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「シロ、次のスキル決めはお前も一緒にいてくれ。やりたい事がもっと楽しく出来るぞ」
「ふーん」
やりたい事出来るってのは興味あったみたいで、
食べるのをやめてこっちを向いてくれた。よしよし。
「シロは戦う時どんなの持ちたい?えーっと色々あるけど、こんなのがあるぞ」
ウィンドウを開いて、ヘルプの中から武器種説明を選んで動きのサンプル動画を見せてみた。だけど、それと言って惹かれる物がないみたいだ。
「クロはどれにするの?」
「俺か?俺は……これとこれだな!」
そう言って拳打篭手と杖を再生する。拳で殴るシンプルな戦闘と、杖を使って相手の攻撃を捌く。俺の大好きな格ゲーの中にいる拳法家を目指す!
グンジョウは武器ありの対戦ゲームをよくやってたけど、俺は断然拳法とかの対戦格闘ゲームにずっとハマってたんだ。ちょっと足を怪我して激しい運動出来なくなってからは更にゲームにのめり込んで、挙句に
VR格闘ゲームを部屋でやりまくって家族に怒られたのはいい思い出だ。
だからこそ、フルダイブでゲームを遊べるなら気兼ねなく格闘スタイルにするって決めてたんだ。なら当然、ここは拳打篭手一択だろ!
「ふぅん。なら、ワタシもそれがいいわ」
「そっか。シロならいいかもな!じゃあ一緒に敵を殴って倒そうぜ!」
「ん」
武器は拳打篭手、杖、戦闘補助になる格闘の3つは決まったとして、後は他のスキルか……魔法も欲しいけど採取とかも欲しいなぁ。
魔法に関してはシロがまったく興味を持たなかったので、俺は回復がメインの光魔法と補助がメインの闇魔法と付与を取った。後は定番の節約に役立つ探知と調合と採取だ。これがあれば自作で回復アイテムが賄えるのはでかい!
んー……初期スキルはどれもSkP消費1だからまだ取れるんだよな。
あと1Pどうしたもんかねぇ。あ、料理でいいや。
因みに、鍛冶や木工はギルマスが作るの大好きだから絶対取ってるはずだ。俺まで取って被らせてもしゃーないのでパス!
「シロは俺が決めちゃってもいいか?」
「任せるわ」
「一応選ぶけど、いやだと思ったのあったら言えよ」
そう言ってメモボードを可視化させてシロの前に出す。
シロも格闘スタイルだから拳打篭手と格闘に跳躍と疾走をプラス。それに、俺も後で取る予定の受け流しと回避と探知と夜目、更に一緒に材料集めをしてもらいたいから採取と採掘を提案してみた。
で、早速貰った武器と防具を装備して、
最終的にこうなったわけだ。
クロ 竜人族:LV1
HP:100/100
SP:100/100
MP:100/100
EP: 93/100
SkP:0P
スキル:【拳打篭手】LV1 【杖】LV1 【格闘】LV1 【光魔法】LV1【闇魔法】LV1【付与魔法】LV1 【探知】LV1 【調合】LV1 【採取】LV1【料理】LV1
アーツ:【一点突き】【溜め打ち】【ファーストエイド】【ブラインド】【付与】
称号:なし
武器(与ダメージ+0.5%、被ダメージ-0.1%
右:転身初心者のレザーナックルガード(耐久値:不壊)
左:同上
防具(合計被ダメージ-0.5%
頭:なし
胴:転身初心者のコットンシャツ黒(耐久値:不壊)
腕:―
腰:転身初心者のコットンパンツ黒(耐久値:不壊)
足:転身初心者のレザーシューズ茶(耐久値:不壊)
シロ 猫人族:LV1
性別:女
HP:100/100
SP:100/100
MP:100/100
EP: 99/100
SkP:0P
スキル:【拳打篭手】LV1 【格闘】LV1 【受け流し】LV1 【回避】LV1【夜目】LV1 【疾走】LV1 【跳躍】LV1 【探知】LV1 【採取】LV1【採掘】LV1
アーツ:【一点突き】【スプリント】【ショートジャンプ】
称号:【気まぐれな招き猫】
武器(与ダメージ+0.5%、被ダメージ-0.1%
右:転身初心者のレザーナックルガード(耐久値:不壊)
左:同上
防具(合計被ダメージ-0.5%
頭:なし
胴:転身初心者のコットンワンピース白(耐久値:不壊)
腕:―
腰:転身初心者のコットンパンツ白(耐久値:不壊)
足:転身初心者のレザーシューズ茶(耐久値:不壊)
んー、補助系を取り過ぎた俺と違って、
シロは純粋な格闘士に仕上がったな。
服も丈の短くなったワンピースに少しだぶついたズボンにパッと見、拳法家みたいでいいね。あれなら下着晒す様な心配ないわ。
……あれ?
