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エリクの弓  作者: 蒼い人
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№1  出会い

              №1  出会い




 3月になり この(ランス)も漸く春めいて来たがまだ肌寒い日が続いている。 私の名前は、レベッカ・アルノー(22歳) 実は転生者だ 前世、結婚して平凡な家庭で主婦していた。子供や孫にも恵まれ最後は子供や孫達に看取られて人生を終えた。 


その後目が覚めるとこの世界へ転生していた… 完全な転生した訳じゃなくて魂だけ?人格だけ入れ替わったと言うのかな?病気だった7歳の少女が亡くなった直後魂(人格)が入れ替わり生き返った(入れ替わった)のだ

そして少女の生前の記憶が私の中に流れ込んできて私は彼女(レベッカ・アルノー)として第二の人生を生きてきた。

転生した家庭がそれ程豊かでは無いが優しい両親と姉妹に恵まれた事、友人達に恵まれて育った事 そして15歳を迎え税金を支払う歳になったので家族の負担を減らす為、冒険者となって稼ぎ始めた。

だからと言って特に秀でた能力(魔力や筋力)が有る訳でもないし敢えて言わせたもらえば健康な体と人並み以上の持久力 それに異常な回復力かしら?

怪我をしても数時間寝れば回復するし大怪我だって数日休めば完全に治る それに病気にもならないし毒も効かない、ゴーストやアンデッド、悪魔系の精神攻撃も効かない それと私の周りで戦ってたり一緒に行動中の仲間も同様の効果を得るみたい だからって戦闘能力が普通の人間に比べて特別高い訳でもない

その後、今のパーティーに参加して、後にパーティーごと現在のクランに加入した。



そんな私も今年で22歳になり現在の冒険者ランクは3級とまぁ上位クラス!今日は、冒険者ギルドに一人で依頼を受けに来ている 所属しているパーティーの活動が休みなので時間を持て余しているのだ。


いつもの様に冒険者ギルドへ入り、目が合った知り合いに声を掛けたり手で挨拶して掲示板の前に立つ、依頼用掲示板に張られた依頼を物色していると依頼板の前に居た17、18歳ぐらいの濃い茶色のセミロングで瞳がブラウンの綺麗な少年に目がいった。すると少年が見つめていた依頼用紙の内容を確認した後、受付に手続きをしに行った。


少年の後姿を目で追いながら背中に背負っている弓に目が行く小さな滑車が幾つか付いていて弦も数本ついている 不思議な構造の弓だな… ボウガンとも違う様だし… 少年は受付を済ませると一人でギルドの外へ出て行く


依頼内容を決め受付で手続きを済ませ郊外の狩り場の拠点へ向かう馬車へ向かうと先程ギルドから出て行った綺麗な少年が馬車に乗っていた。嵩張る荷物を馬車の屋根に載せ少年の隣に腰掛けると「珍しい弓だね」と声を掛けると「自分で作った弓で試作品です」と少年

「へぇ~、随分器用なのね あぁ、まだ自己紹介まだだったわね レベッカよ!宜しくね!」

「エリクです 先月8級になりました。こっちこそ宜しくお願いします。」


暫くすると馬車が出発する エリク君と他愛もない話をしてたら休憩を挟んで2時間程で目的地の砦(拠点)に着いた。馬車から降りると2人で宿へと向かい今日使わない道具を部屋に仕舞い宿を出た。

「それじゃレベッカさんまた後で」と笑顔で手を振りながら狩り場へ向かうエリク君へ「気を付けるんだぞ!」と声を掛けた。


 この100年程で王都やその周辺の都市の魔物は、騎士団や冒険者、狩人に殆ど狩り尽されてしまった。 その為、馬車で数時間も離れた狩場の拠点(砦)や村にまで足を運ばねばならなく成った。

 それでも数年に一度の中規模の大量発生、数十年に一度は大規模な魔物の大量発生があるので完全に魔物が絶える事は無い


 私も道具やで消耗品を購入して拠点(砦)の外へ出て森の中へ入って行く暫く川沿いを上流に向かい歩いて行くと4匹程の魔犬の群れに出会うリーダー格の指示で他の魔犬が私を取り囲み包囲する 一瞬リーダー格の合図と共に一斉に飛び掛かってきた。

足を狙う物、腕を狙う物、首を狙う物、ギリギリで避けながら魔犬の足に切りつける 

 ふぅ、一匹の魔犬の後ろ足にダメージを与え振向きざまに1匹は喉を切り裂いた。


 残り二匹の魔犬は戦意を下げる事無くもう一度攻撃してくるが一匹は側面から喉をもう一匹は足に噛みつこうとした首に真上から剣を刺し足を負傷した残りにも止めを刺した。 剣を小川の水で洗い残った汚れを油を染み込ませた布で拭き取る


 その後も何体か魔物を倒しながら奥に進んで行く遠目に弓を射ようとするエリク君を見かけ様子を窺った。 射線の先を見ると既に3匹のオークを弓で倒していて此方に向かってくる最後の4匹目に2射目を放った。


 60ヤードは離れている距離からオークを一方的に攻撃殲滅出来るとは大したもんだ!

