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1-2 目覚めたらイケメンになってました! 師匠の話は長いなあ。

第一話の二です!

連日投稿疲れましたが、頑張りました!

読んで下さい!


第一話の二


 緑色の化け物が俺を追い掛けてくる。助かりたいと思って、全力で走った。

 ふと前を見ると、友達がいた。軽田だ。やばい。一緒に殺される。逃げろ軽田。


「やばそうだな。藻添田」

 軽田は悠長にも煙草に火を点けた。


「何やってんだよ!? 逃げるぞ!」

「逃げる? 必要ねえよ」

 軽田が煙草を投げ捨てた。

「みーんな、吹っ飛ぶからな」

 ……

 俺はどうやら夢を見ていたらしい。

 ここはどこだ? でも柔らかい。ベッドか? とにかく土の上ではなさそうだ。


 そうか全部夢だったんだ。緑色の化け物も、糞雑魚女剣士も、全部。

 俺は、今病院のベッドにいるんだな。ガソリン爆発から生還して。

「良かった……」

「何が良かったんだ? お前」


 聞いたことがない女の声がした。嫌な予感が俺の頭を過る。モテない俺に話掛けてくれる女なんてオカンくらいのものだから。これは、オカンの声じゃねえ。

 俺は恐る恐る目を開けた。木の天井が目に入る。自分の手を見てみる。綺麗なものだ。


「包帯はどこだ……」

「包帯なら、頭に巻いとるだろうが。手には怪我なんてしてないだろ」

 声の方を向いてみる。何かエキゾチックな雰囲気のお姉さんが椅子に座って俺を見ていた。美人だ。その胸どうにかならんのか? と言いたくなるような装いだ。


「あ、あの」

「何だ?」

「あんた、誰?」


 お姉さんは大きな溜息をついた。何か呆れてるみたいだ。

「頭を強く殴られたらしいからな。記憶が飛んどるのか」

 そうなんだろうか? 俺は記憶は鮮明だと思うのだが、何か違うけど。世界がおかしいけど。

「とりあえず自己紹介しようか? 私はリリーナ・ホベル。あんたはモテム・サダル。私はあんたの師匠。あんたは私の弟子兼召使。分かる?」

 全く分からねー。


「俺はモテム? サダル?」

 誰のことだよって感じじゃない。いや、俺は違う。

「俺は藻添田定だぜ?」


 師匠とやらは何か不思議な顔をしていたが、急に何かを悟ったような顔をして立ち上がった。

「ちょっとこっちにこい」

 師匠は俺の手をつかんで無理矢理にベッドから立たせた。おいおい俺は病人だぞ。ふざけてんのか? けど、女の子に手を握られるなんて初めてだ。何か悪くないなあ。


 立ち上がって初めて、自分のいる場所を認識した。何かノスタルジックな木造建築だ。中世風というか、まあそんな感じ。この病院シャレてるなあ。

「そこに立て」

 連れてこられたのは、これは恐らく手洗い場かな? 水は桶に入ってるけど。……蛇口はどこ? 俺が立てと言われたのは鏡の前だった。俺がこの世で2番目に嫌いな場所だ。1番はカメラの前。


「自分の顔を見てみろ」

 だからそれがやなんだっての。そう思いながらも、俺は嫌々鏡を見た。そして、腰を抜かした。派手に尻もちをついた俺に、師匠も流石に驚いているみたいだった。


「大丈夫か?」

「えっ? いや、大丈夫なのは、大丈夫みたいな」

 いや、大丈夫な訳ねえだろ。

 顔が。顔が全然違う! 俺は立ち上がり、もう一度、まじまじと今の俺の顔を見た。

 誰やねん。お前さんは。それにこれは……。

「まるでイケメンじゃねえか……」

「当たり前だ」


 混乱の最中の俺に、師匠が口をはさんできた。

「私がモテムを弟子にしたのは、奴にエスパーの才能があったこと。それに……」

 師匠はなんか妙にためた。

「それに?」

「顔が良かったからだ」

 それはまた素直でクソみたいな理由だな。


「つまり俺はイケメンだから、あんたの弟子であったと。そういうことか?」

「違うな。モテムの方だ」

 違う? モテムと俺は違う?


