黒猫の大切な1人
時の流れは早いもので
もう2週間が経っていた。
体育祭の出る種目も決まり、
早いもので体育祭当日になった。
ちなみに私は借り物競争。
『では生徒の皆さん、怪我がないように、体育祭を楽しんでください!』
マイクで麻琴が言った。
麻琴は普通にイケメンだから
さっきから女の黄色い声がうるさい。
少しイライラしてると
麻琴と目があった。
なんだその含み笑いは!?
100M走から始まった体育祭
100Mは奈美が出た。
奈美は3位とまぁまぁな結果。
200Mにはハルカが出た。
あまり力を出してない余裕な走りで
余裕に1位。
早いな…。
400Mリレーには晶が出た。
アンカーとか重役を任されていた。
うちのクラスは序盤から転倒と
バトンミスで最下位だったが、
アンカーの晶が一気に抜いていき
1位になった。
みんな早すぎだろ…。
言っておきます。
私は平凡です。
普通より脚が遅いです。
もう一度言います。
脚が遅いです。
そんな私が出る借り物競争が
今始まろうとしている。
「澪くん!がんばって~!!」
「頑張れよ~!!」
「頑張ってください…」
ピーーーッ
パンッ
スタートの合図と共に走り出した。
脚が遅い私はもちろん
出だし遅れをとった。
お題を取ったとき…少し固まった。
まだ誰も借り物を見つけてない…
仕方ないか…。
私は一直線にテントへ向かった。
「来て」
そう言うと、その人はニヤッと笑って
私をお姫様だっこしてゴールへ向かった。
「姫抱きは頼んでませんが…?麻琴」
「まぁまぁ…」
少し笑いを堪えてるようだ。
お題は『大切な人』
「俺、大切にされてたんだ?」
「この中ではね…私に大切な人なんか居ないよ…」
麻琴は悲しそうに笑って
「俺にとってナオは大切な人の一人だけどな…」