リコネサンス
リコネサンス(reconnaissance、偵察)
敵をはじめとして様々な事柄についての情報を目視観測などの手段を通じて能動的に収集する活動。
野生動物がいるというのは良くもあり、悪くもある。
自分にとって貴重な蛋白源であるということと、自分が相手にとって貴重な蛋白源になるということだ。
・・・・・・・まあ、この場所の生き物が蛋白質で構成されているのならばだが。
メインの食料は動物なのは確定である。正直、植物は何が食べれるかわからない。動物も毒を持つものが多いだろうが、多分植物よりはマシなはず・・・。いや、全く持って断言できないが。
その点、水も怖い。慣れるまでは、生水は怖くて飲めない。一度沸かして飲むべきだろう。
幸か不幸か、水筒は旧型のアルミだ。・・・・・・・信じられるか?この水筒、俺より年上なんだぜ?
正直あまりやりたい方法ではないが、水筒で湯沸しするしかなさそうだ。飯ごうも食器も何も無いのだ。少なくとも箸は作りたいのだが、毒性のある木で無ければいいのだが・・・・。
と、唐突に気がつく。
食器も箸も、パーツ皿や銃身洗浄用のクリーニングロッドで何とか代用できるのだ。
その他、際限なく色々な思考が浮かんでは消え浮かんでは消える。
問題点の列挙と解決策の模索で脳がパンク寸前だった。
こんな時は体を動かすに限る。
周囲の偵察に向かうことにする。
目的は水源地の確保、食料の確保、地理の把握だ。優先順位もその順番だ。
水が無ければ3日程しか元気に活動できない。食料はもう少し無くても持つ。地理は生きていればそのうち覚える。最初のうちは10歩ごとに止まり周囲の音を聞きながら、方位磁石を確認して正確に航法を行えば何とか射撃場に帰ってこれるはずだ。
周囲の偵察方法はクローバーリーフパターン。対潜哨戒機が潜水艦を捜索したり、魚雷やミサイルが目標をロストした際に行われる捜索方法だ。
射撃場を中心に四葉のクローバーの葉っぱのような感じで北に30分歩いては折り返し、今度は南に歩き射撃場に戻って更に南から北、東から西といった感じで全方位歩くことにする。休憩を入れても明るいうちに調べられるだろう。
武器は、64式小銃とレッグホルスターに入れた9mmけん銃。
予備弾倉はそれぞれ6本120発と、4本36発。念のためにリュックの中には紙箱に入ったままの予備弾も入れておく。
それと、誰が持ち込んだかはわからないが、64式の銃剣もあった。研がれていないので突き刺す位にしか使えないのだが念のために左腰に吊るしておく。
服装はショップ帽(識別帽、職場が人目で見分けられるようにそれぞれの部隊が独自に作っているキャップ)に、作業服(緑色の作業時等に着る服)に編上靴、皮手袋。
腰の弾帯(幅広のベルト。色々な物が吊るせる様になっている)には弾納(64式小銃弾倉用のマガジンポーチ)と、レッグホルスターや銃剣、水筒、マルチツールプライヤーを吊るす。
リュックの中には、予備弾、雨具、ビニール袋、メモ帳、筆記具、コンドーム、予備の水筒、フラッシュライト、ナイトビジョンゴーグル、予備の電池、パラシュートロープ、銃のクリーニングキット、食器代わりの代物、黒のビニールテープ、ライター等が入っている。
色々と不安が残る。食料が無いのがこんなに心細いとは・・・。水も十分ではない。
ともあれ、出発の準備は大体整った。
最後に銃の準備だ。
64式の脱落しそうな部品には黒のビニールテープを巻いていく。握把(あくは、グリップ)等、は念のためにドライバーで増し締めする。規正子(きせいし、気温や弾の種類に合わせて調整する部品)は中に合わせる。
薬室に弾が入っていないのを確認後、銃口を覗き込んで銃身内も確認する。薬室側を太陽に向けるとクロームメッキに覆われた塵一つ無い銃身内部が見えた。4条右転のライフリングが美しい。安全装置を解除し空撃ちする。
単射機構、連射機構の動作チェックのために空撃ちを繰り返す。遊底(ゆうてい、ボルト)の滑らかな動きに満足する。
弾倉を装着し初弾を装填、安全装置をア、安全の位置へ。ダットサイトのMD-33のスイッチはオートモードに。周囲の光量に合わせてくれる上に、このモードなら40日間連続点灯できる。
続いて、9mmけん銃。薬室に弾が無いかを確認し、銃身内部を点検後に同じく作動チェック。弾倉を装着後、脱落防止にテープを張る。こちらも初弾を装填するが、デコッキングレバーでハンマーを戻す。あせって暴発させないようにするためだ。
ホルスターに入れては構えを何度か試す。引っかかりは何も無い。落ち着いて行動すれば大丈夫そうだ。
さあ、準備は整った。
偵察に出かけよう。
生き残るために。
我ながら書いてて地味すぎる。