 そりゃあそうだよな。そりゃ当たり前だわ。つまり、どういうことだ? つまりは。

「そうか。俺は大やけどに伴っての外科整形で、あんたの弟子にそっくりになったんだな。それなら合点がいく」

「どこがだ。そんなわけ無いだろ。とにかく一度ベッドに戻るぞ。お前は病人だからな」

 いや、お前が連れ出したんだろうが。


 ベッドに戻り、座らされると話の続きが始まった。

「おかしいとは思ったんだ。お前がアボーを1人で倒したと聞いてな」

「アボー?」

「この村を襲っていたオーガだ。かなり名のしれた悪鬼だな」

 ああ、多分あの緑色かな?


「あれってやっぱり俺がやったの?」

「分からんのか?」

「いや、いきなり吹っ飛んだから。よく分からなくてさ」

 師匠は何かうなずいてた。


「アルルもそう言っていたな。でもあの子は間違いなく、お前がしたと言っていた」

 アルル? ああ、あの女剣士か。

「そういや、あの子は大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。ビビって小便チビってたくらいで怪我一つない。元気なもんだ」


 そうだったのか。あの感じだともっとやられてるのかと思ったけど。つまり何もしてなかったのか。あの子は。

 何がA級だよ。もしかして文字が若いほど弱いのか?


「あの子が俺をここまで?」

「まあそういうことだ。命の恩人とか言ってたぞ」

 そうなんだ。うむ。悪くはないなあ。

「ところでだ」

 少し悦にひたっているところに、師匠が横やりを入れてくる。


「お前、私の専門。分かるか?」

 そんなもん……分かるか。

「知らないけど」

「そうか。やはりモテムとしての記憶は全く残っとらんのだな」

 師匠は軽くため息をついた。


「私の専門はな。転生学だ」

「……なにそれ?」

 少なくとも大学にそんな学科は無かったなあ。

「輪廻転生。つまりは魂は巡り、命は時代を超えて繋がっている。その現象を研究しているんだ」

 ほう。なるほどな。テレビとか本で見たことあるやつだ。


「一種のオカルト的なやつですね」

 師匠はやれやれとでも言いたげに首を横に振った。

「お前のいた時代ではそうだったんだろうな。だが、それは実際にあるんだよ」

 はあ。こいつは何をクソ真面目そうに語ってるんだろうか? そんなことあるわけないじゃん。

 もしかして何か変な勧誘だったりして。


「何が言いたいんです?」

「お前、前の人生で1番新しい記憶はどんなのだ? 何か嫌な死に方をしたとかじゃないのか?」

「あ? ええ、まあ」

 まあ、確かにその通りだ。けど。

「でも、俺生きてんじゃん」

 師匠は首を横に振る。


「お前は死んだんだよ。間違いなく。なあ、藻添田くん」

 馴染み深い名前で呼ばれて何か嬉しい。しかし、そう呼ぶということは。

「俺はモテムとは別人って認識でいいのね?」

「中身はな。側はモテムのものだ。決して外科整形とかではないぞ。どんな死に方したのかは知らんがな」

 はあ、なるほどな。それならまあ、合点もいくかもだけど。

 そんなもん現実にあるの?


「じゃあさ。その理屈なら俺はあんたの弟子のモテム君の体に入ってるわけだ?」

「まあ、そう言えばそうだ。元々入ってたと言ったほうが正しいがな」

 もうよく分からんな。まあいいか。

「それなら、何かかわいそうだ。戻してあげないと。この子の人生なのに」

 俺がそう言うと、師匠は困った顔をして首をかしげた。


「まあ、説明は難しいのだが、それは無理だ」

「無理?」

 師匠は軽くうなづく。

「モテムは一度死んだんだよ。恐らくアボーに殴られた時にな」

「死んだ?」

「そうだ。いや、そうじゃないとも言える。難しいところだがな」

 そう言われても説明してくれないことには訳が分からない。


「簡単でいいから、説明してくれない?」

「そうだな。簡単に言うと、モテムはお前の転生体だったんだ」

「そうなの?」

 俺が、こいつに? そうなのかあ。とも思うが、いくら何でも顔面が違い過ぎない?

