子だ。
「始めからそうすれば良かったんじゃ……」
「その変身の仕方どうにかならんのか? 青いのは抜けるが、濡れた感じは取れないぞ。何かベタつくしな」
見た目すっぽんぽんの姿になった青色……もう青くないや。青色改めアオウは頭を深々と下げた。
「よろしく頼むのじゃ」
「ああ、よろしくな。……今からでも逃げていいんだぞ。その姿ならバレない。褒賞金も頂きだしな」
本当にこいつは。
「逃げぬよ。今回の詫びも兼ねて働かせて貰う。それに……」
アオウは俺を見た。何かほっぺが赤くない?
「婿殿に気に入って頂きたいしの」
「むこ……どの?」
アオウは恥ずかしそうに、両手で顔をおおった。
「わらわは婿殿との子が欲しいのじゃ」
はあ? えええ!?
「まあ」
「ほう。大胆だな。答えてやれ。色男」
どうなってんのよ? 勘弁してちょうだいよ。
「まあ、とりあえずめでたし、めでたしだな」
「めでたくないですよ! 私は、ギルドは納得しませんよ!」
「まあ硬いことを言うな」
「言いますよ!」
「とりあえずまずは」
師匠はアオウをまじまじと見て言った。
「まずは服だな」
その通りだ。
このままじゃ目に毒だ。
六に続く
ありがとうございました!
次で一話は終わりたいと思います!
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