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君の嘘  作者: ノアP
第2章・真実と嘘
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第8話・連続殺人


「なぁ、凛」


翌日。


部屋に来た凛に声をかける。


「黒いバラって、普通に手に入るもんなのか?」


凛は少しだけ考えてから答えた。


「本物はほぼないよ」


「は?」


「自然の黒いバラって存在しないの。あれって、染めたりして作るやつがほとんど」


「……じゃあ」


「わざわざ“作ってる”ってこと」


その言葉に、背筋が冷たくなる。


偶然じゃない。


意図的に用意されたもの。


「……気持ち悪ぃな」


小さく呟く。


「で、昨日のノートのことなんだけどさ」


凛が声を落とす。


「ちょっと調べてみた」


「もうかよ」


「こういうの得意だからね」


軽く笑う。


でも、その表情はすぐに消えた。


「……でもさ」


「おかしいんだよ」


「何が」


「木下凪と風花」


その名前が出た瞬間、息が詰まる。


「記録が、ほとんど残ってない」


「……は?」


思わず聞き返す。


「事件自体はあるの」


「一家襲撃事件。クリスマスの日」


心臓が、強く打つ。


「でも」


凛は続ける。


「被害者の詳細が、ほぼ消えてる」


「名前も、家族構成も」


「……消えてる?」


「そう。普通ならありえない」


確かにそうだ。


事件があれば、必ず記録は残る。


それが――


消えている。


「……誰かが消したってことか」


「多分ね」


凛が頷く。


外のざわめきが、やけに遠く感じる。


「優希」


凛が真剣な目でこちらを見る。


「これ、普通の事件じゃないよ」


「あぁ……」


もう、分かっている。


そんなことは、とっくに。


その時だった。


「優希ー!」


後ろから、軽い声。


振り返る。


花那が立っていた。


「ジュース飲みたい!」


「なんだよ、驚かせるなよ……」


冷蔵庫を開ける。


「オレンジジュース、もう少ないけど全部飲んでいいぞ」


「やったー!」


無邪気に笑う。


その姿は、ただの子供にしか見えない。


「それにしてもさー」


凛がニヤッと笑う。


「花那ちゃん可愛いね。優希の隠し子?笑」


「は?誰とのだよ……」


思わずツッコむ。


その時だった。


ピンポーン。


インターホンの音。


「……誰だよ」


玄関に向かう。


ドア越しに、妙な圧を感じる。


「はい?」


「あの、警察の者です」


一瞬、息が止まる。


「最近、この近くで事件があったと思いますが」


「被害者の古宮花織さんと、関わりがあったと聞きまして」


(警察か……)


内心で安堵しつつも、気は抜けない。


「少し、お話を」


「……あぁ、はい」


できるだけ自然に答える。


「そういえば」


警官が続ける。


「黒いバラ、ご存知ですか?」


心臓が、強く跳ねる。


「……さぁ」


とぼける。


「花織さんの遺体の近くに落ちていたんです」


やっぱり、あれか。


「実は――」


少し声が低くなる。


「20年ほど前にも、似たような事件がありまして」


「小学生の子供が二人、自宅で亡くなっていた事件です」


視界が、わずかに揺れる。


(……俺たちのことか)


「その現場にも、黒いバラがあった」


「ですが、その事件は現在も未解決です」


警察でも、分からない。


「とにかく、気をつけてください」


「しばらくは外出も控えた方がいいでしょう」


「……わかりました」


ガチャ。


ドアを閉める。


部屋に戻ると、凛が真剣な顔でこちらを見ていた。


「……やっぱり繋がってるね」


「あぁ」


短く答える。


その時。


テレビから音が流れた。


「――速報です」


反射的に視線を向ける。


「本日未明、男児の遺体が発見されました」


「現場には――黒いバラが添えられており」


一瞬、息が止まる。


「現在、警察は連続殺人の可能性も視野に入れ――」


「……は?」


言葉が、出ない。


まただ。


また、同じだ。


「……ふざけんなよ」


おれは、小さく、呟く。

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