「どうかしたか?」

「いや、何だろうな。例えば転生したとして、身体的特徴とかは前の影響はないのかなって」

「無いな。そっちは魂ではなく遺伝子の領域だ。見た目も性別も種族も影響しない。つまり、人間から人間に転生するだけでも天文学的確率だ」

 へえ。そうなんだ。俺ってついてんのかな? しかも、何かイケメンだし。


「一生分の運使ったんじゃね?」

「何か言ったか?」

「い、いや」

 つい心の声が漏れてしまった。

「まあいい。話を続けるぞ。人間から人間に転生した者は前世の記憶を持っているものがいる。大体、そういう者は特別な力を持っている者が多い」

 そう言うと師匠はなんか右手の小指を立てて、なんか宙に円を描いた。

 すると、ビックリ仰天。俺の寝ているベッドがふわりと宙に浮かんだ。


「うわ! 何だこれ!? すげえ!」

「私もその一人だ。私の超能力はまさしくその賜物。私ほどの超能力者はいないと自負していたがな」

 そうなのか。ということはまさか……。


「あの緑色を殺したのはやっぱり俺?」

 師匠は軽くうなずいた。

「まあ、信じられないと思ったよ。アボーは私でも簡単には手が出せない相手だ。剣士が一人先走り、正義感だけは強いモテムが探しに行ったときには、死んだなと思ったが」

 やれやれとでも言いたげに首を横に振っている。いやいやふざけるなよ。


「あんた、弟子なんだから助けてやれよ」

「人の忠告も聞かないやつなど相手にできるか。私も一緒に死ぬだけだからな」

 まあ、それはごもっともだが、それでもちょっと白状なんじゃない?


「こいつはあの子を助けに行ったのか。度胸あるじゃねえか。あの子とは何なの幼なじみとか?」

「いや、何の面識も無いだろ。私達はこの村に、昨日来たばっかりだしな」

「そうなの? 何のために?」

「アボーを倒すためさ」

 それを聞いて俺は起き上がった。


「おお。元気だな」

 そういう問題じゃないだろ。あんまりにも理不尽だ。このモテムとかいう若者気の毒過ぎる。


「それならあんたも戦えよ! こいつ死んで可哀想じゃないか!」

「だから悪いと思って今看病してやってるんじゃないか」

「だから死んでからじゃ意味ないだろう!?」

「それが難しいところなんだ」

 難しいところ?


「何のことだよ?」

「モテムは正確には死んではいない。ただ……」

「ただ?」

「人格が完全にお前さんに変わっただけさ。入れ替わったとかではなく、記憶が戻ったというのが正しい。ただ100%人格が変わってしまったんだ。こういうケースは珍しい」

 説明する師匠はなんか楽しそうだ。


「前世の記憶を持つ者が特殊な力に目覚めることを、私は転生覚醒と呼んでいるが、お前のようなケースだとそれもまた顕著に現れる」

 へえ。なんか話がややこしくなってきやがったが、とにかくまとめると。


「つまり、俺はモテムで。何かすげえ力に目覚めたと?」

「そうだ。だから、アボーが倒せた。それに……お前包帯取ってみろ」


包帯を? 何言ってんだ? こいつは。そんなことしたら、傷口が開いて血がだらだら失血死だろうが。

「嫌だよ。怪我してんのに」

「大丈夫だ。ほれ」

 師匠はまた超能力とやらを使い、俺の包帯を無理矢理剥ぎ取った。


「うわ! 何すんだよ!?」

 俺は傷口を触ってみる。ほら見ろ。血がべったり……ついてねえねあ。どうなってんだ? というか本当に傷があるのか? 何の引っ掛かりも感じねえぞ。髪もしっかり生えてるし。

