小話4 メイアとルシア。
※会話文
~初対面~
「(わ、綺麗なお方…とぽっと頬を染める)は、はじめましてメイアです」
「(母上に何処か似てる…と思わず笑顔)ルシアだ。よろしく」
「(かっこよくて、優しそうな方だなぁ)は、はい」
メイア黒歴史の一目ぼれ。
~出会って数年~
「母上は何て美しく綺麗な方だろう。あのような方は――」
「(こいつにかっこいいなんて思ってた私がバカだったわ)そうね。リナーシャ様は素晴らしい方ね」
「母上は素晴らしいの一言で片づけられるような方ではなく、母上を表す言葉は~~~約30分ほど話し続ける~~~と、これらを例として他にも」
「(もう駄目ね。このマザコン。一目ぼれした過去の私を叩いてやりたい気分だわ)ええ、十分わかったからいい加減にやめて」
「なっ、いいだろう。カインにも父上にも他の皆にもなるべくそういう事はいわないようにって言われてるんだ。メイアになら思いっきりいってもいいじゃんか」
「(カイン様も陛下も苦労されてるのね…)そうね。私にも言わないでほしいわ」
数年ですっかりマザコンを知り、冷めているメイア。
~リナーシャが寵愛を無くした頃~
「父上は愚か者です。母上の素晴らしさを理解出来ていないとは。あんなに美しくもお優しい母上が奥さんだなんて至高の幸福と言えるでしょうに…」
「(こいつ本当にリナーシャ様大好きすぎて何なのかしら…)…そうね」
「メイアは父上が愚かだと思わないのか」
「(こいつに『理想の王子様』の幻想抱いてる子達可哀相…)…そうかもね」
「母上はメイアの叔母にあたるというのに、どうして怒らないんだ!」
「(怒ったとしても仕方ないでしょうに…本当面倒だわ。リナーシャ様の事に関しては)ええ、まぁ怒ることね、うん」
「そうだろ。本当に父上は――」
何だかルシアの扱いが面倒になってきたメイア。
~リナーシャへ寵愛が戻る~
「父上は八年間も母上を放っておきながらも―――20分ほど色々言う――というのは、どういう」
「(本当に残念な美形。社交界で騒いでる子達に見せてあげたいわ)うん、またよかったんじゃないの? リナーシャ様に寵愛が戻って」
「でも母上が可哀相で、父上は何で放っておくなどと」
「(リナーシャ様悲観なんてしてないのに何でわからないのかしらこの残念マザコン王子。本当に残念…)ええ、そうね…」
「やはり此処は父上は罰を受けるべきだ」
「(罰って…リナーシャ様気にしてないのに)はぁ、ルシアは残念な美形よね」
「残念な美形って心外だな。ま、メイアにどう思われようといいや。母上にかっこいいと思ってもらえれば」
「(リナーシャ様から見てかっこいいと思われてるとは思わないんだけど…)リナーシャ様もかっこいいと思ってないと思うわよ」
「(ガーンッとショックを受けた顔)な、何だと。私は母上にかっこいいと思われるように、母上を守れるように何事も真剣に取り組んでいたというのに…」
「(理由が母親って、何て言うか…不純な動機ね)無理でしょ」
メイア、ルシアとなんだかんだで友人的関係を築いている。
恋愛感情? ないない。だってルシア相手にときめくわけないじゃん Byメイア。
~ルシアとメイアの噂が出回った頃
「何で私とメイアが結婚するって噂出回ってるんだか…。私の理想は母上であって母上のような女性ではないと私は嫌であるというのに…」
「(恋愛対象の理想が母親って…あー、残念ね)そうね。私もルシアと結婚なんてする気ないわ。冗談じゃないわ」
「そうだよな。メイアと夫婦とかありえない」
「(…こっちの台詞よ)そうね。それにしても先日の社交界で噂になったって聞いたわよ」
「え? 何で? 踊っただけだろ?」
「(あんたがリナーシャ様ばかり見るからでしょ…)ルシアがリナーシャ様を見つめすぎてたのが、私を見てたって結論に至ったらしいわ。迷惑な事よ」
「私は母上みたいな女性を好きになりたい。絶対幸せになれるはずなのだから」
「(断言するあたりなんかもう、マザコン)…そうはいってもリナーシャ様ほどの方は早々いないわよ」
「気合で探すしかないだろう」
「(絶対無理だと思うけど…)まぁ、頑張ったら。マザコンなのはいいけど王になったらリナーシャ様に構いすぎて妃達の不満爆発しないようにしなきゃだめよ」
「……え、母上より妃を優先しなきゃだめなのか?」
「(本当、どんだけリナーシャ様好きなのよ)後宮が荒れたらリナーシャ様が悲しむでしょう。きっちり適度に通うべきよ。側妃は政治にも関係するでしょうし、ルシアの寵愛を得られるか得られないかは妃と実家にとって重要だもの」
「それは、そうだな…。じゃあ私はきっちり後宮を管理して母上に迷惑かけない」
「(リナーシャ様に迷惑かけないために通うってねぇ、妃が可哀相ね)そうしなさい。私はルシアとの噂が出回ってるの不愉快だから婚活でも励むわ」
ちなみにそれから一年ほどしてメイアは結婚しました。




