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5話 私のおしっこおいしくなんてないから!!!

 「七瀬海色、少しお買い物に行きましょう。私一人分の食材しか用意できていません。それに大人用の服も全然ありませんし」

私もこの活気ある街をもっと見たかったためすぐに二つ返事を返した。


 リリについて家を出ると、少し傾いた夕日が町の大通りを照らしていた。その様子はどこかノスタルジックで幻想的で素敵だった。一日の終わりのその楽しい騒がしさは、元居た世界でも感じていた気がする。ママと一緒に商店街を歩いた記憶。

まあ今はどちらかといえば私がママみたいな構図だけど……


 「ねぇ、リリ。リリのことについていろいろ聞いてもいいかな?」

「いいですよ。七瀬海色、どうしましたか?」

「リリのお母さんってどこにいるの?」

ずっと気になってた。けど聞きにくかった。でもこの風景が私にそう言わせたんだ。


 「お母様は死んでしまいました。ま、まぁ、私これでももう30年は生きてるんですからそういうこともありますよ」

「ご、ごめんね。つらいこと思い出させちゃった」

30年というところに疑問はもったが今はそれどころではなかった。

はぁ、夕焼けめ……


 「もう、しんみりしないでください。もう20年も前の話ですから。ところで私30年も生きてるんですよ? 七瀬海色よりも年上なんですから子ども扱いはやめるんですよ?」

「う、うん」

オレンジ色の陽光で照らされたリリの横顔は少しばかり強がっているようにも見えた。


 数分歩いて、徐々に町の賑わいが大きくなってきた。おそらくここが町の中心地で商業の中心になっているのだろう。大通りのそばにはおおむね二階建ての建物が1mほどの間隔をあけて並んでいて、大通りの中心には屋台が出ていた。

あたりを見渡しながら歩いている時だった、建物と建物の間の薄暗い小道に一人の少女がうずくまっているのが視界に入る。


 「ね、ねえあそこの路地裏にしんどそうな女の子がいたんだけど、大丈夫かな……」

「気にしてはいけません。彼女は自身を心配して近づいてきた人の血を吸って魔力を蓄えようとしているのです。あの様子だと、全く魔力にありつけずもうすぐ死んでしまいますね。ただ少しおかしいのはあれほど衰弱するまでに待ち伏せ作戦をとるということです。普通ならあれほど衰弱する前に待ち伏せから突撃作戦に移行するはずなのですが…… まあいいです行きましょう」


 「おっ、そこの姉妹さん、かわいいから新発売の飲み物のんでみない?」

ショートパンツにTシャツというラフな格好で長くつややかな水色の髪を持った19歳くらいの女性が私たちに声をかけてきた。

「あっ、でも妹ちゃんにはまだちょっと早いかも……じゃあお姉さん、飲んでみてっ」

そういいながら彼女は薄桃色の液体が入ったガラスコップを私に渡す。


 ちらりとリリのほうを見ると若干ふてくされているようだった。おそらく、(私のほうが年上なのに)だなんて考えているんだろう。

私はコップに入った飲み物を一気に飲んだ。


ーードクンッーー

体中によくわからない感覚が染み渡る。な、なにこれエナジードリンクの類!?

な、なにこれ……急におしっこしたくなってきちゃった。

絶対飲み物のせいじゃん……


 「お、おいしかったです。ありがとうございます」

私は軽くお礼を言い、その場から立ち去った。

「ね、ねぇリリおトイレ行きたい! あの飲み物絶対おかしい……」

「まぁ、そうかもですね。仕方ないですし、いったん家に戻りますか」

「む、むりむり、そんなに我慢できないよぉ」

もう本当に限界だった。周りの目も少なからずあったが私は白いワンピースの上からおしっこの出口を抑えた。


 「ちょっと、周りの目もあるんですからやめてください七瀬海色」

「だ、だってぇ。もう相当たまってるよ?これ 80%ぐらいじゃない??」

足をじたばたさせながらそう言った。行っている間にもとぎれとぎれでちょっとおしっこが出てしまう。じわじわとショーツが濡らされていく。

「いえ、71%です。あっ、いまちびりましたね?? 70%になりました」

「そんな細かいこと聞いてない!! それにちびったとか言わないでよぉ」


 「つかまってください、さっきの路地裏まで飛びます。家まで戻れればいいのですが、魔力的に足りません」

私はおしっこを我慢するために使っていた両手のうち片方をリリの手のひらに当てる。

その瞬間突然あたりは薄暗くなり、目の前には壁、左には大通り、右には先ほどの魔力を求めている少女がいた。



 「あっ、あっ、あっ……」

テレポートの感覚に驚いたせいだった。太ももを伝う温かい感触、ワンピースを通り抜けたおしっこが左手を濡らす感覚。

ぴちゃぴちゃとおしっこが滴っていく音が壁に挟まれた路地裏に響く。


 「くん、くん、ま、魔力を感じる。でも血のにおいじゃないっ!」

黒く長い髪に赤い目、ずっと陰にいるせいか真っ白すぎる肌の少女がそう言いながら私に近づいてくる。リリ、この子はもうすぐ死ぬって言ってたのに全然動くじゃん。どうしよ……

「や、やだ、私の血には魔力が流れていないから襲わないで……」

恐怖からなのか、我慢に疲弊したからなのかおしっこが全然止められない。いまだにおしっこは水流となり私の足を伝い重力により落ちていく。


 だめ、動けない、血を吸われちゃう……

「リリ、助けてよっ」

だけど、リリは先ほどのテレポートにより魔力を使いすぎ、倒れてしまったようだった。

黒い髪の少女が突然距離を詰めてきて私の太ももにしがみつく。地面に落ちて飛び散ったおしっこは少女の体を少しずつ濡らす。

荒い息を吐きながら、少女の口が徐々に私の太ももへと近づいていく。


ーーぺろりーー

少女の舌が私の太ももに当たる。

それと同時に私のおしっこはようやく止まった。

「もっと、もっとほしいの……」

少女はそう言いながらおしっこにまみれてしまった私の太もも、ふくらはぎ、手をなめ回していく。

「や、やめてっ。私のおしっこおいしくなんてないから!!!」


 「ううん。魔力に満ち満ちておいしいの」

このなめまわされる感覚がやけにくすぐったい。それに私のおしっこが飲まれているという状況が果てしなく恥ずかしい。

「ねえねえ、もうでないの? わたし、もっとほしい……」

少女が私のワンピースの裾の中に入り尿道の先へと舌を近づける。

「だ、だめ!! ま、また今度上げるから許して……」

「しかたない、やくそく」

少女は人差し指を私のほうへと伸ばした。


 えっとこれは指切りげんまん的な何かかな…

私も同じように人差し指を伸ばし、少女の指の腹にチョンとあてた。

「えへへぇ、ありがとっ おねえさんっ!」

あってたみたいだ。けど、なんかすごいことになってきてしまった……




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