「ほら見ろ。思った通りだ」

 師匠は何だか満足気だ。


「何の事だよ」

「つまりだ。お前は転生覚醒によって、強大な超能力を得ただけでなく、生命力に体力、運動神経も常人を遥かに超えたという訳だ」

 つまり、何だ。昨日の傷は、もう治ったって訳ですか。もう本当意味分からない。


「体力や運動神経も?」

「昨日、アルルを片手で担いで走ったんだろ? あの子は80キロはあったぞ。結構なスピードだったと聞いたしな」

「へえ。見た目よりデブだね。あの子」

「馬鹿か。装備のせいだ。女の子に体重のことは言うなよ。モテなくなるぞ」


 あんたが先に言ったんじゃないのか? まあ、俺は確かにモテてこなかったから、デリカシーってものがいまいち備わっていないのは自覚しているが。

 しかし、まあ引っ掛かる言い方だな。


「モテなくなる?」

「そうだ。ああ、お前は前の記憶ないんだったな。異常にモテたんだよ。モテムは。まあ、顔が良いからね。私も、だから連れてたんだし」

「顔、顔って……」

 何か、このイケメンもイケメンで気の毒だ。


「ははは。半分冗談だ。こいつは私と同じでエスパーだったからな。前世の記憶があるんじゃないかというのもあってな。実験体の側面もある。結果は大成功だ」

 もう本当に気の毒。

「弟子をもう少し大事にしてやれよ」

「大事にしたさ。だから、こうして看病したし、そのおかげでもう治ってるじゃないか」

 これは俺の自力だろ? まあいいけど。


「さあ、怪我は治ってんだから。もう退院だ。アボーも倒したし、この村に用はない。次に行くぞ」

 師匠はそう言って立ち上がった。

「ほれ。早く着替えろ。洗濯してやったんだ。感謝しろ」

 そう言って、俺に服を投げつけてくる。何て女だ。良いのは顔と体だけだ。性格は無茶苦茶じゃねえか。この服も半乾きだし。


「うええ。気持ちわり」

「何か言ったか?」

「いやあ。何にも?」


 でも、何かあんまり逆らう気になれなかった。何か、この人怖い。この感情は女性経験が希薄だからか、はたまたこの体に刻まれたものなのか。

「これからどこに? というか俺もついて行くの?」

 俺の質問に、師匠は困った顔をした。


 正直、俺はこの女に付いて行きたくない。師匠と呼ぶのも嫌だ。だって、俺自身は関係ないし、何より、話を聞く限り俺の方が強い。

「そうだな。お前は既にあらゆる面で私を越えた。私に師事する必要ももうないだろう。嫌ならどこでも行っていいぞ」


 よっしゃあ! 俺は心の中でガッツポーズした。このイケメンには悪いが、俺の新人生の始まりだ。

「ただし、どこかに行くなら。その前に借金を返して貰わんとな」

「借金?」


 何それ? 聞いてないよ。俺はポケットの中を探ってみる。勿論、一円もない。というか、この世界の通貨は日本円なのだろうか?

「それって、いくらくらい?」

「ざっと三十億円」


 日本円だった。びっくりした。しかし、頭のおかしい金額だ。いや、もしかしたらハイパーインフレ状態なのかもしれないし。

「それって、どれくらいなの?」

「そうだな。普通のお父さんの人生。十回分くらいだな」

 貨幣価値は令和の時代とあまり変わらないみたいね。うん、うん。

 無理だな。


「払えるかよ! そんなもん!」

 師匠は嫌な笑みを浮かべた。

「じゃあ、働いて払ってもらう。その強さで、私の目的のために」

「働く?」


 正直嫌だ。めちゃ嫌だ。でも仕方がないのかも。お金ないし。美女と二人旅と考えれば、悪くないかも。今までこんなことなかったもんなあ。

「ところで目的って?」

「世界征服」

 もう帰りてえ。帰って風俗でも行きてえなあ。


「じゃあ、何? 魔王でも倒しに行くの?」

「いや。そういうのはいないからな。詳しいことは次の目的地に着いて話す。友人がこの世界の話には詳しいからな。後、そこにお前と同じ状態の騎士がいるらしい。それも仲間に加えたい」

「俺と同じ?」

「そう。前世に目覚めた転生騎士」

 へえ。似たような奴もいるもんなんだな。もっと特別かと思ってた。


「で、それどこ?」

「山を二つ越えた先だ。ウィルークという町だ。その騎士は近衛隊の一人だそうだ。女で、名はレイ・トランプ」

 へえ。女の子か。うん。ちょっと楽しみだ。

「じゃあ行くぞ。大いに働けよ。私の野望の為に」

 この女は鬼だ。悪魔だ。始めてまともに接する異性がこれとは、トラウマものだぜ。


 支払いを済ませ、外に出た所で大きな爆発音と共に、強い衝撃に襲われた。

「何だ!?」

 驚く俺達の元に、一人駆け寄ってくる影がいた。

 例の女剣士だ。アルルだったか。


「リリーナ様!」

 アルルは息も絶え絶えといった感じだった。

「どうした? 何があったの?」

「大変なんです! オーガが! アボーの敵討ちだと言って、村に単身乗り込んで来たんです。ギルドの戦士達も戦っていますが、まるで歯が立ちません! どうか、お助け下さい!」

 師匠は軽く溜息をついた。


「やれやれ。高くつくよ」

「ありがとうございます!」

 師匠は俺をチラリと見た。ん?

「さあ、一勝負いこうかね!」

 もしかしてさ。戦うのってさ。

 俺?


ありがとうございました!

3回目は2、3日開くかもです!

よろしくお願いします!

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