第12話・繋がる法則
「……ただいま」
家のドアを閉める。
静かだ。
さっきまでの騒がしさが、嘘みたいに消えていた。
「……疲れた」
凛がソファに倒れ込む。
「普通にトラウマなんだけど」
「だな……」
短く返す。
黒いバラ。
遺体。
クリスマス。
全部が頭の中でぐちゃぐちゃに絡まっている。
「優希」
凛が真面目な声で言う。
「ちょっといい?」
「あぁ」
テーブルに座る。
凛も向かいに座る。
花那は、少し離れた場所で静かにしていた。
「さっきの話なんだけど」
「バラの数」
「あぁ」
「整理するね」
凛が指を折る。
「20年前が2人」
「花織が1人」
「今回が……」
少し言葉を止める。
「……2人、いや」
「でもおかしいだろ」
思わず言う。
「2→1→2じゃ、繋がらねぇ」
「そう」
凛も頷く。
「だから考えた」
少しだけ声を落とす。
「“抜けてる事件”があるんじゃない?」
「……は?」
「記録から消されたやつ」
心臓が、小さく跳ねる。
「もしそれが1人だったら」
「1→2→3になる」
「……増えてるってことか」
「うん」
凛の目が鋭くなる。
「じゃあ、20年より前1だったとして、花織はなぜ1なの?」
その時。
「ねぇ」
花那が、小さく口を開く。
「今回ってさ」
「まだ終わってないよね?」
「……どういう意味だよ」
「だって」
首を傾げる。
「行方不明の子、見つかってない」
「……っ」
空気が重くなる。
「じゃあさ」
花那は、淡々と言う。
「もう一人、増えるかもね」
「じゃあ、3ってなるな、だが、4になるにはあと1足りないが。」
即座に言う。
こんなこと考えたくもない
でも。
否定できない。
「優希」
凛がこちらを見る。
「花織の他に2人。いなくなってるんじゃないのかな」
小さく呟く。
あの日と、同じ。
その時だった。
外から、サイレンの音が聞こえてきた。
ウーウーウー……
さっきとは違う。
もっと近い。
「……おい」
嫌な予感がする。
窓の外を見る。
赤い光が、点滅している。
「まさか……」
凛も立ち上がる。
「近い」
その一言で、全てが繋がる。
「……ふざけんなよ」
拳を握る。
今度は誰なんだ。




