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グローバルな男を目指そう

公園の遊歩道を歩いてる女子高生。めっちゃ可愛いなあ〜。あんなスタイル良い子はそうそういないな〜。なんで俺はああいう人と縁がないのかな〜って……いかんいかん。阿呆面で美人に見惚れてる場合じゃなかった。


 とある春の日の午後。学校のからの帰り道に公園に立ち寄った俺はベンチに座ることにした。これから青空を見上げながら「なんで俺は女子というものから空気のように扱われているのか?」という理由を今から真剣に考えようと思う。こんなクダラナイ事を真剣に考えちゃう俺ってアバンギャルド。


 そもそも現在の日本人口は約1億2000万人もいるという。ってことは、単純に考えて女は6000万人以上いるってことになるはずだ。そんなにいるなら、俺に無条件でメチャメチャ惚れてしまう女子が1人ぐらいいてもおかしくないよね。「ああ東山さんの貧相な顔と体つきがたまらない!その外向的でも内向的でもない性格も大好き。もう素敵すぎて声もかけられないわ。この思いは一生秘めておこう」っていう女子が。


 仮定の女子は確率統計的には存在してしかるべきだと思うが……実感としてそんな女子がいるとは思えないな。仮定の女子は、俺への愛情を秘めたまま一生を過ごす気なのだろうか?それは良くないぞ仮定の女子。


 って阿呆か俺は。



 机上の空論をこねくりまわしたところで、慰めにもならん。クラスの女子達が俺をどういう風に見ているのかってのは肌感覚で伝わるしね。なんていうのかな〜あの「この変な人とは距離を置いておきたい」という空気。特に彼女達と何かあったというわけでもないのだけどな……。


 心当たりがあるとすれば、中学時代に友人とローションぬるぬる相撲の動画を撮って、YouTubeにアップしたことぐらいなんだが……。あれも再生回数38回だし、誰も見てないと思うんだけど。


 とにかく結論は出た。俺の奥ゆかしい心のナイスガイぶりは、女には全く伝わらないらしい。たぶん俺のことを無条件で好きでいてくれる女子は存在するのだろうが、きっと日本にはいないんだろうな。でも確率統計的に考えてモンゴルあたりにいそうな気がする。根拠はないけれど。



「よし。大学に進学したら、一度モンゴルへ行ってみよう。草原の中で俺は本当の愛に目覚めるはずだ」



 モンゴルの大地でグローバルに活躍する男となることを決心してみたところで、ベンチから立ちあがった。すると先程から公園内をウロウロしていた妙な女子高生が俺に声をかけてきた。



「あの……東山さんですよね?」



 はわわわ。こ……これは、なんという麗しい美少女。間近で見るとさらに可愛いじゃないか。こんな子が俺に声をかけるなんて確率統計的にありえない。しかも何故に俺の名前を知ってるなんて、尚更おかしいじゃないか。となると答えは1つ。


 罠だ!用心しろ東山恭司!



「待って待って!逃げようとしないで!」



 無視して立ち去ろうとした俺の腕を彼女は掴んだ。どういう作用なのか理解できないが女の手の感触で俺の体は興奮したらしく、鼻血が出そうだ。どんだけ免疫ないんだ俺は。俺の動きが止まったのを確認した彼女は慌てて、俺の腕を掴んでいた手を離した。



「ごめんなさい!勝手に掴んでしまって」


「あの……なんでしょうか」


「実は……東山さんをスカウトに来ました。アイドルになりませんか?」



 それは噴飯物の提案だった。そして彼女の口から語られる話は、どう考えても荒唐無稽なものばかりだった。

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