ちょっと待った。なんでシロにもう称号あるんだ?
「シロ、ちょっとそこの称号の、そうそう、それを押してみてくれ」
気まぐれな招き猫:???
→本人の意思に関係なく、良くも悪くも様々な事を招く
おっふぅ。
なんか厄介そうな称号があるわー。運営さん、余計な仕事早すぎだろ……
でも、具体的なステータス効果がないからただのネタかもしれんな。
「今回お送りした初心者装備は不壊なので表示はありませんが、本来は装備品や消耗品ではない道具には耐久値がありますので、それが0にならないうちに修理する事をお勧めします。
以上でステータスや基本情報に関するチュートリアルを終了しまして、最後に戦闘を行って頂きますがよろしいですか?」
シロの称号に関しては苦笑いで躱され、すぐに次のステップに進めてしまおうとするポラリスさん。別にポラリスさんのせいじゃないからそんなに慌てる必要はないけどさ。
「お願いします。シロ、次は体動かすぞ!」
「やっとなのね。ゲームの楽しさがわかると嬉しいわ」
「そうだな、俺もシロが楽しんでくれるのは戦闘だと思う。いっちょ暴れてやるか!」
「ふふ、まるで子供ね」
そんな事言いながらもシロも期待してるのが分かる。
ポラリスさんが手をかざし何かをすると、そこに光が生まれてモンスターが現れた。よし、ここはまず俺が戦闘をやって見せて、次にシロに教えてやらんとな!
「では、最初はこのジャイアントラットに攻撃をし」
ひゅっ
ガガッ!ジャッ!バキッ!ドッ!バン!!!
「ヂゥ〜〜」パタリ
パリーン
ポラリスさんが体長1mを超えるでかいネズミを召喚したと思ったら、シロが速攻を仕掛けてネズミのHPが0になるまで拳の連打をかまして、哀れなジャイアントラットは赤黒い光になって消えました。
いやいやいや、そうじゃなくて!
「おいこらシロ、ちゃんとポラリスさんの説明を聞いてから攻撃しろよ!」
「……ハッ!?なんだかあの姿を見たら抑えられなかったわ」
最後に両拳を地面に叩き付けたまま止まっていたシロが俺の声にびくっと反応し、気まずそうに顔を背けながら立ち上がった。
「あ、あはは。猫にジャイアントラットは相性の問題があったのかしら?」
あまりにも一瞬の出来事にポラリスさんと俺は唖然としてしまったが、倒したシロもちょっと呆然としてたな。戦闘に問題なさそうだしまぁいいか。
「ポラリスさん、次はネズミ以外でお願いします!」
「そ、そうですね!次はウサギにしましょう!」
取り繕う俺達と、いまだ恥ずかしそうにそっぽむくシロ。
……よし、今度こそ!
俺達の戦闘チュートリアルは、これからだ!
攻撃力や防御力も%表示ですが、それに応じて鍛えて種族LVを上げた人ほど補正力も高くなる感じですね。分かり辛いので後で説明を入れる改稿するかもしれません。