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小話5 リナーシャ様の事大好きです(側妃の娘、10歳)

 「リナーシャ様!」

 「あら、サーラじゃない。ふふ、遊びにきたの?」

 私が名前を呼べば、リナーシャ様は笑顔を浮かべてくださいました。

 その事実が嬉しいのです。実の娘のようにリナーシャ様は側妃の娘である私を可愛がってくれます。

 私の母は、私を生んだという功績で王宮にとどまれるてるだけの、お父様からの御渡りもないような側妃の一人である伯爵家の長女でした。

 私は母を母と思った事はありません。母は私の世話なんてしません。私を見ません。ただ私を放置して女を磨くことばかりしております。母はリナーシャ様を敵視していて磨けばお父様が来てくれると信じているようなのです。

 「はい。お忙しかったですか?」

 リナーシャ様は椅子に腰かけて、何かをしていたようで、それに気付いて私は慌てていった。もしリナーシャ様の迷惑になってしまうのならば出直そうと思ったのだ。

 「いいえ、大丈夫よ。そんなに急ぐものではないから」

 にっこりとリナーシャ様は笑います。

 リナーシャ様はそれはもう美しい方です。黄金に輝く髪に、蒼く透き通るような碧眼。見る者を魅了するかのような美しさに加えて、中身もまっすぐな方です。

 それから私はリナーシャ様の向かいに腰掛けて、リナーシャ様に一生懸命話しかけるのです。

 私はリナーシャ様にお話を聞いてもらうのが大好きです。リナーシャ様と一緒に過ごすのが大好きです。

 優しくてあたたかくて、まるで太陽みたいな人。

 私はリナーシャ様がいなかったら、きっと荒れに荒れてしまったと思います。母が私を見ない現実でも、私が笑って行けるのはリナーシャ様が居るからですから。


 だから、私はリナーシャ様が大好きです。

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