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プロローグ4

 てくてくと噴水を背にして少し歩く。


 オープンテラスのあるカフェでホットミルクとカフェラテを注文すると、目の前に半透明の購入確認ウィンドウが出たのでYESを選ぶ。チャリンと音が鳴って所持金(単位はイェン)が35イェン減った。残りは965イェンだ。どうやら最初は1000イェン持っていたらしい。



 男性店員が運んで来たホットミルクを、

シロが一生懸命冷ましながら何とか飲んでいた。


 何のミルクか気になって見てみるが、出て来た情報は?が多くてよく分からん。鑑定スキルを取れば分かるのかもしれないな。




「そういやお前、ちゃんと喋れるんだな。何か設定したのか?」


「そうみたいね。ワタシもよくわからないわ。でも、話せるけど字は読めないわね。何すればいいのかも分からないのにウザいヤツがうるさいし!」


「話せるのに読めないのか……あ!じゃあメニューを開いても何て書いてあるかも分からないのか。そりゃ何していいかわからんわ」


「?一人で納得してないでちゃんと教えて」


「ほら、お前の目の前に見える中に、左下にメニューって書いてあるこれだ」


 そう言ってアイコンをタッチして、まずは自分用のウィンドウを他人にも見える様に設定してから、もう一度シロに見せながら説明してみた。ついでに今のうちにフレンド登録も済ませておく。これで見失っても連絡がつくから少しは安心だな。


 俺もこのゲーム初めてだから、色々試しながら説明してみたんだが、シロは途中から飽きちゃって、冷めたミルクをちびちびと飲んで(舐めて)いた。



「こら、ちゃんと聞けよ」


「よく分からないって言ってるのにまだ続けるからよ。クロはいつもゲームに夢中になるとそっちにしか返事しないもの。放っておくのは当然でしょ?」


 そういやこいつ、俺がゲームしてる時は大人しくベッドで丸くなってるのをよく見てた気がする。あれか、気を遣ってくれてたのか?猫なのに。



「悪かったから、ここからは大事な事だから聞いてくれ!」


 メニュー設定弄るのに夢中になっちまったけど、

それ以前にシロの問題があるんだったな。遊ぶのはその後だ!



「でさ、シロはこのゲーム…この世界で遊んでみたいか?今は偶然来ちゃったけど、興味がないならここでやめて戻ろう。もしここでもう1人のシロとして過ごしてみたいなら、様子見ながらだけど一緒に遊んでみようぜ」


「ここで、ワタシが人みたいに……?」


「そうだ。さっき見せてもらったステータスには猫人族ってあったな。シロに似合ってると思うぞ。でも、猫としての時間が減るから、シロにはちゃんと自分で決めて欲しい。あ、具合が悪くなりそうだったらすぐやめさせるからな?」


「……少し、考えさせて」


「おう。でも今はもう落ちるっていうか、向こうに戻ろう。なんか部屋にサクラのヤツが来てるみたいだ。さっきから接触アラートがうるせー」


 部屋に設置したカメラとヘッドギアに付いてるカメラから、妹のサクラが俺の体を叩いてる静止画像が送られてくる。それに合わせてアラートがピーピー鳴って五月蠅いのなんの。


「ならその前に、またここに来たい時どうすればいいか教えて。今はよく分からないけど、気付いたらここにいたのよ」


「やっぱ偶然だったのか……えーっと、ヘッドギアに頭を入れたら、そこから赤い光が見えるから、それを外から押せばまた来れるからさ」


「赤……あれが赤ね。わかったわ」


「よし、これ飲み終わったらログアウトの仕方教えるから、一緒に戻ろう」


 コクンと頷いたシロがコクコクとミルクを飲み干した後、

先にシロをログアウトさせ、俺は追いかけるように続いてログアウトした。





「お兄、どうなってんの!?なんでシロまでコレ被ってたの!?」


「お前……フルダイブしてる奴を叩き起こすなって散々ニュースでも言われてるし、やるなって釘刺してたよな?マジでやめろよ洒落になんねぇぞ!」


 ベッドで横になってフルダイブしていた俺が目を覚ますと、馬乗りになって騒ぐ妹のサクラがいた。こんだけ騒げばアラートが五月蠅い訳だぜこんちくしょう!あ、開けっ放しにされたドアからシロが出ていくのが見える。


「でも!シロがこんなんなってて動かなくて……あれ?どこいったの!?」


「お前が五月蠅過ぎて部屋の外逃げてったよ」


「シロだいじょうぶなの?」


「まぁ、大丈夫みたいだな」


「なんだぁ、よかったー。あ、お兄が2台当てたのこれでいいんだよね?じゃあ、こっちのヘッドギアはサクラが貰ってくね!」


 ほっとしたサクラがシロが置いて行ったBSVRを抱え込もうとするが、それは元々俺が金出して買ったもんだ。やるわけないだろうが。それに、


「残念だったな。そのヘッドギアはもうシロが登録しちまったよ。メーカーに送って真っ新にしてもらわんと使えんぞ。そもそも、お前にやるなんて一言も言ってないからな?」


「え?なんでシロが登録したの!?なんで出来たの!?サクラのなのに!」


「お前のじゃねぇよ!ああ、シロの件はメーカーが極秘にデータ収集したいからってんで、シロが遊ぶ気あるならそれは完全にシロのになるからな」


 持ち去ろうとしたヘッドギアから手を離して震えるサクラだが、お前マジで何もなかったら俺から奪うつもりだったのな?30万超えを簡単にやるわけないだろうが。




「お兄のいじわるぅーーー!おとーさん、きいてよー!!!」


「おい!シロの事は俺が説明するから待てこら!」


 喚きながら部屋の外に飛び出したサクラを追いかけて、

俺も部屋を飛び出し1階へと駆け降りて行った。




 そして、余りのうるさい騒ぎに、

兄妹仲良く母親からの拳骨を頂きました。



 くっそー、サクラのヤツが騒ぐからだ!



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