御祝の品もの~リサイクル~
「勲章など飾りだ」
気障ったらしく言い放つ彼は、凄腕の軍人だ。その凄まじい闘いぶりで、吸血鬼の異名を持つ。だが、軍からの勲章は、一切受け取ろうとしない。
「そう仰らず。説得役の私を助けると思って」
「僕とて、実利あるモノは喜んで受け取るさ。例えば」
次の瞬間。彼は私の首筋に噛みついた。
「如何でしたか」
車を発進させた秘書が尋ねてくる。私は吐き捨てた。
「あの野郎、また俺の血を全部吸いやがった!」
「勲章相当の戦果で人間一人。取引通りですよ?」
しかし、と秘書は続けた。
「何故彼は気付かないのでしょう。御祝がいつも貴方で――同じ不死身の吸血鬼だってことに」
「ボケてんだよ」
永生きも楽じゃねえよ、と私は独りごちた。
※Twitterで月一に催されている「決まったお題で300字の作品を書こう」という企画『300字SS』、
第六十回の参加作です。お題は「祝う」。
※ジャンル詐欺ごめんなさい。
※新作書いたらTwitterで告知してます。宜しければ。
http://twitter.com/drawingwriting
※本作はPixiv,カクヨムなど他サイトでも公開しています。