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一話 異世界転生。夢はスローライフ。

突然、新しい生活になる。それは、すごい負担ですよね。


筆者も、小学校の時初めて転校をした経験がありますが、その時の緊張感は未だに覚えています。

とはいっても、大人になってしまえば「いい思い出」「良い経験だった」なんて言えるのですが、当時は状況の把握と自分の立ち位置はどうすればいいのか、必死に考えていたようです。


当時の先生と久々に再開し、お話ししたときに聞かされ少し恥ずかしくなったのを覚えています。

 今、俺は真っ暗な空間にいる。いや、光も通さない漆黒の空間にいると言った方が表現的には合っているのだろうか。

 咲ちゃんの葬儀に向かう途中、久しぶりに感じた「楽しい」という感情、全てを奪い去った激しい痛み、そこで見た血だらけの両親。

 その後俺は……。


 はっとして自分の体を見る様に視線を下げる。

 そこにはある筈のものが無い。手も足も体でさえ無い。さらに言えば、地面も無い。


 そこには何もなかった。


 どっちが上でどちらが下か。俺はどこを向いているのかも分からない。

 あるのは、俺が俺であることを証明する意識と記憶のみ。


 ここはどこなのだろうか。ふとそんな疑問が頭の中に浮かぶ。例に倣って頭も無いんだろうけど……。

 死後の世界?であるとすればここは天国ではないだろう。

 それでは地獄なのか?俺の想像していた地獄では無いことは確かだけども……。

 でも確かにこの記憶と意識があるのに、いつ終わるかも分からない生活をこの空間で過ごすのは地獄だと思った。早く終わってほしいと思う。そんなことを考えながら俺はボーっとしていた。


 どれくらいの時が経ったのだろうか。俺はどれくらいここに居たのだろうか。動いていたのか止まっていたのかも分からない。ただ、この状況を取敢えず受け止めることはできた。


 思い返せば俺は酷いことをしてきた。親にだ。

 俺の立場で現実を受け止め、優しく俺を守ってくれた両親を、感謝の気持ちも持たずに罵倒した。しかも今があるのは両親のせいだと、責め立てたこともある。

 そんな俺が、今この暗闇地獄に閉じ込められた。当たり前のことかもしれない。

 俺は、今ここで悔い改めなければならない。そしてもし、もう一度両親に会えるのであれば会って謝りたい。

 そんな気持ちが素直に出てきた。


 その時だった。


 漆黒の中、遠くの方で光が見えた。永遠に続くと思われたこの漆黒の世界で、唯一の希望の光であった。

 俺は心の中で歓喜した。やっと出れる。そんな思いと共に、光の方に向かって歩き出した。気持ちだけだが。



 目を開けると目の前には、薄グレー色の石で出来た壁があった。いや、背中に重力を感じる。天井だった。

 俺は、小さな部屋で、ベットの様なものに仰向けで寝ていた。咄嗟に体を起こそうとしたが、体が動かない。


――ガチャ


 突然、俺の横の扉が開いた。

 俺は目を見開いた。そこには女神様がいた。整った顔にスレンダーな身体、しかし出ているところは出ている、前世であればハリウッド女優、そんなところだ。手には桶とタオルを持っている。


 俺は、如何わしいお店にでも来たのだろうか。そんな記憶は無いはずだが……。

 けれども現に、その女性は「身体を拭きますねー」とか言って、俺の体を濡らしたタオルで拭いている。


 嗚呼、そんなところはだめですぅ、なんて声が今にも出そうなくらいだ。しかし、俺の気持ちとは裏腹にそんな言葉は出なかった。それどころか身体に違和感を覚えた。

 触られて初めて分かったが、頭のすぐ下にへそ、股間、足の指先があった。

 俺の身体は、どうやら縮んでしまったようだ。某アニメの主人公のように……。

 

 体も拭き終わり、女神様は退出していった。エロいことは、一切なかった。 

 

