EP.49 可愛い者達の狂宴.1
さっちゃんからの、緊急メッセージ。
それを受けての別行動。
私は縫郷地区、レオンちゃんは那邪道地区へと、急いで出発。
私的には、ミオンちゃんが出没した事のある、那邪道地区に行きたかったけど、縫郷地区に行くのを、レオンちゃんが嫌がったの。
添付された資料に、その理由があった。
本当にこの場所?
『私がそこ行くと、力負けするからな。下手にスキル使うと、誰か死にかねないし。頼む花乃歌……』
私だって、こんな所に行きたく無い。けど、レオンちゃんのお願いだから、仕方無く、縫郷地区に行くのさ。
はい。人生初の、刑務所見学です。
しかも、凶悪犯罪者を収監してるって、添付資料に載ってます。
ズドドドドドッ────「怖いなぁ」
襲われたらどうしよう。
やり返す?
無意識にスキル発動しちゃったら、魔物さんと一緒に、犯罪者さん達も、爆散?
小指で"つん"したら、爆散だよね?
そうならない様に、笑顔で接しないと。
和かに接して、下手に怒らせない様に、気を付けないとだね。
ズドドドドドッ────「お顔うにうにっ」
そんなこんなで、こうして走って、縫郷地区に向かってる真っ最中。
土煙り凄いよね。
でもお車より、こっちの方が早いもん。
人に見られても、私だって分からない様に、こうして、黒いフードを被ってるから、何も問題は無いんだよ。
不審者ですか?
爆走少女、桐藤花乃歌、十五歳ですっ♪
それに、あの車には、乗りたく無いの。
まるで……犯人確保!!
レオンちゃんはそのまま、緊急車両に乗せられて、那邪道地区へ、向かいました。
手錠は無しです。
任意ですから!!
「アレはただの、罰ゲームなんだよ」
「フゴッフゴッ」
結局奏さんとは、物凄く雰囲気悪いまま、お別れしちゃいました。
『連絡は来ております。車両の手配をしますので、少しお待ち下さい』
以上、終わり。
大人気ないと言うか、奏さんもレオンちゃんも、仲良くして欲しいよね。
「ウリ坊ちゃんも、そう思うよね?」
「プッゴプゴッ」
そう思うって言ってるよ。
多分だけど。
ウリ坊ちゃんは、リュックからお顔を覗かせて、風景を楽しんでいるみたい。
迷宮と違って、変な圧も感じないし、危ない魔物さんも居ないからね。
「居るのは、野生の熊さんか、猪さんか、お猿さんなんだよ」
「プゴォ……」
時間短縮の為に、山を突っ切っているから、良く遭遇するんだけど……皆んな私を見ると、直ぐにお顔を隠して、その場でまるまるの。
私は怖く無いよ?
ただお山を走ってるだけだよ?
「普通の動物さんには、何もしないのにね」
「プゴ────ッ」
んっ、ウリ坊ちゃんが声を上げた?
『ッ!? フゴオオオ──ッ』
『プゴォ──ッ』
『プギイイイ──ッ』
「……猪さん達に挨拶?」
「プゴッ」
魔物さんだから、立場が上なのかな?
まるまってた猪さん達が、立ちながら声を上げてたんだよ。
一瞬見えたけど、すでに遥か後方ですから。
「夕方迄には、到着しそうかな」
「プゴップゴォッ」
縫郷地区に行ったら、先ずはご飯なのさ。
腹が減っては何とやらだよ!
「……小島?」
「プゴッ?」
縫郷地区の海側にある施設。
添付資料には、そう書いてあったんだけど、あそこが刑務所なんだね。
大きな橋の先に、やたらとゴツい建物があるんだけど、そんな事よりも、周りに何も無い。
「駅の方は、凄い賑わってたのに、こっちには何も無いんだね……お腹空いたぁ」
「フゴォォォ」
ウリ坊ちゃんも、リュックの中でもぞもぞしてて、同じ気持ちなのかな。
「一度駅側に行くか、あそこで何か、食べさせて貰うか……悩むなぁ」
「プゴ……」
緊急だって書いてたし、行って何か貰おう。
この考えてたら、ウリ坊ちゃんが、お肉に見えてきちゃうからね。
すんすんっ────「プゴッ!」
「どうしたのウリ坊ちゃん?」
リュックからお顔だけ出して、可愛いお鼻をぴくぴくさせてる?
右の道を見てるんだよ。
「何かあるの?」
「プゴプゴ」
ウリ坊ちゃんが、プゴプゴしてるから、気になって足を進めた。
左には刑務所に続く橋。
ウリ坊ちゃんがプゴプゴしてるのは、右。
「ここを右だね」
「プゴッ」
ウリ坊ちゃんの鳴き声に従って、右の道路を覗き込んで見ます。
顔だけそっと出して……誰か居る?
「負けたぁぁぁはははっ……お金なぁぃ。辺り暗いじゃ無いのおおお! 明るくしろよぉぉぉ。ああああああ……あはっはっはっ!」
酔っ払いさんだぁ。
これは、関わり合いにならない様、刑務所に行くんだよぉ……リュックが軽くなった?
「あれっ? ウリ坊ちゃんは……」
「んあっ!? 何よあんたぁ……」
「プゴッ」
「んんっ……猪じゃあああ──んっ! めっちゃウケるっ! プゴプゴ言ってるぅ──っ!」
「プゴォ」
何してるのウリ坊ちゃん?
酔っ払いの人に、普通に近付いてる!?