4匹目を倒したエリク君に「エリク君凄いな~」と声を掛けると。

振向きニッコリ満面の笑みで「弓の性能が良いからですよ」と『エリク君可愛いな~』

「素材を剥ぎ取るまで見張りでもしようか?」と言うと「助かります レベッカさん」

「あぁ~構わないよ こっちは獲物がパンパンなんと袋を叩き 一旦拠点に戻るけどエリク君はどうする?」

「僕も回収し終えたら砦に戻ろうと思うのでご一緒しても良いですか?」

「構わないよ、こっちも可愛い男の子と一緒だと嬉しいしね」

エリク君がオークの討伐証明の部位と装備を手際よく剥ぎ取って袋に詰め終わると「お待たせしましたレベッカさん」「それじゃ出発しようか」「ハイ」と笑顔のエリク


 帰りながら薬草や毒草、解毒草、保存が出来て栄養のあるクルミ(クコの実)を鞄に入れ砦に戻った。 ギルドの出張所で換金してポイント換算してもらい 道具屋で必要な物を買足して今度は荷車を引きエリクと2人で砦を出る


 午後も午前中の様に川沿いを上って行くと午前中仕留めたオークの死体をゴブリンの群れが解体していた10匹が見張りに立ち残り8数匹が解体していた。


 エリク君が風下に回り弓の配置に着き右手を上げて私に配置完了の合図してくる それにしてもこの距離から弓で射るつもりなのか?100ヤードは、あるぞ!エリクに開始の指示を出す。 すると弓から放たれた矢が皮鎧を着ているゴブリン達を指揮しているゴブリン・リーダーの胸に吸い込まれる様に突き刺さる

数秒間隔で第2射、第3射とどんどん矢が放たれる こちらに向かって走ってくるゴブリン達の胸や頭、喉に面白い様に矢が吸い込まれて行くゴブリンが10ヤードに近づくまでに半数近くが戦闘不能に陥っていた。 

エリク君が弓を下げ場所を移動する 私が側面から飛び出しゴブリンの弓使いに切り掛る3匹を戦闘不能に追込み、剣を装備しているゴブリン達と戦闘に入る そこでエリク君が再び矢を放ってゴブリン達混乱させ各戸撃破する 僅か数分でゴブリンの20匹群れを壊滅出来た… 弓って侮れん… 討伐部位と装備品を回収してエリク君の案でオークとゴブリンの死骸を餌にして場所で待ち伏せをする事にした。


武器や体に着いた血を小川で落とし風下に周り木に登り息を潜めて待機 暫く待つと猪の魔物が2匹と彪の魔物が1匹が餌に近づいてきたお互い威嚇し合ってこちらにまるで気が付いていない。


 今回の作戦は簡単2人で木の上に潜み頭上から魔物に矢を射る作戦だ! 私もエリク君が午前中に倒したオーク達の装備に含まれていた弓(元々は冒険者の物だったのだろう)を使い弓を射る、事前にエリク君に弦の調整と簡単な指導してもらった事と不意打ちでもあり命中率は高いそれと矢じりに着けた毒(麻痺)が効いてるんだろう 100数えるまでには全滅させる事に成功した。 エリク君が軽量化の魔石を仕留めた魔物に結び呪文を唱え重さを1/10にして砦で借りてきた台車に乗せる


「エリク君、少し早めだけど今日の狩りはこれで終わりにしないか?」

「そうですね これ以上は仕留めても運べそうにないですし そうしましょう」


 冒険者ギルドの出張所で討伐証明を渡しポイントを貰い素材を売り道具屋で消耗品を購入して宿へ向かった。

宿の部屋に荷物を置き砦の公衆浴場で汗を流し宿の一階の食堂で食事でエリク君と一緒に食事と一緒に最近お気に入り某伯爵領産のビールを注文した。 まだ日も高いが偶には まぁいいかなエリク君も一緒にどう?

