4話 うるさいよぉ、私だって火球くらいっ!!!
「さて、おむつもつけたことだし、魔法の練習でもしましょうか」
「本当に魔法なんて使えるのかな。あと、おむつはつけなくても大丈夫だって。それに私たぶんおむつつけてたら恥ずかしくて練習に集中できないよ?」
このもこもこ感安心できるけど、周りから見たら一目瞭然で恥ずかしすぎるんだよね…
「いいですよ、漏らしたとしても私の部屋じゃないですし」
「漏らさないよ!!」
わたしはさっきつけてもらったばかりのおむつを外し、少女からショーツと靴を借りて、少女と外に出た。初めて少女の家に向かっている時はお漏らしした形跡が恥ずかしすぎて周りを見れていなかったがよく見ると全く見慣れない景色だった。まるでファンタジーゲームの世界みたいな建物や住人。はぁ私、本当に異世界に来ちゃったのかぁ。何度考えても変わらない事実を考えまわす。
出店などもまばらになってきて、人の量も少なくなってきたころ、だだっ広い緑の草原が見えてくる。その瞬間、ふわっと前から気持ちの良い風が吹いた気がした。はっと息をのむような素晴らしい草原、コンクリートジャングルだった元居た世界ではこんな光景は遠くへ旅行しないとみられなかっただろう。あれ、でもこんなきれいな草原で魔法の練習なんかしていいのかな。
草原に入り少し経ち、小高い丘へ登った。さっきまでいた町が小さく見える。
「どうです? この世界もそれなりにいい世界でしょ? 帰りたくなくなったんじゃないですか??」
「そ、そんなことない!! いい世界なのは認めるけど、帰りたいよ。ママに会いたいし…」
「ママですか…… 私のママは……。い、いえそんなことはどうでもいいので早く魔法の練習を。魔法を特訓しなければあなたはただのお漏らし少女なんですから」
あれ、いまなにか……
「さて、では魔法の説明をしていきましょう」
それからリリのスパルタ魔法教室が始まった。リリが実演すると、火球や、水流が現れたり、風が吹いたりとほんとに自由自在だった。
私はといえば全くできずにいるままだ。
それから二時間近くが経過した。
「はぁ、あなた、魔法のセンスないですね。せっかく大量の魔力を使えるというのにもったいない」
「うるさいよぉ、私だって火球くらいっ」
私自身少しピリピリしていた。なぜなら、さすがに時間をかけてここまで来た上に二時間も授業を受けていればおしっこがしたくなる。
よし、次で決めて早く帰ってトイレに行こう。
言われたとおりに手を前に出し、目をつぶって、使う魔法を想像し、魔力を感じるイメージ。もうほんとラノベみたいだなぁとは思うけども、今は集中。魔法だけに集中。
ん、あれれ、手が熱いような……
私はとっさに目を開いた。直径40㎝の大きめの火球が目の前にあった。
私はパニックになり、急いで火球を放つ。
その火の玉は前へ水平投射され、丘のふもとのほうへと落ちていき、落ちるとともに大きな爆炎が現れる。
「きゃぁぁぁぁぁ!!!」
雷とか苦手なたちの私はつい大きな声で叫んでしまった。
「やりましたね七瀬海色!! すごいですよ!! って、七瀬海色、ストップストップ、おしっこが!!」
「えっ……」
あれ、太ももが暖かいし足が濡れている。ちょうど今もショーツの中からくぐもった音が聞こえる。
「だ、だめ、おしっこ止まらないっ……」
先ほどの驚きのせいで落ち着けずに、おしっこを止めることができない。
ショーツをすり抜けたおしっこは太ももを伝い、膝をくすぐり、靴の中へと入っていく。
少しふらついて地面を踏みなおすたびにぐじゅぐじゅと靴の中が鳴る。徐々に落ち着きを取り戻してきたせいか、体から力が抜けていく。足に力が入らない。私はそのままおもらしの水たまりの上にぺたりと座ってしまった。
ふくらはぎのぬれてなかった側面までもが濡れる。
「もう、だからおむつ履かせていたんですよ、七瀬海色」
「だってぇ…… もぅ、せっかく魔法使えたのになぁ」
魔法を使えたという喜びは一瞬でお漏らしの悲しみに打ち消される。
風に吹かれて徐々におしっこが冷えていき、からだがびくりと震えた。
すると、膀胱に残っていた少量の尿が私に尿意を与えてくる。
私はそのまま脱力しておしっこを出す。量が少量で勢いも弱いせいかちょろちょろと流れるだけで、今度はショーツからくぐもった音は聞こえない。ただ少しの温もりとともに地面を濡らすだけだった。
「七瀬海色、よくやりましたよ。はじめからあんなすごい魔法を使えるなんて私もびっくりです。まぁおしっこの量が限界だったていうのがあるのかもですが……
ところで、私のショーツと靴をおしっこで汚しましたね??
悪い子には少し罰をあたえなければいけませんねぇ」
「ご、ごめんなさい……」
私はすっかり気が小さくなってボソッと謝ることしかできなかった。
リリは魔法を放つ体制になり、その手を私に向けた。私はとっさに怖くて目をつむる。
その次の瞬間だった。突如頭から下を温かくやさしい水流が包み込んだ。そして水流がなくなると温かい風が吹き、私の衣服を乾燥させていく。
「あ、ありがと……」
「何感謝しているんですか七瀬海色、これはただの罰ですよ」
金色のツインテールで私よりも40㎝ぐらい身長が低く、真っ白な肌を持ったリリの頬は少し赤らんでいるように見えた。
「えへへ」
私は目を細めてほほ笑んだ。