7話 平和ってこういう事
どうやら真結のワープは自身以外も一緒に出来るらしい。
「ここなら周りを気にしないで心置き無く一緒にご飯が食べられるね!」
まるで太陽の様に眩しい満面の笑みで言う真結。
「確かに良いかもしれないな。でも、いきなり消えてみんな驚いてるんじゃないか?」
「今は皆の事は考えなくていいの!」
ちょっと怒ってる…。
「ごめんごめん。じゃあ食べようか。」
「いただきまーす」
誰もいない風の吹いてる草原。広場っぽい所もあるのできっと何処かの公園とかなんだろう。
「あのさぁ…。」
「ん?なんだ?」
真結がなんだか言い難そうに話しかけてくる。
お昼ご飯を食べながら2人で話すのは良いかもしれないが…。
「私が他の男子と楽しそうに喋ってたらあんまり良くは思わないよね…?」
なんだいきなり…
「ま、まあそりゃあ少しは…?」
「私も同じで麻刀君が他の女子と楽しそうなのはあまり嬉しくないんだ…」
さっき一宮さんと喋ってた事か…。
「だからこれからはお互いそういうのは気をつけてないかな。」
「でも、さっきのも少しだけだし、あっちから話かけてきたから多少は仕方ないと思うんだ。だから真結もそこの加減は大事だよ?」
「わ…分かった…」
周りから一方的に距離をとっても良くないだろうからな。
「ところでさ!麻刀君のお弁当はどんなの?」
「あぁ、母さんが作ってくれたんだけど」
「じゃあこれからは私が作ってあげようか!」
なん…だと…!?
「いや、でも母さんになんて言ったらいいのか…」
「そこは彼女出来たって言えばいいじゃない?」
「え?真結、家族に言ったのか!?」
「言ったけど…?」
それが普通なのかな…。
「俺、まだ言ってないんだけど…」
「じゃあ今度家まで行ってあげようか?」
真結が笑いながら言う。
でも可愛いしワンチャンありかもしれない!
「えぇー来られてもちょっとなー」
「挨拶に行く感じでさ!」
「気が早いだろ」
「…え?」
あれ?和やかなムードが途絶えた気が…
「麻刀君は本気で付き合ってるよね?なのに気が早いってどういう事なの?」
「いや、俺も本気で真結の事大好きだよ!?」
なんか勘違いしてるぞ!?
それに怖い! 目が怖い! 怖い!
「なんか照れくさいって意味だよ!」
「あ!なら良かった!変な勘違いしてごめんなさい!」
真結にはショックが大きかったのか泣きついて謝ってくる。
真結が時々見せる怖い一面には注意しよう…。
「いや、いいよ。それに俺、こうやって2人だけで話してるの結構好きだな…。」
あ!結構恥ずかしい事言っちゃったよ!
真結の顔もだんだん赤くなってくる。
「私も!」
今の時間が凄く惜しい!
「でも、そろそろ時間だし帰るか…。」
「うん。じゃあ掴まって!」
彼女の差し出された手を握ると眩しい光に包まれた。
そして俺達は教室に戻ってきたのだ。