 俺は、何がどうなっているか、分からなかった。その現実を受け止めるだけで一日を費やした。

 俺は、「転生」なるものをしてしまったのだろうか……。そんな疑問が頭から離れなかった。


 

 次の日、考えすぎて寝不足気味だった俺は、答えを求めて、女神様に聞いてみることにした。

 前日なぜそれを思いつかなかったのかを後悔したが、まあ仕方ない。

 

 起きてからすぐ、さも俺が起きるのを見ていたかのように扉が開き、女神様が登場した。

 俺は改めて、挨拶と会話をしようと口を開いた。いや開こうと思った。

 その時だった。女神様は、おもむろに自らの胸を弄り、片方の[豊満で大きな、そして頂点には大きな真珠をあしらえた]物を、服から出し俺の口元へ当てがった。

 

 「何も聞くな。口を閉ざせ」。

 そういうことだろうか。そんなことをされても尚、黙らない、俺はそんな野暮な男では無い。

だから、俺は舌を使いそれを舐め回してやった。


 女神様は、眉間に皺を寄せ、俺を見た。

 その目はどこか、懐かしい感じがした。前世、親に暴言を吐いたとき、親がしていた目だ。困惑と少しの恐怖。そんな目だった。あんまり良い目では無いだろう。


 俺は謝ろうと咄嗟に口を豊満な()()から外し、「ごめんなさい」と誤った。俺はあの暗闇で何を学んだんだ、全く。


 ん?ちょっと待て。俺は今何を言った?

 「ごめんなさい」といった時、自分の口から聞こえてきたのは何だった?


 もう一度言ってみる。「ごめんなさい(オギャア)」。

 あれ?あれれ?小さくなったのは、身体だけではないの?もしかして……もしかして俺って……。

 

 声を上げたとたん、女神様はビクッてなって、俺を持ち上げた。


 「良い子ですねー。おなか一杯になったの?ほーら、大丈夫でちゅよー?」


 なんて、あやす様に俺に満面の笑みで言ってきた。

 そして続けた。


 「うん、だめよ、ダメ。他の子とおっぱいの吸い方が違うからって、怖いなんて思っちゃ。ほらこんなにかわいい顔をしてるのに。私ったらまだまだね。これから頑張らなくちゃ。」


 今度は自分に言い聞かす様に。


 やっぱり俺は、赤ちゃんになっていた。

 薄々気づいてはいたが、やっと受け止めた。

 俺は転生したのだった。


 そんなこんなで俺の食事タイムは終わった。


 さて、また部屋には誰もいなくなった。

 問題は一つ解決したが、まだ問題は山積みである。


 大きな問題としては、ここは何処なのかである。

 元の世界ではない事は、多少感づいている。先程の女神様が来ていた洋服や顔つき、それに家具なども日本とは違う。どちらかと言えば中世西欧風だ。


 でも言語は、俺もわかる日本語だった。

 前世にそんな場所はない。ってことは、ここは異世界か?となると異世界転生になるな。

 

 異世界転生と言えば、前世では、俺は暇潰しに読み漁っていた本を思いだした。

 主人公がチート能力で魔法を使い、強者で世界を悪くしようという奴らを圧倒して、世界を救うとかだった。

 ってことには俺にも?

 

 俺は神様にもあってないし、チート能力も貰っていない。それに魔法も使えない。

 理想と現実は違う。よくあることだ。


 まあ、魔法とかは早く見てみたいと思うが世界を救うとかはまっぴらごめんだ。

 俺は、まったりと過ごしたい、それだけで出来れば良いと思った。


--


 俺の女神様は、ご飯の時間になると俺のところに来て、おっぱいを口に押し付けて、ミルクを飲ませる。終わればすぐに部屋から出ていく。その繰り返しだ。

 最初に、舐め回したときこそ、嫌な顔をされたが、それ以降は悪戯心で舐め回しても嫌な顔一つしなくなった。

 

 そして今日も一日が終わる。

 俺は、昨日の寝不足のせいか、目をつぶった瞬間、睡魔に襲われた。

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