黒猫の鬼ごっこ
「ハルカ…」
「黒猫さん…」
「澪って呼んでよ」
黒猫だとあいつらにバレる。
「…………」
少し悲しそうな顔をするハルカ。
「はあ、黒猫でいいよ」
「黒猫…」
嬉しそうに呼ぶハルカ。
前に奈美から聞いたことあるが
ハルカは人に冷たく、無表情だから
周りが近寄れないらしい。
私から見たらわかりやすいけどなぁ。
「うん…で、離してくれないかな?」
ハルカは医務室からずっと
抱きついてきて離れない。
さっきから女の視線が怖い。
いや、私男でしょ!?
「じゃあ、ちょっと鬼ごっこしてくるからハルカは先に教室行ってな」
ハルカをはがして
私は走り出した。
後ろから追いかけてくる女たち。
おーこえ。
「まてー」だの
「とまれー」だの
言われて止まるやつも
待つやつも居ないと思うよ。
前にも言いましたが
私は脚が遅いです。
普通に走ってれば
あっという間に追い付かれます。
なので飛び降りました。
二階くらいなら
ギリギリ飛び降りれる。
流石にギャル女たちは
飛び降りてこない。
ふぅ…。
私の周り美形多すぎだよっ!
あいつらも美形集団だったしな~。
『釣り合ってねーよ』
『ブスが隣歩くな』
自覚してるんだけどなー。
「整形でもしようかな~。」
「ぶっ」
そんな独り言に吹いた人がいた。
周りに人は居ない。
すると木の上から人が降りてきた。
「ごめんごめん…ははっ独り言が面白くて」
いきなり整形でもしようかなって面白過ぎ!
と笑いながら話しかけてきた。
「昼寝の邪魔でもしました?すみません…では」
あくびをしてたから昼寝の邪魔でもしたのかも。
その場を早く去ろうとしたら
「独り言もだけど、さっきから面白いこと言うね~見ない顔だけど、もしかして澪くんかな?」
「何故名前を?」
「晶からよく聞いてる。面白い子がいるって」
「そうですか…」
「俺は松村 瑠伊。同じ3組だからよろしく♪」
まためんどくさそうな人だ。
しかしどこか似ている気がした…私に。