「それじゃ僕も頂きます」それから私にとって黄金の時間が流れたこんな美少年を独り占め出来る時がくるなんて… 女冥利に尽きる

昼間の緊張でいつもより酔いが回るのが早い気がする…『エリク君も大分酔ったのみたいだな… そろそろ部屋へお持ち帰り… 頭の中で悪魔と天使が戦っている』

酒が回ってエリク君が愚痴りだした… 女性の心は分らないと… 気になったので話を聞くと… どうも幼馴染の婚約者に浮気されたらしい それも長期間 一度や二度の間違いなら目をつぶろうと思ってたが何度ともなると許せなくなったらしい それに婚約者は相手の子供を身ごもった。 それでエリク君は婚約を破棄して貴族だった家を出て独立したらしい それで時々傷心旅行ならぬ傷心ハンティング?『元彼女には、ご愁傷様と言うか… 自業自得だな こんなに綺麗で優しい子を裏切るなんて普通無理!』

私も独身、エリク君も独身って事は、もしかして… もしかする… いかん鼻血が…  部屋まで送るよと言うと腕に抱きついてくるエリク君に悶えながら部屋の前まで来ると中に誘われた… もしかして脱処女!出来るのか!それもこんな美少年で… クランやパーティー・メンバー達に処女処女と馬鹿にされていた日々は、この日を迎える為の試練だったのか! 信仰する神に心の中で祈りを捧げた アレース神(戦いの神)ありがとうございます。 


「あっ、そうだ!レベッカさん 念の為に貴重品をこの部屋に持って来た方がいいですよ」と言われたので慌てて自室に戻り荷物を纏めるてエリク君の部屋へ… 途中で宿のメイドとすれ違ったがニタリと微笑んだ気がした エリク君の部屋に入る所を見られっちゃったな~『これで翌日、宿屋の店主に昨日はお楽しみでしたね~なんて言われるのか~ これで私も一人前の女に成れる!』


 部屋に入ると頬を染めたエリク君が微笑んで私を見つめる… なにこの子可愛い

「チョットまってね」と言い入口と床に魔石を置き其々に手とかざし呪文を唱える

「これで大丈夫」と笑顔で抱きついてきた… 『何だか馴れてるなと』思ったけど…

「初めてなので宜しくお願いします… 」頬を染めてお辞儀する『エリク君を疑った不埒な私死ね!死んでしまえ!』、『いや死んだらアレが出来ないだろ!死ぬな!生きろ!』私も初めてだから… 慎重に行おう

『自分が処女だって告白してどうするんだ 私!この歳(24才)で処女はキモイと思われたらどうするだ!』「嬉しい、レベッカさんも初めてなんだ… なんだか安心したレベッカさん男性にモテそうだから… 」『やった!良いように解釈してくれた!結果オーライ!』

それから… 抱き合って2人の唇が重なりあい部屋の明かりが消えベッドの中に沈み囁き声…、そして暫くすると喘ぎ声とベッドの振動が部屋の中に響く2人にとって初めての熱く長い夜が始まった。


翌朝、目覚めると傍にエリック君が…居ない…荷物は…ある どうゆう事?いろいろ考えてると扉が開き朝食のトレイを持ってエリック君が入って来た お待たせレベッカさん一緒に食べよう 


食事が済むとエリク君が話を切り出した「僕12時の便で王都へ帰るけどレベッカさんはどうするの?」「私も明日から予定が入ってるから一緒に帰ろう」

「良かった帰りの馬車も一緒だね」可愛いな~エリク君「それとレベッカさん、僕達の関係どうした方がいい?」「どう言う意味かな?エリク君」「えぇっと… 一夜限りの事だったのか?… この関係を続けて行けるのか?僕は、この関係を続けたい 出来たら正式にお付合いしたいけど… そう言うのレベッカさんには重いかなって思って… 」

『なに言ってるの私の方こそお願いしたいわよ!』

「私と正式に付き合ってくれエリク君」言っちゃった「こちらこそ宜しくお願いしますレベッカさん」「それと付き合うんならエリクでいいですよ」それからお昼初の馬車にのり帰りの道のりも他愛もない話を色々しながら王都へと帰った。


それから二週間後、所属クランの会合があるので待合せの馴染みの酒場に入るといつもの場所に居るクランのメンバーに挨拶すると 最近クランやパーティーの狩りにも参加してなかったけど 何処で何をしていたか尋ねられた 郊外の拠点で狩りをしていたと話したら オフの日ぐらい男とデートでもしろよと言われ実は、彼氏が出来たと話したら皆に馬鹿にされた… 彼氏が欲しいからって とうとう妄想と現実が区別出来なくなってしまったか… だいぶ欲求が溜まってるな… レベッカ


