霧谷 透留
思いつきだって
「……ふぅん」
それが、花山からヘルズゲートの詳細事項を聴いた感想だった。
「ふぅん…て、えらく無関心じゃないか、透留。キミ今日からお世話になるんだよ?」
花山が呆れたように俺の名を呼ぶ。
霧谷 透留俺の名前だ。
「違うって、別に無関心なんじゃなくて、全部知ってる話だよ。自分が配属される場所なんだ。調べてるよ」
なるほど、と花山は言う。
「しかし、いよいよ配属されるんだねぇ」
なんだか遠い目をしながら笑いかけてくる、花山を見ていると、確かに感慨深いものはある。
あの実験からもう2年。花山博士とも、ずいぶん気安くなったもんだ
「フフフ。君に、メシア細胞を入れたのが昨日のように思い出せるのになぁ」
「やめろよ、おやじクサイな。親じゃあるまいに」
そんな俺の軽口に、花山は、親みたいなもんさ、と言った。
確かに、あの実験の後、花山にはクソみたいに世話になった。
訓練の度にイカれる俺の身体を何度だって治してくれた。
まぁ、実験者の責任といってしまえば、それまでなんだが。
確かに、それは寂しい気がした。
「まぁ、向こうに行っても、調整やら何やらでまた世話になるだろうさ」
俺は、ほんの少しだけ姿勢を正して言う。
「これからも、よろしくな」
「フフっ、あぁ。君は、人類の希望だ。末永く頼むよ」
俺達は固く握手した。
「ところで、だけど」
「ん?」
「女の子しかいない部隊に配属ってどんな気分?」
「台無しだよ!?」