5話 登校
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃーい」
母さんと父さんに見送られて学校へ向かう。
妹はもう先に学校へ行ってしまった。中学三年生だ。
いつもどうり駅までは自転車で、3つ先の駅で降りたらそこからは歩いて学校だ。
降りる駅に着いたところでメールが来た。
真結からだ!
『おはよう!今、どこにいる?』
『あぁ、おはよう!ちょうど駅から降りて学校に向かう所だぞ』
と返信、そしたら昨日の夜と同じような光がっ…!
もしやこれは…
「おはよう!麻刀君!」
「お、おはよう…真結…。」
またワープしてきたか。本当に便利だな。
「ん?麻刀君なにかあったの?」
「いや、別になにも。あ、そのワープってどんな風に使ってるの?」
「この能力はワープしたい所を正確に思い浮かべるか、ワープして会いたい人に場所を確認すると自発的にワープ出来るの!」
場所を確認するだけでも会いに来れるのか。
どうりでまだ教えていない俺の家に来れた訳だ。
「じゃあ学校行くか!」
「レッツゴー!」
真結、朝に強いのか知らないがテンション高いな…。
俺達の通っている国立の高校、『エギンエイル学園』は能力と学力の両方を育てる学校、「能力提示制学校」という日本、それに世界各国で作られた新しい教育法も施された学校である。普通の授業に加え、能力に対する授業なども行われる。ちなみに日本には全部で22もの能力提示制学校がある。
まあ、この通り、従来の学校と違い、変わった名前なので他の高校に進んだ中学時代の友達には凄く面白がられたりもした。
俺は「治す」という能力がとてもいいものだと見込まれてこの学校に入ったのだ。
「さて、着いたか。」
「じゃあ教室に行きましょうか。」
2人仲良く登校をしてきたがやっぱりなんかクラスで言われるか?
「よお!おはよう麻刀。そして、宮代さん。」
「おう。おはよう咲間」
「おはようございます遠里さん」
教室で挨拶を交わしたのは友達の遠里咲間だ。俺は席も近くて結構仲がいいが真結はそうでもないらしい。
咲間が少し小声で尋ねてきた。
「おい、麻刀。お前宮代さんと付き合ったって本当か…?」
耳を疑ったがどうやら聞き間違いじゃない。
「えっと…?」
初っ端からなんでそれを咲間が知ってんだ…!?