本当だって、彼氏出来たんだから… はいはい 狩りで頭ぶつけたのか? 話してると店の出入り口が開き 17~18歳ぐらいの美少年が店に入って来てキョロキヨロと辺りを見回す。


「おぉ~美少年がきた~」とメンバーが声があがる「あぁ紹介するよ、私の彼氏だ」と立ち上がり少年に近寄ろうとするとると羽交い絞めに合う「レベッカお前とうとう本気で頭のネジ飛んでしまった様だな」羽交い絞めにあってる私を少年が見つけこちらに歩いてくる

「レベッカ大丈夫?」とエリク「あぁ、大丈夫じゃれてるだけだから」、「「「えぇぇ~」」」とメンバーが叫ぶ

「彼氏のエリクだ!」「宜しくお願いします エリクです」と笑顔でペコリとお辞儀

「「「えぇぇ」」」、「どういう事だ!レベッカ!」

 だから数週間前に南の拠点で知り合って付き合い始めたと言ってるだろ!

「わ、私も明日南の拠点に出会いを求めに行くぞ!」「ソフィなに言ってるのよ!明日から東の拠点で数日間はパーティーで狩りでしょう」「嫌だ!行きたくない私も素敵な出会いが欲しい」

「ソフィ彼氏居いるじゃない」俯いたソフィが「 …別れた… 商人の女に彼氏を取られた… 」と言葉をこぼす。「彼氏が危険の多い仕事の貴女とは結婚出来ないって… 」涙目

「初対面でこんな事言うのも何ですが ソフィさんその人とは縁が無かったんですよ きっとソフィさんにぴったりの彼氏が出来ますよ ソフィアさん素敵ですし これから素晴らしい出会いがありますよ」エリクの手を握り涙目で見つめ返すソフィア

「エリク君は、冒険者ってどう?」「え、僕も こう見えても冒険者で弓を使うんですよ、

レベッカさんにも筋が良いって褒められたんです。」微笑む

「初心者を手取り足取りって指導して彼氏にしちゃって狩りデートとか羨まし過ぎるぞ!レベッカ!」「ソフィもその辺にしとけ!」とリーダーのテレーズが止めに入り クラン(数パーティー(数十人)の集まり)・メンバーの紹介をして貰ったがエリク君が同じ弓を使いでエルフのユルシュル(美女)と話し込んで心配になったからジト目で見つめたら隣に戻ってくれた。


エリク君もクランに入らないかと皆に誘われたけど工房も開けないといけないので難しい 臨時なら参加してもいいと伝え正式参加は断っていた。


 エリク君の工房は、楽器や武器(弓や弩、杖)を主に扱い 武器屋や楽器屋、魔法具屋へ完成品や半完成品を卸しているそうだ。 また一点物の注文も多く制作や調整に時間を取られるので そこまで儲かっていないそうだ。

工房で販売しておらず契約している武器屋や楽器屋、魔法具屋の商人への卸が殆どだそうでエリク君に言わせると職人が販売まですると大概価格の交渉で失敗して赤字を出してしまうので販売は商人に任せるのが一番だと説明してくれた。

 

 それから暫くしてエリクは、私の加入しているクランに私達パーティーの臨時メンバーとして大規模の討伐(貴族が狩りをするので狩場周辺の魔物退治)に参加して皆に実力を認められた。

 そこでエリクが愛用してる機械弓に惚れたエルフのユルシュルは、エリク君へ弓を注文した。 後で聞いたが金貨12枚だったと言うけど… とても満足しいる様子だった。

 もう少し割引出来なかったのか尋ねたらギリギリまで値段を抑えてこの値段らしい それに最高の素材に出来る限りの工作精度、そして軽量化(重力軽減)の魔法を付与してる魔道具でもあり契約している業者の手前余り安く売る事が出来ないとの話でした。

通常は契約している武器屋で金貨20枚で売られてる製品だと教えてくれ価格は規格製品を量産出来ればもう少し抑える事も出来ると説明してくれた。『安易な考えを口に出してすみません ホント駄目ダメな彼女でゴメンね…うぅ』


 それとサービスでユルシュルへ譲った矢だが鉄の矢尻と石の矢尻が半々なのはどうしてか?どうせなら全部金属製の矢尻が良かったんじゃないか?と尋ねるとパース石の矢尻は硬度もあり一時的な魔法付与を行い易い エルフや魔法使いならそちらが向いてると思ったから二種類にしたと説明された。 引き渡しの説明でユルシュルさんにも同様の理由を説明たらとても理に適っていると納得して喜んでいたそうだ。『弓って矢尻一つでも奥が深い』


