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来週、誰も予測できない曜日に名画「オランダの涙」をいただく  怪盗Sより 

作者: 佐藤成美

「何なんだこれは」

A氏は珍しく声を荒げながら激怒していた。

今朝、一通の手紙がA氏のもとに届いた。

A氏はこの地域でも有名な実業家で趣味は絵画の収集をしていた。この間のオークションで一億円の名画「オランダの涙」を落札したばかりであった。

手紙にはこのように書いてあった

「来週、誰も予測できない曜日に名画「オランダの涙」をいただく怪盗Sより」


A氏「怪盗Sとはなんだ」

秘書は答えた

「どんな警備でも突破する凄腕の泥棒でございます。先月も世界有数の博物館から時価数億円ダイヤを盗み出しました」

それを聞いたA氏は秘書に凄腕の警備員を雇うように言いつけた。

急遽警備員を呼んでもらったが、秘書が紹介した警備員は小さな女の子であった。

A氏は小声で秘書に問いかけた

「ほんとに私の「オランダの涙」を守り切れるのかね、見たところ小学生にしか見えないが」

秘書は自信満々にこう答えた

「何も心配はございません。腕は確かです。」

「しかし、だなどう見ても守り切れるようには見えないぞ」

そう話している声がどうやら少女にも聞こえたようで

「失礼ですね。あたしに能力がないとでも」

不服そうな様子で言い放った。

A氏は怪訝そうに

「では怪盗Sがいつ「オランダの涙」を盗みに来るのか分かるとでもいうのかね」

少女は「もちろん」と自信ありげな様子でいった。

続けて

「怪盗Sは来週の誰にも予測できない曜日に「オランダの涙」を盗み出すと予告しましたでは木曜日まで盗まれなかったらどうなります?」

「そうか、金曜日は予測出来てしまうから犯行は不可能だ」

「そうです、金曜日は不可能では水曜日まで犯行がなかったら?」

「金曜日は不可能だから木曜日だ……」

そこでA氏はハッとした

「怪盗Sには犯行が不可能だ!」

少女はニヤリと笑って

「そうです、怪盗Sには犯行が不可能ですなぜならば「来週、誰も予測できない日に」オランダの涙をいただくと予告しました。ですが、金曜日は犯行が不可能となると、水曜日まで犯行がなかった場合木曜日だと予測が出来てしまう。これは他の曜日にも言えることです。つまりは「来週、誰も予測できない日に」犯行を行うのは不可能なのです。」


「なら安心だ、愚かな怪盗Sめ恐るるに足らん。」

「こうゆうことです、では私は失礼します。依頼費は今日中に振り込んでおいてください。」

そういって少女は立ち去った。

ところが、月曜日の朝「オランダの涙」は消えていた。

A氏は激怒し少女に電話を繋いだ

A氏「どうなっているんだ!「オランダの涙」が盗まれているではないか。誰も予測できない日に盗みに来るのではなかったのか!」

少女は笑いながら言い放った「ええ、でも貴方は今日盗まれることを予測できなかったじゃないですか」そう言って電話は切れた。


それ以降、電話は二度と繋がることはなかった。


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