 革鎧や皮や木の盾なら硬度のある石の矢尻なら十分貫通出来るし相手が金属製の鎧や同じ石系や金属系、又は表皮固い魔物でない限り石の矢尻で十分対処出来る それにパース石の矢尻なら魔力や精霊力を込め威力を増す事が出来る

だがパース石は、魔力や精霊力を込められる石では有るが固くて(水晶並みで)加工が難しい石だ、いくら魔力を込められる利点があるとは言え今まで弓の矢尻で使うのを見た事がない 昼間、工房の地下でエリク君に加工する所を見せて貰った。エリク君が念を込めたパース石は粘土の様に柔かく成るそれを型に嵌めて成型しその後元に固くなれと念じると元と同じ固さのパース石になる そうやって均一の矢尻を地下で生産している この矢尻や矢の需要は大きいが店で製造している弓と機械弓の購入者用だけを生産していて矢や矢尻だけの依頼や注文は全て断っている


 魔力や精霊力を込める矢だが普通は金属製の矢尻で特殊な金属を使うか高価な魔石や魔結晶をはめ込まないとそんな事は無理だと説明された。


 エリク君と付き合い始めて数か月後、一回り大きく威力を三割程増した強力な機械弓の試作品をエリク君に頼まれて自分が使ってると「新型か!」とユルシュルから色々使用感を訊かれるが説明するのが面倒だったので試してみるといいと渡しすと喜んで何度か試射すると即「注文したいとエリク君に伝えてくれ」と言われた。


 ユルシュル貴女どんだけ散財するつもりよ… と言うと何でも以前から自分の攻撃力(弓矢の威力)を強化出来ない物かと随分悩んで色々試行錯誤して弓や矢を研究していたがある程度強化出来たがそこから進展が望めず行き詰ってしたらしい 弓以外に魔法や精霊魔法も使える万能型の彼女にこんな苦悩があったなんて今まで思いもよらなかった。


 最近、クラン内での私達パーティーのランキングは彼女(ユルシュル)の攻撃力強化もあり現在2位だ 機械弓の模造品も市場に出てきているが 威力は有るが重く壊れ易い どれも実用品とは呼べない物ばかりだ そんな中エリクが作る機械弓の品質が圧倒的に高く注文しても予約で数か月待ちだが買い手は購入を待ちわびている。


 大繁盛中のエリク君だが機械弓の年間生産量を決めてしまった。 特注品(金貨30~40枚):1弓、半特注品(金貨20~25枚):4弓、規格品(金貨10~15枚):20弓 と生産数を定めてしまった。

何故そんな事をするのか尋ねたら弓でこれ以上儲ける気も無いし かと言って人を雇う気も無いからね それに仕事ばかりしていると2人の時間が減ってしまうでしょう?と思わずエリクを抱きしめた。(惚気… 愛されてると実感した。)


貴族や王宮、騎士団からも大量に注文するから価格を下げてくれと交渉されてる様だが安価な製品なら他所でお願いしますと断りを入れてる。


 王国の専属職人が分解して図面を起こし同じ様に製造したが素材の質と工作精度が高すぎて同じ機械弓や矢を作るにはオリジナルの倍以上のコストが掛る事が判明して同等品の量産化を諦めた様だ。 

ただし多くの大小の武器工房や王国専属の工房で劣化コピー品の製造はしているが規格はエリクの弓や機械弓と同じ大きさで弦の強さも大体一緒だ何故なら そうしないと石矢が使えないからだ エリク君が国軍や冒険者、狩人の弓や機械弓の規格を作っている事を本人が知るのは大分後のことになる


 そんな中エリクの機械弓の価格は高騰しているユルシュルの機械弓は、最初に購入した標準型、二回目の強化型、三回目に購入した折り畳み型、水中用の特殊型どれも製品番号が0001番なので超レア品らしい。 

コストを度外視して最高の素材と多くの手間や付与魔法が込められている それは広告塔兼宣伝効果の要素も兼ねた製品の為、量産品は元より半特注品並より性能が高い


私が使用している製品は0000番の試作品でプレミア物らしいが そんな製品を大雑把に扱う私に周りの弓使いからもっと丁寧に扱えと何時も苦言や叱りを言われる『特に気を付けないで普通に使っていいと言われてるし… レベッカが使うと壊れ易い部分を知る事が出来てとても助かってるとエリク君には褒められてるのに…。 』








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